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孤島奮起  作者: つふら
エルフがあらわれた
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32/126

拠点増築と補強とトイレ事情

7/5


5:18起床


ルルさんとルビーが見当たらない。散策にでもいってるのかな。

同じ頭文字(イニシャル)R同士、気が合うのかもな。ルルさんの綴りがRなのかは分からないけど。


日課のL字石垣で魚を捕る。今日は3匹と少なめ。


内臓処理して籠に入れておく。


川辺奥の森からルルさんが出てきた。


おや?デジャブかな?右手に鹿、左手に大量の草。


朝からアグレッシブですね。


あ、やっぱりルビーも一緒だったか。


ルビーも、口に兎を咥えているぞ。鳥類以外の生き物、初めて狩れたじゃないか。凄い凄い!思いっきり誉めてやる。



視界の隅でダイヤが今まで見せたことのないマックススピードとドラフトを決め、兎を仕留める。


気のせいかもしれないが『兎に関しては僕が一番だ』と、ルビーに見せつけている気がする。


まあ喧嘩せず兄弟仲良くやってほしい。



「水浴びをしに来たんだけど、美味しそうな鹿がいたので、つい」


『つい』で鹿が捕れるくらい簡単なはずはない。昔、狩猟生活お兄さんの日常を描いた漫画を愛読していたけど、罠仕込んだりして大変そうだったけどな。


「いえ、お見事です。」


「川が近いといいですね。とても解体しやすいし、臭いも気にならないから衛生的ですね。」


口を動かしながら、手もハイスピードで動かしてるルルさんは凄すぎる。


「あら、まだ若い鹿だったわね。」


腹を裂き、腸を取り出しマジマジ見ながら『若い鹿ね』なんてほのぼの系コメントする知り合い、一人(ルル)で十分。



朝食・食材採取と加工・昼食を終え、午後は昨日同様、拠点拡張の為の整地。


またもや整地だけで今日の作業は終了。





7/6


午前中はいつもと同じ朝食・食材収集加工・昼飯。


午後から拠点作り作業再開。


今日は四方の太い木を三つ編み状に編み込んだ太いツタで結んでいく。


当初の予定よりも細長になってるのは、近くに支軸となる大きな木が無かった為だ。


細長い分、三つ編みに編み込んだツタだけで木を結んでいくのは、重力で強度に不安が残る。途中に太めの竹を使って間に柱を作った。壁は簾状に作った竹を三つ編みツタに掛けて固定していく。


途中だけど今日の作業はここまで。夕飯の準備を始めなければ。






7/7


午前はいつもの行動。

ルルさんがまた猪を狩って来てくれた為、横穴に干し肉スペースを増設。



午後は側壁作成。


ようやく側壁完成。




夕飯は肉祭り。





7/8


午後から屋根作成。


ツタで土台を作りを、バナナの葉を隙間がないように並べて結んだ竹ゴザを屋根土台ツタにかける。


ダイヤとルビーが野生の鶏を狩ってきた。


ルルさんは鹿を狩ってきた。


お陰で我が家の肉はどんどん増えていく。


我が家の経済状況(しょくりょう)はうなぎ登りに上昇中。


なら俺、魚とか貝とか、捕まえなくてもいいかな。


って、ルルさんに聞いたらダメだって。栄養が偏るから色んな種類のものを食べましょう、と、お母さんのようなことを言われた。


はい。明日もとってきます。





7/9


朝から風が強い。拠点、飛ばされないか?


今日は床作成。


小石を平行に敷き詰め、その上から竹ゴザをひく。長さも横幅も部屋内にほぼぴったり収まった。


まだ完成ではないけど、今日からルルにはこちらで寝てもらおう。眠る場所は変わっても、ルビーはルルと、他は俺と寝ることになった。


ルビー、俺のこと嫌になったのかなぁ。ちょっと寂しい。






7/10


壁や屋根の補強。


各パーツをツタで再度、結びつける。外壁地面には20~30㎝大の石を、長めに作った簾の地面についてる余剰部分の上に置き、重石とした。


これでひとまず完成。




午後7:04


ルルの作ってくれた夕食を食べる。


干し猪肉のジンジャースープ、兎の竹串焼き、蛇肉のバジル蒸し、茹で青ヤドカリ。


最近、朝昼は俺が食事を作り、夕食はルルが作っていた。


ほんと、助かっている。ルルが海塩作りや肉の確保や肉をしてくれることで、保存食を作る余裕が出てきた。その保存食を作る知識や色んな加工技術を学べるのは非常にありがたかった。


あと、忘れてならない香草。これも俺には全く知識がないので為になる。


タイム・胡椒・オレガノ・バジル・紫蘇・山椒・生姜等、この4日ほどでルルさんは色々採取してくる。まだ乾燥中で使えないものもあるが、使えるのが今から楽しみだ。


食後の片付けを終えた後、竹茶を飲みながら三つ編みツタや竹クラフト、ルルは香草の仕分けや調味料の作成をするのが日課になっていた。


「タケル、まだツタが必要なの?拠点は今日で完成したんでしょ?」


「うん。でももう少し補強しようと思って。」


一緒に生活していくにつれ、いつしか敬語はなくなり、お互い名前で呼び会うようになっていた。


「昨日より風が強いと拠点が飛ばされるかもしれないから。ツタで補強しといたほうがいいかなと思って。」


「そうね、『風の魔王の怒りで荒ぶる気候』が来るかも知れないものね。」


へ?


「ルル、その『風の魔王の怒りで荒ぶる気候』ってなに?」


「あ、うまく翻訳出来なかったのかしら。大雨が降り、風が強くなる日のことよ。私の村では暑くなってくると、その暑さに怒った風の魔王が来るの。」


「あー、なんとなくわかった。『台風』か。」


「あら、タケルも知ってるんじゃない、台風。」


風の聖霊はこうやって翻訳調整をしてくる。


「で、話し戻すけど、風対策で補強したいんだよ。寝床も食糧も飛ばされたら、俺、立ち直れないと思うから。」


「そうね、タケルはメンタル弱いから。で、どうするの?」


今、サラッと・・・サラッと悪口言いませんでした?風の聖霊翻訳ミスなのか、翻訳者の悪意なのか素の性格なのか。


「え・・・あぁ、その竹で『ペグ』ってのを作って地面に埋めるんだ。ツタと拠点とペグをこうやって結んでさ。」


ノートに描いた想像図をルルに見せながら説明する。


「わかったわ、テントを張るみたいにするのね。」


「そうそう、その方がどの方向から風が吹いても今よりはずっとと強固になると思うんだ。」


風の聖霊翻訳だけで説明しにくい時は、こうやって図や絵に描いて説明するようになっていた。


「あと、風避けの垣根みたいなものを作りたいんだ。」


と、描いて説明する。


「こういうのを、今料理作ってるこの場所からぐるりの囲むように・・・どうかな?」


「すごく、いいと思う。・・・・あと、ついでにお願いしてもいい?」


「なに?」


「あの・・・・、あの場所にも囲いを作ってほしいのだけど・・・。」


小声でモジモジしながら言う。


「あぁ、横穴の入り口のところね、いいよ。」


食糧(主に肉)が増えたので、川で内臓処理をしたあとに、横穴の中を干し肉製作所にしているのだ。日陰だけど、動物とかが入り込むかもしれないから必要かもな。


「ち、違うわ。そこじゃなくて、ほら!」


んー?あ、わかった。


「簡易トイレのこと?」


「そう!そうだけど、そのはしたない表現はやめて。ちゃんと陰所(いんじょ)って言って!恥ずかしい。」


そう顔を赤らめるが、俺にはさっぱり何が恥ずかしいかわからない。文化の違いかな。


「ごめんごめん。わかった、あそこにも壁をつけようか。」


「そうしてもらえると助かるわ。ありがとう。」


ここに来てからトイレは野外、もちろんボットン。最初のうちは1回1回穴掘ってたんだけど(大の方だけ)、面倒なのと間に合わなくなりそうなことがあって作ったんだ。


直径30㎝の穴を1mほど掘る。これが実に大変だった。竹を斜めにカットした竹シャベルで掘ってくもんだから。


中が空洞の竹筒を斜めに差し込む。穴と土が竹筒でつながる。地面から出ている竹穴に向かって排尿排便するのだ。その時、水の入った竹筒を持って行けば、なんちゃって水洗トイレになる。


穴は上から竹ゴザを引き、竹ゴザがずれないようにまわりに大きめの石を置いて固定している。感染症と臭いを考えると開けっぱなしにはできない。ここには時折、灰をまいて消臭している。


両端に2mくらいの太めの竹を2本さし横に竹を横向きに結びつける。そこに竹ゴザを上からかけて固定すして屋根代わりにしていた。


でも、壁は作ってないのでプライバシーはない。


よし。ではトイレ事情から先に片付けるか。


俺の明日の行動が決まった。





7/11


トイレ周囲の環境整備。


竹穴の四方に、目隠し用の竹柵を作り、その上に屋根を作る。


入り口は簾状にした。


トイレ内部には竹の棚を三カ所作成。


ひとつ、清拭用の葉っぱ置き場。籠にいれてある。いろいろな葉っぱを試したけど、この今使っている葉っぱがお尻に優しいことがわかった。植物の名前は、わかんないけどそこらにたくさん生えているから、当分問題はないだろう。


ひとつ、竹筒置き場。トイレに行くときは必ず水の入った竹筒を持ってはいるルールにしたけど、間に合わない場合だってある。それなので、予備の水入り竹筒を2本置いた。交換制にしようと思う。


ひとつ、光源置き場。、夜トイレに行くまで、暗いんだ。以前はスマホのライトで照らしながら行っていたんだけど、ルルはスマホが操作できない。よくわからないらしい。そこで今、俺たちが使っているのは簡易ランプ。シーチキンの入っていた缶詰に、ラードを入れ、ツタと紙ティッシュをねじり巻いたものを入れ、着火すると蝋燭のようになる。用を足してる間も明るくなるように光源置き場を作ったのだ。


こうして簡易トイレは完成した。


ルルに早速入ってもらう。


「どう?トイレの使い心地は。」


「その表現やめてってば!ほかの人(エルフ)が聞いたら、ドン引きするわよ!」


最近、『ドン引き』とか『どや顔』とか精霊の翻訳がおかしなことになっている気がする。


「でも、すごくいいと思う。この棚を作ったのは正解ね。ありがとうタケル。」


ふふ、よかった。喜んでくれたらしい。





7/12


朝から日差しが強い。日本でいう夏のような日差しだ。


今日は風よけ竹柵の設置と、拠点の補強。


資材はたんまりと用意してある。後は結びつけ・くくり付けの作業だ。



午後4:02現在で、作ってあった資材が枯渇。


急遽、材料集めに変更。






7/13


今日も朝から暑い。


昨夜、足りない資材の作成をしたので資材は足りていると、思いたい。


昨日の続き、柵の設置と補強だ。余裕があればトイレの補強と横穴の整備もしたい。


横穴の整備はできたが、トイレの補強までは至らなかった。






7/14


天気はいいが、風が強い。


今日はトイレの補強。これはツタとペグで結んでいく。


ついでに拠点からトイレに行くまでの道中も整備した。


衛生面を考え、拠点から20mほど離れた場所にトイレがあるが、その間の道は土道なのだ。そりゃ木を伐採して整地してるとはいっても森だからなここ。


なので、拠点からトイレ入り口まで竹を両端に置き、その間を小石を敷き詰めた。


夕方になると風はさらに強くなり、雲行きが怪しくなってくる。


「風の魔王が来ているのかもしれないわ。」


ルルが呟く。


横穴の食材が心配だ。水没する恐れがある。

今までは雨が降っても水かさがそんなに増すことはなかった。

けど台風となれば話は別だ。


ルルと手分けして横穴を荷物を拠点に運び込む。


風よけの状態も見て、不安なところは補強した。


夕食後、更に更に風が強くなってきている。雨も混ざり始めた。


シーチキン缶ランプを手に、それぞれの部屋に入った。


補強したけど不安で仕方がなかったが、もうどうしようもない。

子犬たちも心なしか震えている。

みんなの体をなでる。



風の音に恐怖を抱きつつも、疲れた俺の体はいつしか眠りについていった。

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