わたしの護衛
たいへんご無沙汰しております。
よろしくお願い致します!
「大変申し訳ありません!初対面のお方にこのようなご無礼を働き、誠に申し訳ありません!!わたしは仰る通り、アイラ・モルガンと申します」
紅葉した木の下で、美しすぎる少年に土下座をして謝るわたし。旅装姿の少年は、先ほど目を見開いてから、また表情をなくして、体育座りのような格好で〔どうやら、無防備に眠っているわたし気づき覗き込んでいたところ、わたしが目を覚まして、ついつい少年の両頬を伸ばしてしまった、そしてついつい頬を掴んで左右に伸ばしてしまった。すると彼は目を見開いて一言呟いた…『君がアイラ様か?』と…わたしは顔と同じく美しいがどこかで聞いた事がある声に正気を取り戻し、突然立ち上がり、相手に一礼した。その時、美少年は反射的に私を避けて尻餅をついた〕座っていた。
が、彼はわたしの土下座状態の体勢を変えるため、立ち上がりわたしの背後に回って腰を持って持ち上げた。
「あっ?」
美少年に軽々と持ち上げられただけでなく、変な格好だったので、わたしはすぐ両足を地面につかせて立ち上がって、彼から離れようとしたが…
「あっ!?んんっ!?」
剥き出しのうなじに何かが這う感覚があった。これは………唇!?美少年がわたしのうなじを…『チュッ!!』吸って…
「やっ!やめてっ!?いやっ!!」
美少年は腰に掴んでおり、上半身をいくら動かしても彼はこの行為をやめなかった。そして、数分経ってようやくやめた時、彼はアイラが髪に結んでいた二つの麻ひもを事も無げに解いた。広がる解かれた髪は、ある人から放たれたようで…でもまだわたしはあの人を忘れたくないのだ…
わたしに向き直った美少年は頬を少し染めていたが動かぬ表情はそのままにわたしから、離れていった。
わたしは淑女としてははしたないが、早足で父の元に赴いた。
「どうしたのかな?髪を久しぶりに下ろしているし…」
「別荘に見たことがない人が侵入していました。その人は旅装姿の少年でした」
「顔も真っ赤だが…何かされたのかな?」
何かをされた…けれど、その前に自分もやらかしていた事を思い出した。
「い…え、無礼を働いたのは、わたしです。で…も、この別荘で他の者が入り込んだのを初めて見たのもありまして…かなり驚いたのです」
そうだわ。この別荘もそうだけれど、本邸にも他の者が"単独"で入ってきたのを見た事がない。グレッグが母と出会った話もそこに違和感を感じていた。もし未亡人が使用人用の門から入ってきたとしても、必ず別の使用人が側にいなければならない。しかもいかがわしい目的でズカズカと庭の中に入ったなど前代未聞。この事が表沙汰になれば、当時の女主人である母が当主に叱責を受けるべき事案だったと思う。まぁ…管理すべき本人が当事者だったのだから、叱責などされる訳がない。
「ジュゼッペを連れずに旅装姿の少年か、もしかすると私が待っていた人物の可能性がある。至急ジュゼッペに連絡を取ろう」
父はそういうと呼び鈴を鳴らした。
数秒もせずにドアをノックする音がした。ジュゼッペさん専用の呼び鈴はいつもながら、すごいと思う。
「旦那様、お呼びでしょうか?」
「ジュゼッペ、例の少年がもうここへ来ているようだが、会っているかい?」
「はい。使用人門より何事もなく入り、勝手口を叩いてました。只今彼は風呂に入っております。思った以上…のただ人のようでございます」
思った以上のただ人?よく分からない表現ね。でもここではっきりしたわ。彼が父の待ち人である事が…!?父を見ると"安心した"ような面持ちだった。父もわたしを見る。
「アイラ…、もう…"大丈夫だ"…良かった…君はもうこれから…心配なく、"生きていける"」
そう話した父の声は震え、目は…潤んでいた。
数時間後、お風呂に入り終えた美少年と正式に会う事になった。先ほどされた行為により、わたしは父との話を終えてから、すぐ自室へ戻り、うなじの状態を合わせ鏡で確認した。
これは…完全にキスマークになっている!?呆然としてしまった…これは酷い。内出血しているので、温めなくては…でも今お風呂にはこうなった原因がいる。
彼の見た目は確かに美しいが、中身は行動が読めない野生動物のようだ。そう!彼があんな事をしたのは、わたしが彼的には餌だったから!?こんなの食べても美味しくナイヨー。相手が野生動物ならば、取る態度はただ一つ
…関わらない…だ!!
「アイラ、彼はこれから"ずっと"君の護衛になるアーネスト・ショウだよ。フロントライ系統である先代ブライトン男爵の弟子の一人でね。とにかく強いそうだ。確かスタンレイ熊を素手で仕留めたと聞いているけれど…?」
父は不安そうな声でアーネスト・ショウに聞くと相変わらず無表情な彼は、小さくコクリと頷いた。えっと、本当のようですね?熊を素手で…野生動物より、強い子のようです。
「わたしはアイラ・モルガンです。先ほどはたいへん申し訳ありませんでした。わたしは"もう"大丈夫ですので、どうかお引き取りいただきたく…」
と話すと父がわたしの言葉に驚愕の表情を浮かべて言った。
「何を言っているの?君の護衛だと言ったよね?私の…"当主の言に抗う"と言うのかい?」
ゾクッ…わたしはまた父に恐怖した。いいえ、父の再婚話の時より、数段も怖い。王家は父を…四大公爵を堕としていると聞いていたけれど、王家は彼らの本質を理解していないのかもしれない。四大公爵は自ら鎖を繋いでいる神と等しい存在なのだ。そんな恐ろしい者に…モルガン公爵に抗う事など出来る訳がないのだ。たとえわたしが安寧の神と繋がっていたとしても。
「先のわたしの言はお忘れ下さいませ。護衛のアーネスト・ショウは責任を持ってお預かり致します」
「アイラ、それで良い。今日からずっと一緒にいるのだよ。ずっと…ね?」
「承知致しました」
執務室からわたしはアーネスト・ショウと一緒に部屋を後にすると、ジュゼッペさんが廊下に立っていた。
「ジュゼッペさん、アーネスト・ショウの部屋は決まっているのかしら?」
「旦那様のご指示で彼はアイラお嬢様のお部屋で、お嬢様とご一緒のベッドで眠っていただく事になりました。アーネスト、君が荷物を置ける場所は、アイラお嬢様に指示して貰いなさい。では夕食は本日私が料理致しますので、出来次第お呼び致しますね。では後ほど…」
お、おお、落ち着いてわたし。当主命令…当主命令…
「アイラ様…大丈夫…だ…先ほどのであなたは満たされた。一緒のベッドに今は眠らなくても…大丈夫だ…俺は近くの敷物の上で寝る」
アーネスト・ショウ2回目の発言キタ!声が素敵すぎる。しかし護衛とはいえ、何故一緒のベッドに…未婚の娘にさせる事ではないわ。父には何か考えがあるのでしょう。
「大切な客人を敷物の上に寝かせたりはしないわ。一緒のベッドに寝ましょう。ただ…うん、わたしの部屋に入ってから、詳しくお話ししましょう?」
アーネスト・ショウを伴い、私室に戻る。彼は中に入っても何にも関心を示さず、ただわたしを見つめていた。しかもグレッグ以上に。
「アーネスト・ショウ。ここがわたしの部屋です。私服は持ってきていますか?」
「はい。ただ…ここで暮らすほど…は持っておりません」
そうね。その荷物の量だと一週間分あるか?
「ではジュゼッペさんにサイズを身体のサイズを測ってもらって、服をたくさん作りましょう。あ…っと、下着も…サイズを言っておいてね…」
「はい。あの…アイラ…様、俺の事は…"ショウ"とお呼び下さい」
「何故、姓の方で?」
「俺は…あなたにそう呼ばれる…と嬉しいの…です」
「あなたがそう思うなら良いわ。これから"ずっと"よろしくね、ショウ」
「こちらこそ、"ずっと"よろしくお願いいたします、アイラ様」
わたしはこの時、まさか本当にアーネスト・ショウと"ずっと"一緒にいる事になるとは思っていなかった。グレッグの帰りを心待ちにして、でもとても不安で。でも…そんな心にアーネスト・ショウは当然のごとく入り込み、熱い抱擁をするのが日常的になっていた。
「ショウ?もう大丈夫よ…わたしはここにいるわ?」
「アイラ様、アイラ様、アイラ様…」
朝起きると彼はわたしを抱き締める。性的なものというよりはわたしという存在がそこにいる事を確かめるように…
熊を素手で…えいっ!o(^o^)oアイラ
…………ぎゅー(。-_-。)ショウ
きゃあっ!?なんで右ストレートを打ち込んだのに、抱き締められているの(//⊙ω⊙//)=3アイラ




