中学生
『最近さー、親超だるくて家帰るの萎えるんだよなー』
中学2年生の夏のお昼休み。男子は幸音に話しかけた
『ほんとそれ同感(笑)』
幸音は、声変わりをして一気に『男子』になった。身長も花音より少し高い。
『花音?聞いてる??』
『ん??ごめん、聞いてなかった』
物静かな花音にも友達ができた。
『もー!だから、花音は幸音くんのこと好きなの?』
友達の『美春』が耳元で呟いた
『へ!?そ、そ、そんなことないよ!?』
『図星かー。』
『なんでわかっちゃうかな…』
花音はその場でへなへなと座り込んだ。
『幼なじみあるある!!』
『そうなのかな…?』
『うん。特に幸音くんと花音は共通点たくさんあるじゃん!誕生日も一緒、産まれた病院も一緒、名前に音って漢字がある、家が隣同士、ピアノ習ってる、好きな色も…。ほら!』
『それ偶然だよー(笑)』
花音は笑って誤魔化していた。
『花音ー!』
『ん?』
窓側から幸音の声が聞こえた。
『今日、一緒に帰ろーぜ!』
幸音がニカっと笑った。
『うん!』
放課後
『今日、部活ないとかサイコー!』
『だよね〜!』
『高橋さん(花音の名字)。ちょっと来てくれない?話があるんだけど。』
教室を出ようとしたら、クラスの女子数人が花音を呼び止めた。
『え…はい。幸音、先帰ってていいよ。ごめんね』
『いや、外で待ってる』
幸音は手を振った。
『ホントーに。憎いわ』
『え?』
幸音の足音が消えたと同時に、女子の低い声が教室に響いた。
『幼なじみだからってさ、幸音くんと馴れ馴れしくするのやめてくんない??』
『別に、幸音と馴れ馴れしくしてないよ…?』
『そういうのがムカつくの!!』
その言葉と同時に頭からなにか冷たいものがかかった。
『ぇ…?』
花音は何が起きたのかさっぱりで声がでなかった。水をかけられたのだ。
『あんたをこのクラスから除け者にしたいぐらい憎いんだから!!!もう消えてよ!!』
ほうきで叩かれて、蹴られて。
なにがなんだかわからなかった。痛いのは覚えている。『やめて』って泣きながら言ったのも覚えてる。1人の女の子は泣きながら花音に『死ね』って言ってたのも覚えてる。
ガラガラ
『花音?まだ………え……』
その声は毎日のように聞いてる声だった。
『え、あ、その…。これは…。』
その人を見て女子達は言葉を発さなかった。
『なにやってんの…?』
幸音が今にも怒りそうな声で女子達に問いかけた。
『そ、そんなつもりは…』
『なんでこんなことすんだよ!!』
幸音は女子達を押しのけながら、花音のところに行った。
『こういうことする人、俺大ッ嫌いだから…』
幸音は花音の手を引っ張って教室を出た。
『ごめ…』
『ほんと!あーいう人超ムカつくよね』
花音が謝ろうとしたら幸音はそれに被せてきた。
『……幸音に迷惑かけてばっかり…』
『そんなことないし。』
幸音が足を止めた。
『でも』
『花音、悪くないし。』
『でも…』
『謝ろうとしなくていいよ。』
『で、でも…』
とうとう花音の声が震え出して涙を流した。
幸音は花音の目の前に立って、ギュッと抱きしめた。
「花音が泣いたらギュッて抱きしめる約束!!」
幼稚園のときに決めた約束。ずっと守っててくれた。
『また、あんなことされたら俺のこと呼べよ』
『うん…』




