† 四の罪――現世(うつしよ)の邂逅(弌)
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「多聞さん、象山紀章殿がお見えになられましたけど」
風呂あがり、こたつにみかんの皮を多聞さんと積み上げていると、柚ねえのコールが入った。日本支部の宿舎は円形で、彼女が呼び出しに来たエントランスホールから、放射状に各隊の居住スペースへとつながっている。そして内部は、俺たちの今くつろぐ居間チックな共用空間を中心に、それぞれ周囲に私室を持っているというシェアハウス風、と寝起きに関しては裏組織の名から想像されるほど、ガチガチな管理下というわけではない。三条の部屋を見遣ると、もう寝たのか、ドアの小窓から闇がのぞいていた。
「こんな夜更けに珍客ですなー」
「明朝より国内各地の視察に赴くゆえ、東京を発つ前に筆頭顧問として一言、挨拶をば」
ホールで目に飛び込んできたのは、帽子に包帯。あの男だ。しかし、何をしに来たのだろう。
(……まさかルシファーの件がばれた……!?)
「喜多村さんの隊は殉職者が多く、人外と戦う自覚に欠ける、と先だっての幹部会議にて見当違いの失言を致した非礼をお詫び申し上げたく出向いたまで。模擬戦においても先刻証明された通り、現在のチーム多聞丸は実に精強だ」
「へへっ、そりゃどうも」
苦笑いして、軽く頭を下げる多聞さん。しかし、
「……で、本題は?」
今やってる台本が裁判ものなんだけど、法学部卒なのに俺が一番セリフ覚えてきてない




