† 四の罪――現世(うつしよ)の邂逅(弐)
彼が顔を上げたとき、その目はすでに、包帯の隙間でわざとらしく微笑む隻眼を射抜くように見定めていた。
「なに、戦場で“荒野の狩人”と名を馳せた国防陸軍元少佐殿の活躍には期待している反面、案じてもいる己もあるもので」
経歴、年齢、実力の割に多聞さんの出世が三条も言うように滞っているのは、こいつら幹部の警戒や嫉妬と無縁でもないだろう。
「我々(アダマース)が行っているは、戦にも狩りにも非ず。ましてや贖罪でも――貴殿は何が為に戦うのか? 生き急いでおられると見受けるが。人外に挑む中で彼等に近づいてゆく一方では、いずれは自らも破滅する日が訪れる定めというもの。眼前の敵を討つことで我を失っては、繋いだ命も天寿を全うできぬこと、努々お忘れなきよう」
「ニーチェ風の忠告、この軍人らしい胸板に受け止めました」
「ふふ、ものの喩えゆえ、気を悪くなさるな。ローマへ戻る前にでも、また語らうとしようではないか。して、次は何の話を……そうだな――――」
隊長に背を向け、歩き出した彼は一言。
「悪魔について等、如何だろう」
この底知れぬ曲者に、動揺を悟られてはいけない。幸い、濃くなってきた左面の紋様を眼帯で隠していたこともあってか、彼は振り返りもせずに悠々とお帰りなさった。その余裕綽々な感じがまた、ムカつくわけだが。それ以上に、勿体ぶった物言いよりも、その声質がなぜか癇に障った。
「……鎌かけられたんすかね」
こたつに戻りながら、小声で聞いてみる。
「ポエマーのことだからねー。ま、一言だの少し話をだのって切り出す人間は、結局ベラベラしゃべるもんだ。ただ、彼に注意するに越したことはないよ。桜花くんもね」
「――――!」
大学時代は軽音サークルでした。
よく「楽器やっているとモテるなんて大ウソwww」と聞きますが、半分は合っている。
そりゃメタルだのアニソンだのやってたらモテませんよ…………




