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卓越した者同士の戦い

「キク起きてよ。ねえキク、起きてよ」

「ああ、ラミル。おはよう」

「何回も言っているのに、全然起きないから心配したよ」

「ごめん。昨日の疲れが貯まってたみたいで、昨日部屋に入ってから記憶がない」

「昨日は大変だったよ。急に僕にもたれかかってきたんだよ」

「ええ!そうだったんだ。ごめん、ラミル」

「全然いいよ、そろそろ出発しなきゃね」

「そうだな、魔王打倒のためにもモタモタしていられないな」

 そうして俺達は宿を出た。



「うわっ、日差しが眩しい」

「キクは寝起きだからな」

 時間が経ち目が慣れてくるとそこには絶景があった。

「なにこれ!?すごい大きな穴がある。そこに流れる滝もものすごく大きい」

「この穴は、昔の大戦で空いた穴でね。終戦直後は戦争の残虐さを忘れないようにみんな見に来ていたんだが、今じゃ、立派な観光スポットになっているのさ。ここを見るとなんだが複雑な気持ちになるんだ」

 ラミルの顔を一滴の涙が伝っていく。

「あんな戦争をもう二度と起こしてはいけない。ごめん取り乱しちゃった。だからこそ僕達は魔王を倒さなければいけない。あの戦争は魔王を利用しようとした人間達の戦争。そのいざこざに魔王自身も介入してさらに大規模になってしまったんだ。それがバフーマ大戦なんだ」

「そうなのか、ラミルにも辛い過去があったんだな」

「まあね、さあ、いつまでも悲しんでいられない。早速、魔の洞窟に向かおう」

 そうして、俺達は街の楽しさの余韻に浸りながら、遠く離れた洞窟に向かうのだった



「ここか?なんか思ってたより小さく感じるんだけど」

「入口は小さいが中に入るとまるで迷宮のような穴が続いているんだ。キク。灯を頼むよ」

「あっ、そうだった」

 そうして、俺は火の玉を出した。

「これって便利だな。ずっとプカプカ浮いてるし、結構明るいし」

「そうだな、あとはこの火の向かう方向に行こう。空気の流れの先がヒーデルスネイクの寝床だ」

「なんか暗いとこって不気味」

「大丈夫。なんかあったら僕のスピリットドミナントで眠らせるから」

 そうして俺達はさらに洞窟の最深部へと進んでいくのだった。

 一方村では、あの男が来ていた



「今日も毛繕い日和だな〜」

「なんですか毛繕い日和ってカルベロス様」ギャラクシーキャットナンバー2のネオが言う。

「私達は必死に毎日訓練しているのにカルベロス様といったら。まあこれでもこの方は元十傑の一人。強さは本物なんですけどね……」

「カルベロス様!大変です」

「どうした?シンエイ」

「あの男が来ました。ミムラが乗り込んで来ました」

「何!?」カルベロスの目つきが変わる。

「この村の長に会いたいと言っています」

「私が行きましょう」

「いや、マイル。相手はミムラだ。わしが行こう。君に何かあっても困る」

 そうしてカルベロスは真剣な面持ちでミムラの所へ行く。




「しかし、どうやってこの村に入ったのだ、外にはコマチ達がいるのに」

「初めまして、この村の長殿。私はミムラと申します。早速聞きたいことがあるのですが、ラミルというスライムを知りませんか?私、少しその方に用がありまして」

「とぼけるな!お前はラミル様を倒しに来たんだろう。ラミル様の居場所は何としても言うわけにはいかない!」

「そうですか、私の邪魔をするというならば、あなたを倒して聞くのみです」

「わしの名はキャット・カルベロス。お手並み拝見といこう」

「ほう。あの十傑の元メンバー。ですが、今はもう力を失っているようですね。まあいい、一瞬で貫いてやるよ」

「急に口調が変わった?こいつ戦闘になると人格が変わるのか?」

「何秒耐えられるかなカルベロス」

「まずい、スターマインド!」

「加速鎧か。そんなものつけた所でなんの意味もない」

「いくぞ、ミムラ」「さっ」

 カルベロスは一瞬でミムラの背後に回り込んだ。

「遅い、その程度の速さでは私の視線から外れることすらできない」

「何?今のが見えているのか」

 すかさずミムラの攻撃が来る。

「何とか避けることができたが、スピードもパワーもわし以上だ」

「次行きますよ」

 そうしてミムラの怒涛の攻撃がカルベロスを襲う。刀と刀がぶつかり合う

「攻撃を弾くだけでも正直厳しい。このまま持ち堪えられるかどうか」

「辛そうですね」「ボンっ」

 ミムラの蹴りがカルベロスに直撃する。

「プハっ、相手を刀に集中させて。蹴りで攻撃するとは。だが、こんな所でくたばっていられない。ギャラクシーマインド!」

 カルベロスの速さはさらに上がる。

「おりゃーー!」「キンっ、キンっ」

「いいですね、ようやくこれでまともに戦えますね。でもまだまだパワーが弱いようです。こうやって」

 ミムラがカルベロスの刀を持ち手で押し上げて肘でカルベロスの腹を突いた。

「プハっ」

 カルベロスがその場で膝を付く。

「いやぁ。素晴らしいです。久しぶりですよ、こんなに楽しい戦い」

「まだだ、まだわしは倒れてはおらん」

「ほう、まだ立ち上がりますか」

「ボンっ、ボンっ」

「こいつ、刀を捨てて拳でわしの刀をいなしている」

「だから、パワーが弱いのです」

「バンっ」ミムラの蹴りが再びカルベロスに直撃する。

「もう、やめた方がいいですよ」

「いや、まだだ。ソードオブギャラクシーー!」

「何?」一瞬ミムラの表情が変わった。

 技を打ったカルベロスはその場で苦しそうにしている。

「いやあ、すごいですよカルベロスさん。私に一撃入れるとは、正直今の攻撃は危なかったです。まあ、私が本気なら何の問題もないですけど」

「なんだと!今までのは本気じゃないのか!?」

「最初は本気でしたよ。ただ、途中からあえて力を抜いて戦っていました」

「こいつは化け物だ」

「まあ、あなたもまだ完全に力を取り戻したわけじゃ無いようですし、今日の所はここまでにしましょう。今の対戦で何となくあのスライムの居場所も分かったし。まあ、分かったと言うより、私が行くまでも無いですからね」

「何?どういうことだ?」

「いやぁ、あなたの部下がですねすごい速さですごい速さでどこかへ行きましてね。私の予想だときっとあなたが重傷だと言うことを伝えに行ったのでしょう。それを聞いた、スライムはすぐさまあなたを心配して駆けつけるはずです」

「こいつ、戦いながらそんな事を考えていたのか」

「まあ、あなたもお疲れのようですし今日はこのあたりで」

 そして、ミムラは音も無くどこかへ消えた。

「移動の時に音を出さないとは、あいつはとんでもない化け物だ」



「カルベロス様!大丈夫ですか?大変だ。ネオ治療室に運んで」

「はいっ、分かりました」

「カルベロス殿、一人でこんなにもボロボロになって」

 マイルが悔しげな表情を浮かべる。

「あのミムラというやつ絶対許さん」

「マイルー!聞いたよミムラが来たんだって」

 コマチとイワタが息を切らしながら来る。

「ああ、今回は帰ったようだが……」

「どうかしたのか?」

「カルベロス殿が重傷だ」

「何!? 我らがあいつを見逃したせいで。くそっ」

「まあただ、命に別条は無いだろう」

「それは、よかった。あのミムラを止められただけでも儲けもんだ」

「ラミル様に報告した方がいいのでは?」

「それなら、もうすでに他のギャラクシーキャット達が行っている」

「そうか、それなら安心だ。しかし、なぜミムラがこの村に来たんだ?」

「大将、ミムラが来た理由はラミル様の事でしょう。私達も最初ラミル様が村を破壊したと思っていましたし、ミムラもきっとそう思っているのに違いありません」

 イワタが険しそうに言う。

「そうだな、我らが何とかあいつを説得できればいいが」

「それは無理でしょう。あいつは一度勝った相手には話でさえ聞かないですから」

「じゃあ、どうしたらいいんだ」

 コマチが怒りを募らせる。

「ここは、一旦待ちましょう。もしラミル様がミムラと対峙しても、きっとキク殿と協力してあいつを倒してくれるでしょう」

「そうだな、我らにはキクがいるんだったな」

 そうして村の戦いは意外な形で終わるのだった。

今回もなかなかに苦戦しました。

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