旅からの帰還
「ヒーデルスネイクはこの先か」目の前に大きな空間が現れる。
「どうやら、ヒーデルスネイクは、今寝ているみたいだ。そっと近づこう」
「なんでまた隠密なんだよ」
「キク、今回は気をつけてね。お願いね」
「パキっ」
「あっ、なんでこんな所に木の枝があるんだ?おかしいよ、ここ洞窟の中なのに」
「ちょっとキク何してんの、あれほど言ったのに」
「分かんないよ、こんなところに枝があるとは思わないじゃん」
「シュー、シュー」
「やばいよラミル起きちゃったよ」
「仕方ない。スピリットドミナント!ってあれ?」
「ラミル。全然効いてないみたいだけど」
「どうしてだろう?あっ思い出した。ヒーデルスネイクは状態異常無効なんだった」
「まじかよ、どうするんだ?」
「キクに頼むよ」
「ええ!急に!それじゃあ発動!星の構え」ウォータープロテクト!」
「お知らせします。星の構えが発動したことにより移動速度、技の威力が大幅に上昇しました」
「この技ってバフ系のものなのか」
「キク、僕が水面波切りで注意を引いておくから」
「分かった。よし、ファイヤーストーム!」
ラミルの放った水面波切りが蒸発していく。
「ラミル、もう少しだ。頼むぞ」
「分かった。水貫剣!」
広範囲に水しぶきが飛ぶ。
「よし、これで足りる。今だ!ラピットドロー!」
ヒーデルスネイクの体は全方向から引っ張られる。そうしてついにヒーデルスネイクは粉々になった。
「やったー!俺とラミルの協力技だな」
「そうだな、良い連携だった」
ラミルがかすかに笑う
「よし、最後にインセントエレファントの討伐に向かおう。キク」
「分かった。ところでラミル。帰り道わかるか?」
「え、キク、覚えていないのか?」
「うん、もちろん」
「え、もしかしてラミルも覚えてない?」
「そうかもしれないな」
「やばいって、どっちも覚えてないよ」
「こうなったら仕方がないバーニングボルト!」
ラミルが洞窟の入り口に向かって技を放つ。
「ダダダダンっ」洞窟が崩れる音がする。
「ねえ、ラミル。これって洞窟全部が崩壊することはないのか?」
「たぶん、大丈夫だと思う。でも早く出よう。キクの星の構えで移動速度上昇すると思うから使ってみて。それじゃあお先に〜」
「ちょっと待ってよ、一人にしないでラミル。早くしないと、星の構え!何これ!?こんなに早く移動できたんだ。すごい」
「キク、早くしないとやばいよ」
「さっき大丈夫だって言ったじゃん」
そうして俺はラミルの後を追いかけるように光の方へと向かっていく。
「あともう少しだ」だんだん光が大きくなっていく。
「ふう、やっと抜けた。なんか来た時よりも入り口の穴が大きくなっていないか?」
「まあ、入りやすくなったということで」
「ラミルって結構、適当なところもあるんだな。まあ、それも良いけど」
「次は、カンブリア草原だ。ここは、すごく綺麗なところなんだ。キクもきっと気にいると思うよ」
「へえーどんなところなんだろう。気になるな」
「幸いにもここの近くだから早めに着くよ」
俺たちは一つの谷を超えて草原に着いた。
「うわーとんでもない広さの草原だ。それに、芝生がモフモフで絨毯みたいだ」
「ここは僕も結構気に入っててね、忘れたいことがあると度々ここに来るんだ」
「確かに、ここはまるで現実じゃないみたいだ。まあ、そもそもこの世界は異世界なんだけど」
「いたぞキク。あそこにインセントエレファントがいる!」
「え!どれどれ、ほんとだ。て言うかすごい大きくない?」
「インセントエレファントは規格外の大きさで、それに加えてその皮膚はとても頑丈なんだ。並の攻撃では、まず効かないだろう」
そうして、俺達はインセントエレファントのところへ向かう。
「キクは左をお願い。僕は右から攻撃する」
「分かった」
そうして、俺達はひたすら技を打った。
「ダメだ、全然効いている感じがしない。そうだ、火の技でどうにかなるかな?どうやって使うんだっけ、ええっとこんな感じで」
そうして技を打った途端
「ビュイーン!」
「え?なんか火の玉から変な音がするんだけど、なんか力を溜めているっていうか」
「ドゴーン!」
一本の真っ白の太いビームが出て、みるみるうちにインセントエレファントの堅い皮膚が溶けていく。
「なんだこれ、とてつもない威力だ。それにめちゃくちゃ熱い!」
「キク、もう良いよ」
そう、ラミルが言う頃にはインセントエレファントは跡形も無く消え去っていた。
「お知らせします。火の銃系統の技、ホワイトマグナムを会得しました」
「ホワイトマグナム?」
「キク、よくやった。あのインセントエレファントを一瞬にして焼き尽くしてしまうとは。いったいどんな技を使ったんだ?」
「なんか、ウォータープロテクトによればホワイトマグナムっていう技らしいけど」
「ホワイトマグナムってどっかで聞いたことがあるけど…… まさか思い出した。火の銃系統のアルティメット技だ!」
「ええ、またアルティメット!?」
「僕も今まで実際に見たことは無いんだ。僕はずっとあらゆる物を溶かす究極の技と聞いていたんだ。でもキクが使えるなんて驚きだよ」
「まじか、確かに俺の放った技の範囲部分は全部、溶岩みたいになっている」
「とりあえずキクのおかげもあって、無事に三魔獣を倒すことができた。ありがとうキク」
「いいよ。それにラミルが言ったとおり本当に楽しかったし」
ラミルの手に一つの玉が現れる。
「これが魔力玉だ。やっぱりいつ見ても神秘的だ」
「魔力玉って一つしかないのか?どうやって村のみんなに力を与えるんだ?」
「一つで何人かは使えるはずだ。全員は無理だろう。カルベロス、コマチ、イワタ、マイル、俺の5人くらいで無くなってしまうだろう」
「そうなんだ、まあとりあえず入手できたってことで、村に帰ろうラミル」
「そうだなキク、ありがとう。最高の思い出になったよ」
「こちらこそ」
そう言っていると、ギャラクシーキャット達が慌てた様子でやって来た。
「ラミル様、キク様、大変です。ミムラが一人で村に乗り込んで来ました」
「何だと!? 今はどんな状況なんだ?」
「それが…… カルベロス様が一人で相手をしておられます」
「カルベロスが一人で!?」
「はい、しかし、ミムラはとても強く、カルベロス様も持ち堪えられるかどうか。いち早くこのことを伝えるために抜け出して来てしまいました。申し訳ございません」
「いや、謝らなくてもいい。それよりもカルベロスが心配だ。ありがとう、君が来たおかげで間に合うかもしれない」
「ありがとうございます。ではラミル様、キク様行きましょう」
「ああ、そうだな頼む」
そうして俺達はギャラクシーキャット達の移動で村へ帰るのだった。
「着いたぞ、キク、気をつけて行こう」
「ああ」
そうして俺達は街の中央部に入る。
「マイル!無事だったか」
「ラミル様!来てくれたのですね」
「ミムラが来たと聞いたが、どうなっているんだ?」
「カルベロス殿がミムラを止めてくれました。ですが……」
「どういうことだ?マイル」
「こちらへ」
マイルが案内した部屋の中にはボロボロで傷だらけになったカルベロスの姿があった。
「ラミル様おかえりなさい。申し訳ございません。我らの警戒が甘かった故に相手の侵入を許してしまいました」
コマチが深々と頭を下げる。
「コマチ頭を上げて、相手は非常に強力なやつだ、カルベロスだったからこそ、ここまでの被害に済んでいるのだろう」
「ラミル、どうにか治せないのか?」
「この魔力玉を使えば……」
「その魔力玉で治すことができるのか?ラミル」
「うん。治せるのだが多くの魔力を必要とするんだ。それに魔力が多すぎると自我を失ってしまう。その加減が難しい。魔力玉の半分くらいで大丈夫だとは思うが、万が一のことがあるかもしれない」
そうしてラミルは魔力玉を使ってカルベロスに魔力を注入した。
「すごい!瞬く間に傷が治っていく」
「これで完全に治ればいいのだが……」
カルベロスが目を開ける。
「ラミル様!帰って来たのですね。いや、ダメです、ここにいてはダメです。ミムラが来てしまいます」
そうして俺達はついに始まるミムラとの戦いに準備を整える。
最後の方でキリいいところ見つからなくて変に終わってしまいました。




