力の見せ場
「マイルとやら出番だ行け」
マイルは兵士達に呼ばれる。
「え、二人同時じゃないのか。大丈夫かなマイル」
俺は心配してマイルを見る。
「キク殿、そんな心配しなくても良い。必ず帰ってくるから」
マイルはそう言って部屋を去る。
「なんか完全に死亡フラグなんだけど。まあ、マイルなら大丈夫だろう」
俺は一安心して外を眺める。
「さて、次は今日入って来たばかりの新人だ」
マイルが闘技場の会場に入って行く。
「この新人は弓を持っているようだ。さてその腕前はどうかな。まずはアンデッド軍団二十体だ」
そうアナウンスが流れ、マイルは大勢の魔物と対峙する。
「こんなの朝飯前だ。サークルドレイン!」
マイルは一本の矢を放つ。
「これはすごい技だ。アンデッド軍団は何も出来ずに貫かれていく」
マイルは一瞬で二十体を倒す。
「さあ初戦は圧倒的な実力でクリア。次の対戦相手が気になるところですが、なんとヒーデルスネイクを投入しろと伝言が届きました」
会場はそれを聞いて大盛り上がりになる。
「今回は本当に異例の対応です。どうやらこの挑戦者は強いので並の対戦相手では面白くないと言う事です」
「へえ〜 そんなこともあるのか。マイルもなかなかやるな」
俺はマイルの様子を窓の隙間から見る。
「さあ、ついに登場だ」
ヒーデルスネイクがゆっくりと登場する。
「あいつってあんなに大きかったのか。前は洞窟だったからあんまり分からなかったけど」
マイルもヒーデルスネイクに向かって行く。
「さあ、やろうか」
そうしてマイルとヒーデルスネイクの対戦が始まる。
「おっと、危ない」
ヒーデルスネイクの素早い攻撃がマイルを襲う。
「さて、次はこっちの番だ。フィフス!」
マイルは一本の矢をセットして弓を構える。
マイルは真剣な表情をして弓の照準をヒーデルスネイクに確実に合わせる。
「ピューン」
マイルが弓を放つ。
マイルの放った矢はヒーデルスネイクに弱々しく当たる。
「あれ? あの攻撃弱そうだけど」
俺はその様子を見て戸惑う。
マイルはそれでも余裕な表情を見せる。
「あれ? でもあいつ動かないぞ」
ヒーデルスネイクはその場で固まったままだった。
「一体これはどういう事でしょう。ヒーデルスネイクが全く動く気配がありません」
アナウンスも同様の反応をする。
「気絶しているみたいです!」
確認しに行った一人が報告する。
「なんという事でしょう。あのヒーデルスネイクをこうも簡単に倒してしまうとは驚きです」
会場はマイルに対しての歓声で埋め尽くされる。
「こんなの当然の結果だ」
マイルは勝ち誇ったような顔をする。
「さて、次の試合はまた今度です。この新人の活躍が楽しみです」
マイルは一旦帰ってくる。
「マイルお疲れ様」
俺は声をかける
「お疲れ様も無いくらい簡単だった」
マイルは言う
「さて次はキクの番だ」
俺はマイルにそう言われて部屋の外に出る。
「なんかこういう大勢から見られる所は苦手だな」
俺はそんな事を考えつつ会場に向か。
「はい、次はまたもや今日入った新人です。今回はただの人間。これはあまり期待出来ない結果が予想できます」
「はあ、あいつ俺の事舐めてるな」
俺はアナウンスに怒りを覚える。
俺の姿を見て負けると確信したのかその場で眠ってしまう人もいた。
「さあ、初戦の相手はピンタフだ。奴らは集団戦を得意とします」
俺の前には十体程度のピンタフが現れる。
「さっき戦ったし、まあ俺の事弱いと思っていたやつは驚くだろうな。デス・インパクト!」
ピンタフは一斉に吹き飛ぶ。
そして俺の放った技でさっきまで寝ていた観客は飛び起きる。
「観客には衝撃はいかないが、音はするからな」
「なんということでしょう。あの新人の人間がピンタフをこんなにあっさり倒してしまいました。ですが試合はまだ序盤です。次の対戦相手はエクリプスです」
「エクリプスかよ。本当にこいつらアホなんだな」
「さあ、今度はさっきみたいに上手くいくのでしょうか」
エクリプス一体が俺の前に出てくる。
「一体じゃ、話にもならないな。なあ、司会さんよ三魔獣も追加してくれ」
俺は自ら提案した。
「なんと本人から提案がありました。三魔獣も追加しろとのことです。前代未聞です。これはすごい試合になりそうだ」
アナウンスが観客を盛り上げる。
「あんなに余裕ぶっこいで大丈夫なのか?」
歓声の中からはそんな言葉も聞こえてくる。
「さあ、登場です」
そうして三魔獣のヒーデルスネイク、クロノスタイガー、インセントエレファントの三体が現れる。
「キク様、お分かりでしょうが、奥義は使えないので注意してください」
ウォータープロテクトが言う。
「え? どうしてだ?」
「ザ・ラストリゾートやホワイトマグナムといったアルティメット級の技は観客も巻き込んでしまうため使用できません」
「まじかよ。じゃあどうする? 一気に三体だぞ」
俺は予想外の出来事に取り乱す。
「大丈夫です。心配しないでください。それらの技を使わなくても対処できます」
ウォータープロテクトが言う。
「そうか、そこまで言うのなら頼むぞウォータープロテクト!」
「分かりましたストロング・バトル・モード」
俺はリーフカッターを発動する。
「さあ対戦が始まります」
「これでも勝てるのか。三連波斬り!」
そうして俺の技が発動するとリーフカッターが相手を一色単に包み込む。
そしてその上から三連波斬りが入り込む。
「カンっ、カンっ」
三連波斬りがどんどんリーフカッターの一つ一つに衝突して分裂していく。
「こんな使い道もあるのか」
俺が自分の技を観察している間に三魔獣達は休みのない斬撃を受ける。
そして三魔獣達はあっという間に倒れる。
「とんでもない見たことがない技だ」
俺はリーフカッターをしまう。
「キク様の三連波斬りの練度によってこの組み合わせが可能になりました」
ウォータープロテクトは言う。
「なるほど、俺はいつのまにか技を使いこなせるようになっていたのか」
「さあ、またあの新人がやりました。この三魔獣をあんな早く倒してしまうとは……」
アナウンスは言葉を失いかける。
「観客も歓声というよりかは若干引き気味だな」
俺は辺りを見回して思う。
「今回の試合はとんでもない実力を持った二人が登場しました。よほど悪いことをしたのでしょう」
「そうか、俺達って一応捕まっているのだった」
俺はふと思い出す。
「まさか俺が単に間違って入って来たとは思うまい」
俺は内心笑っていた。
「この新人だったら、あの最強の男ライジングにも勝てるかもしれない」
会場は盛り上がる。
「ライジングってあいつの事か。強そうだから戦いたくないな」
「今回はこのあたりで終了いたします。みなさんまたのご来場をお待ちしております」
そうして俺の試合が終わったのと同時に観客はみんな帰って行く。
「こっちに来い」
俺は兵士達に呼ばれて中に戻る。
「お前なかなかやるな。でも次は無理だろうな」
兵士の一人が言う。
「そうだと思います」
俺は真剣に答える。
「お前は変な奴だな。普通はそこで余裕とか言い張るのだけどな。まあ、俺は応援してるぞ」
兵士は俺の肩を叩く。
「なんかこいつムカつくけど根はいい奴っぽいな」
そして俺はマイルは合流し、最初とは違う少し豪華な部屋に入る。
「え? ここって……」
「ここはCランク部屋だ。お前達は今日の初戦を突破したから部屋がグレードアップしたんだ」
俺達の入った牢屋はフカフカのベッドがあり、テーブルまで用意されていた。
「ここ、牢屋っていうよりかはホテルみたいだな」
俺は室内の装飾を見て思う。
「まあ結果的に良かったな。ここにいれば快適だし」
マイルはベッドに横たわってくつろぐ
「そんな事言ったって、ここは牢屋なんだぞ」
俺はそう思いながらも一夜を過ごすのだった。
今回は戦闘回です。
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