巨大な水族館
「こんなにもたくさんの植物があるし、全部ほとんど見た事無いからなんかゾクゾクするよ」
俺はだだっ広い空間の隅々を観察していた。
「これほど大きいとは僕も思わなかったよ。あの植物って……」
ラミルは一つの植物を見つけてすぐさま駆け寄る。
「こっちだよ。これはねとても貴重な花でね。ある地域の一部分にしか生息していないんだ」
ラミルがそう説明した花は、照明も何もない状態でも見えるくらいに輝いていた。
「この花はこの通りとても神々しい姿をしているから、天の使者が天と間違えて死者を持ってきたという逸話があるんだ。名前はホワイトステアーというんだ」
ラミルはじっくりと観察しながら説明をする。
「へぇー、そうなんだ。ていうかラミルって結構花とかに詳しいんだ」
俺はラミルの意外な特技に少し感心する。
「以前旅をしている時に、色んな地域を回ったんだ。その際、地域の人々から話を聞いていたんだ。そのおかげで少し詳しくなった感じかな。まあ、実際は豆知識みたいなものだけど」
ラミルは言う。
「ねえ、ラミル。次はあっちのエリアに行ってみようよ」
俺はトンネル型の通路を指差した。
「いいよ。あそこも楽しそうだね。あっちはここよりも巨大な植物の展示があるみたい」
「本当だ。早速行ってみようラミル」
そうして俺とラミルはトンネルに入るのだった。
一方でカルベロスはと言うと。
「カルさん。これってどこの魚?」
海の展示に進んでいた。
「これはどこのだろうな。確かに全然見た事ない種類だ」
カルベロスは魚を目をよく凝らして観察する。
「なんかじっと見ていたら視界が……」
ウニヤはフラフラしている様子で言う。
「この魚は錯覚の作用があるみたいだ」
カルベロスは隣にあった説明を読む。
「もう私ダメかもしれない次に行こう……」
ウニヤはふらつきながらも次の展示に行く。
「ここは展望室エリアか」
カルベロス達が次に行ったのは大きな水槽の中に展望室があり、三百六十度見渡す事ができる展示だった。
「うわー キレイだ」
ウニヤは水の綺麗さにうっとりする。
「あの黒い影はなんだ?」
カルベロスが言う。
「え!どんどん近づいて来るよ。大丈夫なの?カルさん」
「ポーン」奇妙な鳴き声を発する。
「あれは黄金魚だ。それにしても大きいな」
カルベロスは黄金魚の姿に感動する。
「このまま激突するのかと思ったよ」
ウニヤは一安心したような様子になる。
そうしている間、辺りが急に暗くなる。
「え、なに?」
ウニヤは再び戸惑う。
「あ、あれは……」
カルベロスは言葉を失う。
「エクスウェイだ。こんなところで見られるなんて……」
カルベロスの表情は好奇心に満ち溢れていた。
「話は聞いた事があったが、こうして間近で見るのは初めてだ」
「カルさん。あれはなんなの? 大きすぎない?」
ウニヤはカルベロスに聞く。
「あれは極寒の地域の海に生息する生物なんだ。この生物はトップクラスに大きくて見られるのは稀なんだ」
「ほへー そんなに貴重な生物なんだ」
ウニヤも少し理解したようで感心して言う。
その一方でコマチ達は。
「コマチ様、どこに行きましょう」
イワタが行き先を尋ねる。
「そうだなぁ。まさか誰も我らのチームから離れようとしないとは……。こんなにも大勢で移動するのは大変だ。まるで自分がツアーのガイドみたいな感じがするよ」
コマチは困ったような顔をする。
「そうですね。こんなにも大勢でいると、普通の展示では厳しいですね。まず最初はあっちの食べ物エリアに行ってみたらどうですか? 結構広そうです」
イワタがコマチに提案する。
「そうだな。あそこだったらみんなも楽しめるだろう」
そうしてコマチ達は食べ物エリアに行く。
「こんなにたくさんのお店があるのか……」
コマチはその光景に口を開いたままで動かなくなる。
「本当ですね。一体何階まであるんでしょう」
イワタは上を見上げる。
「まあ、このぐらいの広さだったら十分すぎるくらいだ。みんなここで少し晩飯といこう」
コマチがそう言って部下達はそれぞれ行きたい場所に行く。
「なんだよ。食べ物になるとこの有様かよ」
コマチは愚痴を言う。
「まあまあ、コマチ様。みんなお腹空いていたんですよ」
イワタは慰める。
「コマチ様。イワタ様。一緒に何か美味しそうな食べ物探しに行きませんか?」
カリスが言う。
「ああ、そう言えばカリスも来ていたんだな」
コマチが言う。
「え! 私ずっと居ましたけど……」
カリスは悲しそうな顔をする。
「ごめんなんか。そういうわけじゃ無いんだ」
コマチは慌てて言う。
「そうですよね。コマチ様は忙しいですから私なんか相手にしなくても当然です」
カリスは嘆くように言う。
「カリスさん。コマチ様にどうかお供してくれませんでしょうか? コマチ様はこう見えても表に出さないだけで、心の中では嬉しいと言っていますよ」
イワタがフォローに入る。
「おい、イワタ!」
コマチは少し照れくさそうに言う。
「そうだったのですね。すいませんコマチ様の心の内に気づかなくて……。わかりました。では私もお供しましょう」
カリスは機嫌を取り戻す。
「まったく……イワタは余計なことを……」
コマチは呟く。
「結果的に良かったじゃないですか。彼女も喜んでくれているようですし」
「まあ、そう言われればそうか……」
コマチは少し納得する。
「じゃあ早速行きましょう」
そうしてコマチ、イワタ、カリスの三人で食べ物を探しに行く。
「うん、うん、どれも美味しそうな食べ物ばかりです。あそこにあるのは何ですか?」
カリスは何かを見つけたようで興味津々でそれを見に行く。
「いらっしゃいませ」
店の店員は言う。
「すいません。これはどういう食べ物ですか?」
カリスは聞く。
「これは月面鶏の肉を使った唐揚げですよ。どうぞ食べてみてください」
店員は試食用に手渡す。
「う、うまい! これは新しい感覚です」
カリスはあまりの美味しさに感動する。
「これは油で揚げているのですか?」カリスはさらに聞く。
「油で揚げているわけではありませんが、作り方は油であげるのとほとんど一緒です。唯一違うのは、肉の中に非常に小さい熱源を入れています。それと同時に外側から火をうまい具合にかけます」
「全然何を言っているのかわからない。まるで指南書を読んだ時みたいだ」
コマチは会話を聞いて思う。
「そうなんですね。ありがとうございます。今度やってみます。それじゃあ三人分もらえますか」
カリスは注文する。
「さあ、どうぞ」
「ありがとうございます」
カリスは受け取って近くのテーブルに行く。
「ここら辺どうですか?」
カリスが言う。
「うん、とても良い場所だ」
コマチは答える。
「なんですか?その感想。コマチ様は面白い方なのですね。それではみなさん早く食べましょう。冷めないうちに」
そうしてコマチ達は食事をする。
「しかし、ここは本当に便利だな。うちの村にもこういうところが欲しいよ」
コマチが言う。
「コマチ様もそう思います? 私もここを見た時からそう思っていました。うちの村でもこんな風にみんなが楽しんで食事ができる施設が欲しいと」
カリスは下の階の風景を見ながら言う。
「後でマイル様とラミル様に頼んでおきましょう」
イワタが提案する。
「本当ですか! ありがとうございます。イワタ様」
カリスは目を輝かせて言う。
「それじゃあ、食事も済んだ事だし、どこか観に行こうか」
コマチが言う。
「いいですね。でもどこに行きましょうか」
イワタが考える。
「ピンポーン、皆様にお知らせします。これより、第一プールを開放いたします」
アナウンスが流れる。
「プールですか…… 良いですね」
カリスが言う。
「確かに、プールだったらみんなも楽しめるだろう。よしっ、次はプールで決まりだ! 全力で楽しむぞ」
コマチはテンションが上がった様子で言う。
「あんな興奮したコマチ様見た事ありませんよ。さあ、行きましょう」
「わかりました」
そうしてカリスとイワタはコマチに付いて行き、プールへと向かうのだった。
だいぶいつもと変わった雰囲気にしようと思ったらこうなりました。




