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視察

「力が出ない……」

 コマチが言う。

「コマチ!大丈夫か?」

 ラミルが心配して声をかける。

「ラミル様、どうやらわしらはあの光の影響を受けているようです。わしはそこまで影響は無いが、部下達は立ち上がる事すら出来ない」

 カルベロスは言う。

「その苦しむ姿を銅像にしたいくらいに清々しい。しかし、何人か回避している者もいるようだな。仕方ない。もう少し出力を上げろ!」

 ミランがそう言うと光はさらに強くなる。

「くっ」

 カルベロスはその場で膝をつく。

「大丈夫か!カルベロス」

「ラミル様、申し訳ございません。わしもどうやら耐えられないようです」

 カルベロスが息を切らしながら言う。

「分かった。そこで休んでて」

 ラミルがカルベロスに言う。

「カルさんは年だからね」

 ウニヤが普通の様子でカルベロスに駆け寄る。

「ウニヤは流石だなあ」

 ラミルは言う。

「こんなの大した事ないよ。でも私達以外の魔物には辛いかもね。私、明るいの少し苦手だから、ちょっとあの装置止めて来るよ」

 ウニヤはそう言ってミランの所へ行く。



「ねえ、その照明消してくれない?」

 ウニヤは直接ミランに話しかける。

「なんだお前は、ああ思い出した。確かカラミティ様の部下で、あのスライムにやられた奴だな」

 ミランはウニヤを見下す。

「貴様! この私を怒らせたらどうなるのか知らないのか」

 ウニヤは拳に力を込める

「知らないねぇ。知っていたとしても、もう忘れてるかもな」

 ミランは部下達とウニヤの事で笑い合う。

「そうだよな。貧弱な奴が知ってるわけないか。どうしてかって? それは、私を怒らせたら奴は全員、消しているからだよ!」

 ウニヤの怒りは頂点に達する。

 それと同時に装置の防御壁は歪んでいく。

「まさか、あいつの圧だけで……」

 ミランはその様子を見てさっきまでの表情が消える。

「パキンっ」

 ついに一つの装置が壊れる。

「おい! あいつを止めろ」

 ミランは部下達に命令をする。

「そんな攻撃は無駄だ。くらえ! ザ・フェニックス」

 ウニヤが技を使おうとした時だった。

 突然イナズマが敵を貫いていく。



「なんだ?私のじゃないぞ」

「ウニヤ、すまんがそこまでにしてくれないか」

 ラミルがウニヤに言う。

「しかし、ラミル様相手は……」

 ウニヤは少し不満そうに言いかける。

「ここからは僕がやるから。ほら、もう装置は壊れているし」

 そう言われてウニヤはハッとしたように装置の方を見る。

「そうでしたね。すいません」

「大丈夫。それに助かったよ。おかげでみんなも元通りだ」

「分かりました。私はみんなの援護に入ります」

 そう言ってウニヤは後ろに引き下がる。

「ふ〜 少し危なかった。たぶんあのままだったら、ここ一体が無くなる所だったかも。ザ・フェニックス…… とんでもない技だ。それを扱うなんて……」

 ラミルがそう言っている間にミランは話し出す。

「おいっ、そこのラミルとやら、この後はどうする? 私達を消すのか?」

「僕達はあなた達の王に対談という形で話をしていたはずですが……」

 ラミルが言う。

「対談? でも…… タークスはそう言ってたような」

 ミランは考え込む。

「思い出した。タークスは来ると言ってただけだった。戦うとは言ってない……。という事は……」

 ミランは自分のした事に気がついて顔が青ざめる。

「ラミルさん。私は……」

 そうミランが言いかけた瞬間に一つの扉がラミルとミランの間に現れる。



 そこからは三人の長老が出て来る。

「これはお初にかかりますラミルさん。わしらは、ヨウシ、ソウシ、トウシと言います」

 三人の長老は丁寧に挨拶をする。

「この度は、ギャイン様の命令により、ラミルさん達を倒しにきました。それでは早速始めましょう。ブライトテスト・ダウン!」

 三人の長老はそれぞれ一人ずつブライトテスト・ダウンを発動する。

「なるほど、技の三重がけか。威力はさっきよりも強いみたいだ」

 さっきと同様にウニヤとラミル以外の仲間達は倒れていく。

「なんと! この技を耐えるとは。それに三人も」

 三人の長老は少し驚いたような表情を見せる。

「ですが一人、人間が混じっているようですね。どうします? あいつから消します?」

 三人の長老達は自分達の中で話し合う。

「ちょっとそこのおじいちゃん達。作戦会議は終わったのか?」

 ラミルが大きな声で言う。

「失礼ラミルさん。今、どちらから倒そうかと話し合っておりまして、その結果まずは一番弱そうなあの人間から倒すことに決まりました」

 三人の長老は言う。

「分かった。キク、任せた」

 ラミルはただそう言うだけだった。

「えー なんかこういう時っていつも一番弱そうだからって酷い目に遭うな。まあ、いいや。ウォータープロテクト!よろしく」

 俺は戦闘体制に入る。

「はい、ストロング・バトル・モード」

「どうやらあちらの準備は整ったみたいですね」

 そう言って三人の長老達は一瞬で俺の前に瞬間移動する。



 一人は打撃、一人は魔法、一人はバフ要員で攻撃をして来る。

「へぇー こんな感じで攻撃してくるんだ。でも、全然余裕だな」

 俺はウォータープロテクトに示されるまま対応する。

「なかなかやるな。この人間。みなよ、次で終わりにしよう。三重のホワイトマグナム!」

 三人の長老は同時に技を打つ。

 その威力はとんでもないもので、一瞬にして広い空間はサウナ状態になる。

「ホワイトマグナムか。では、こちらはこれだな。発動!ザ・ラストリゾート・改!」

 俺はザ・ラストリゾートのさらなる進化系の技を使ってみた。

 俺の手からは目視でやっと見える程の細い水の槍が出て、その一本からはまるで木の枝のように派生していく。

「わしらの最終奥義を無事に避ける事など出来ない。これは勝ったぞ……」

「ぐさっ」

 三人の長老は同時に倒れる。

「ど、どうしてだ。まさかわしらの技が負けたというのか」

 三人の長老達は驚きを隠せないでいる。

「大正解。お前達の技は三人をもってしてでも俺一人に負けた」

 俺は冷徹を装い三人の長老へと近づく。

「まさか、こんな人間がいるとは…… わしらはとんでもない奴に喧嘩を売ってしまっていたのか。どうか、命だけはお助けください」

 三人の長老は命乞いをする。

「発動!ホワイトマグナム! お前達の技で消し炭にしてやる!」

 そうして俺は技を放ち、三人の長老を跡形もなく消した。

「アセスメント・リザルト」

 戦闘終了の合図だけが頭の中に響く。

「キク、よくやった。あそこでためらわずに技を打つとは感心したよ」

 ラミルが近寄って言ってくる。

「これはウォータープロテクトの判断だ。俺はそれに従っただけ」

 俺は説明する。

「そうなんだ。ウォータープロテクト、キクの事お願いね。これからも活躍を期待しているよ」

 ラミルがそう言うと、突然俺の隣に球体が出現し、それが人型へ変わって行く。



「はいっ、ラミル様。私はキク様のサポートに全力を尽くします」

 ウォータープロテクトは実体化してラミルと話す。

「え! そんな事出来たんだ」

「はいっキク様。私は以前白兎様から自由意志をいただきました。そしてこのように色々なことが出来るようになったのです」

 ウォータープロテクトは嬉しそうに話す。

「頼もしい限りだ。それで、この後はどうすればいいのかな? さっきのミランとかいう奴はどこに行ったんだ?」

 ラミルは辺りを見回す。

「ラミル様! さっき見ていたのですが、ミランはあそこの通路から外へ抜けたようです」

 コマチが立ち上がって言う。

「あそこの隠し通路みたいな所か。分かった。それじゃあ、イエローブリッジのギャインの所へ行こう。こんな事されたのだから、ただじゃおかないぞ! ギャイン」

 そうラミルが言って、俺達はイエローブリッジの頂点を目指すのだった。

次回も頑張ります。

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