型破りな作戦
「ドンっ」扉は大きな音を立てて開く。
そこには広く薄暗い空間が広がっていた。
「とんでもない圧だ。あそこにいるのがオメガドラゴンだろう」
ラミルが指差す先には巨大な一体のドラゴンが居た。
辺りは薄暗いせいで正確な大きさは分からないが、この広い空間いっぱいに開く翼は、容易にその大きさを想像させる。
「あいつだよ。結構強いから頑張ってね」
ウニヤがまるで他人事のように、雰囲気ぶち壊しな発言をする。
「本当にウニヤって言ったら、わしも参戦するんだぞ」
「え! カルさんも戦うの!?」
「当たり前だ、何のためにここに来たんだ?」
カルベロスは少し声を大きくして言う。
「はい、分かりました。私も手伝います」
ウニヤは下を向いてブツブツ言う。
「準備はいいか?近づくぞ」
そうラミルが言って俺達はオメガドラゴンに真正面から近づく。
「ガタン」
オメガドラゴンは俺達の存在に気づき、鋭い眼差しで俺達の方を見る。
そして次の瞬間、広い空間は大きな炎が灯され、瞬く間に明るくなる。
オメガドラゴンは大きな咆哮を発する。
「どうやら、チュートリアルみたいなのは無いそうですよ」
ミムラが言う。
「そのようだな。貴重な睡眠の時間を奪われて怒っているのだろう。みんな、早速戦闘開始だ!」
ラミルがそう言って俺達は一斉に武器を構える。
オメガドラゴンは俺達の動きに合わせて二十体程度の魔獣を召喚する。
「これは驚いた、三魔獣があんな何体も……。こっちは私達が相手します。ラミル様とカルベロス様はオメガドラゴンをお願いします」
ミムラが各々の振り分けを言う。
「分かった。よろしくなみんな。ウニヤも頼んだぞ」
ラミルはウニヤに信頼を預ける。
「分かりました」
ウニヤは返事をする。
そしてラミルとカルベロスは先にオメガドラゴンのところへ行く。
「キク様、ウニヤさんお願いしますよ」
そう言ってミムラは正面の魔獣達に斬りかかる。
「俺も早速始めるとするか、よろしくウォータープロテクト!」
「ストロング・バトル・モード」
俺はウォータープロテクトの新機能を発動する。
「こんな技の組み合わせで戦うのか、面白そうだな。まずは、これだ! ザ・ラストリゾート!」
俺は戦闘を開始する。
その一方でウニヤはというと、
「へぇーー あのキクという人、なかなかやるじゃん。私も頑張らないと。発動!金の鎧!」
ウニヤは白金色の装備を身につける。
「これでまとめて倒してやる!クロスロード!」
ウニヤの放った攻撃は超広範囲に広がる。そして、とんでもない威力の爆発が起こる。
その爆発の衝撃で洞窟全体が揺れる。
「さすがです。ウニヤさん。あなたは間違いなく最強と言われている天軸人だ」
ミムラはウニヤの姿を見て、少し笑って再び魔獣達を斬っていく。
その頃ラミルとカルベロスはオメガドラゴンと奮闘していた。
「カルベロス! オメガドラゴンの注意を引き付けて!」
ラミルとカルベロスは二手に分かれて行動する。
「くらえ! コメットダンス! あれ? どうして発動しないんだ?」
カルベロスは技の不発に戸惑う。
「そうだ、ここって洞窟だったんだ。だから星の力を借りることが出来ないのか。まずい、とりあえず単純な攻撃しか出来無さそうだ。発動!ストーリーズ!」
カルベロスは予測をする。
「さすがに、予測時間内では倒せないか、でもこれで注意を引けるはずだ」
カルベロスは計算された行動でオメガドラゴンの注意を引いていく。
「よし! このタイミングだ!飛天剣!」
ラミルは光のパワーを貯めてオメガドラゴンに斬りかかる。
「バコンっ」
オメガドラゴンはその衝撃でよろめく。
「そして傷口にさらに畳み掛ける!水面波切り!」
ラミルの水面波切りはみるみる内にオメガドラゴンの体内へと入っていく。
オメガドラゴンは痛みで暴れ出す。
「よしっ、効いてるようだな。水面波切りは効果の持続時間が長いから、確実に深手となったことだろう」
ラミルはそう思って俺達の所へ戻ろうとする。
「バタンっ」
ラミルの体にオメガドラゴンの尻尾が直撃する。
ラミルは勢いよく地面に叩きつけられる。
「何だと!さっき確かに斬ったはずじゃ……」
ラミルは痛みに耐えながらもオメガドラゴンの傷口を確認して唖然とする。
「まさか! さっきの傷口が消えている。オメガドラゴンは再生能力持ちなのか!」
ラミルは衝撃の事実に体に入っていた力が一気に抜ける。
「くそっ、僕の体が全然びくともしない……」
ラミルの体はオメガドラゴンのパワーも相まって全く動かない。
「最後の攻撃!デスインパクト!」
俺は一気に魔獣を吹き飛ばす。
「アセスメント・リザルト」
ウォータープロテクトが戦闘終了のコールをする。
「合理度八十パーセントか。ちょっと低くなるんだな。さあ、誰かの手伝いしに行こうかな」
そう思って俺は周りを見る。
「ミムラはもう少しで終わりそうだし、ウニヤの方はもう終わっているな。ラミル達はどうだろう?」
俺はオメガドラゴンの方を見る。
「あれって…… ラミルなのか!? まずい早く助けに行かなきゃ」
俺は地面に倒れているラミルの姿を見て急いで駆けつける。
「ウォータープロテクト!戦闘モードだ!発動ギャラクシーマインド!」
俺はウォータープロテクトの力を借りてオメガドラゴンの攻撃をかわしてラミルのところに着く。
「おい、ラミル大丈夫か!」
俺はラミルに声をかける。
「キク様!ラミル様の生命反応が薄くなっています」
ウォータープロテクトがラミルの状態をスキャンする。
「え!まずいぞ。どうしたら良いんだ?とりあえずここから離れよう。お願いだ。間に合ってくれ」
俺は泣きそうになりながらも、ラミルを抱えてオメガドラゴンから必死に離れる。
「みんな!大変だ! ラミルが大変なんだ!」
俺はすぐさまミムラとウニヤに状況を説明しようとするが、気が動転して上手く言葉が出てこない。
「キク様!ここはキュアサバイバーで応急処置を推奨します」
「分かった。ありがとうウォータープロテクト。みんな! 俺は今から応急処置をするから、少しの間オメガドラゴンの相手をしていてくれ」
「分かりました。キク様。私達にお任せください。ウニヤさん、行きますよ」
「うん、分かった」
そしてウニヤとミムラはオメガドラゴンのところへ向かう。
そしてミムラ達とのすれ違いでカルベロスが戻ってくる。
「ラミル様…… わしが上手く誘導できなかったばかりに」
カルベロスは今まで見せたことが無いような表情をする。
「カルベロス。まだ、駄目だと決まったわけじゃ無い。お願いだ!手伝ってくれ」
俺はカルベロスにも手伝だってもらうように言う。
「ウニヤさん、私はあなたの技の位置におとりとなります。その隙に攻撃をお願いします」
ミムラがそう言ってオメガドラゴンの後ろへ回り込む。
その動きにつられてオメガドラゴンもミムラを追いかける。
「発動! トリメンダスインパクト!」
ウニヤの指から一本の光が出てオメガドラゴンの頭に正確に命中する。
その瞬間とてつもない衝撃波が発生して、その衝撃波はオメガドラゴン内へと吸収されていく。
「ドサー」
オメガドラゴンはその場で倒れる。
「さすがですウニヤさん。私も攻撃します」
ミムラはオメガドラゴンの周りをまるでコンパスを使って円を描くように正確に斬っていく。
そしてオメガドラゴンは大きな咆哮を上げて、その場で動かなくなる。
「ウニヤさん。あなたのおかげです。感謝します」
「ミムラさんもすごかったですよ」
ウニヤは柔らかい表情をして言う。
「今は一時気絶状態です。私達は早めに戻りましょう」
そうしてウニヤとミムラは一旦俺達の元へ戻ってくる。
「ラミル!起きてくれお願いだ!」
俺は何度も呼びかける。
「キク……」
ラミルが少しずつ目を覚ます。
「ラミル…… 良かった」
俺はラミルのことを抱きしめる。
「本当に良かった……」
カルベロス達もホッとしたような表情をする。
「キク、少し苦しい」
「ああ、ごめんラミル。つい……」
そして俺達はラミルの命の危機をなんとか回避するのだった。
オメガドラゴン結構強いですね。




