嬉しい贈り物
「おめでとうございます皆さん。見事に試練を克服されました。この試練には一人一人の教訓となるようなものが含まれています」
白兎が突然現れて、説明し始める。
「まず、ラミルさん。あなたは正式に次の魔王となることを認められました。そしてミムラさん。あなたは最後まで自分の力を信じ、見事に突破して見せました。
その栄誉を讃えて、アルティメットスキルであるイグザクトを与えます。
そして最後に菊五郎さんあなたには、魔物と同じ量の魔力を扱える能力を授けましょう。それでは皆さんお疲れ様でした」
俺たちはそれぞれ白兎から試練突破のご褒美として、さらに強い能力を獲得した。
「え! この俺もついにノーマルスキルも使えるってことだよな」
俺は、今までで一番テンションが上がっていた。
「良かったなキク、これで人間だからって制限するものは何もなくなる」
ラミルが言う。
「ああ、それよりラミルはスキル系統とか何も貰わなかったのか?」
「魔王になることを正式に認められたという事はスキルを獲得する以上にすごい事なんだ。賢者に認められる事によって世界系統の技に干渉することができる。この世界系統の技は最強と言っても過言ではないくらい強力なものだ」
ラミルが説明する。
「そうなんだ。なんかすごそうだな。そういえばミムラのアルティメットスキルイグザクトって何なんだ?」
俺がそう言うとウォータープロテクトが答える。
「アルティメットスキルイグザクトは、攻撃が絶対に当たるというスキルです」
「まじか! それって聞いた雰囲気だと最強なように感じるんだけど」
「いや、そうは上手くいかないでしょう。確かに絶対に当たると言うスキルは強力ですが、それが仇となってしまう場面もあるかもしれません」
ミムラはいつもと変わらず冷静な分析をする。
「追加報告、菊五郎さんの保有技であるウォータープロテクトにも褒美が与えられます」
白兎が突然現れて再び話し始める。
「え! ウォータープロテクトにも! 技にも褒美を与えるってできるのか?」
俺は疑問に思う。
「ただいまより、菊五郎さんの技に強化を施します」
そうしてウォータープロテクトは一つの玉となって白兎のところに浮遊していく。
「強化開始、完了率三十パーセント」
そうして、白兎による強化が始まる。それと同時に神々しい光に辺りは包まれる。
「完了。ウォータープロテクトの強化が完了しました。これより、所有者に返還いたします」
そしてウォータープロテクトの玉は俺の胸の中へ戻っていく。
「強化能力としては、分析能力の向上、戦闘機能の追加、自由意志の発言です」
白兎はそう説明する。
「これで全ての強化を終了いたします」
そう言って白兎は一瞬にして姿を消す。
「すごいなキク、技までも強化が入るなんて」
ラミルが言う。
「確かにな、何だが技を褒美として強化するって変な感じ。まあ、とりあえず発動してみるか」
俺は早速ウォータープロテクトを発動してみる。
「キク様、ありがとうございます。これからもっとお役に立てるように頑張ります」
「ああ、よろしく。思ったんだけど、なんか口調変わった?」
俺は僅かだかウォータープロテクトの口調の違和感を感じ取る。
「そうですか。私は特に口調としては変わってはいませんが、そんなことより私のサポートプログラムに戦闘モードが追加されました。このサポートプログラムは、戦闘時の際、瞬時にキク様と相手の行動の評価をし、それをキク様の行動に反映させることができます」
ウォータープロテクトが早々と説明する。
「俺の行動に反映? それって俺の体を勝手に動かすってことか?」
「はい、ですがなるべくキク様には違和感のないように配慮いたします。キク様の行動を評価し、予測して行動に反映いたします」
「まあ、どういうことか全然わからないけど、大丈夫ってことだな。これからもよろしくウォータープロテクト」
そうして俺は一通り確認した後にウォータープロテクトを解除する。
「よし、そろそろ帰る事にするか。僕達が迷い込んでいる間に二日過ぎていたみたいだ」
「え! そんなに時間が経っていたのか。体感では一日も経っていないような感じだったけど」
「たぶん僕達がいた世界は今のこの世界とは別なのだろう。だから時間の進み方が違っても何も違和感はない」
「そう言われてみれば確かに……」
俺はラミルの説明に納得する。
「じゃあ帰るか」
そうして俺達はきた道を戻る。
「こんな時にカルベロス達がいればなぁ。一瞬で帰ることができるのに」
俺は退屈でそんなことを考え始めていた。
「まあ、カルベロスは今忙しそうだからな。訓練所の師範代と新しく仲間になったウニヤの世話。特にウニヤは大変だろうな。彼女の力は強大なのが分かるが、一体それがどのくらいなのか僕も興味がある。今は、彼女が村にいることで安全性は抜群だろう」
「確かにそうですね。あのウニヤという人物は何かとんでもない力を秘めている感じかします。カルベロス様の話によれば、私達が苦労して倒した魔王カラミティを一瞬で倒すことができるそうで、もし本当だったらかなりの力の持ち主です」
ミムラが自分の考えを言う。
「敵性生物を感知しました」
突然ウォータープロテクトが反応する。
「みんな敵性生物がいるらしいから気をつけて」
俺は咄嗟に警告する。
「敵性生物? 全然何も感じないけど」
ラミルが顔をしかめる。
その瞬間だった。
「バチーんっ」
巨大な虎が現れる。
「え! 何でここにクロノスタイガーが! 三魔獣はコマチ達にお願いしているはずじゃあ。あっそうか、今は休止中なんだった」
ラミルが一人で何かを言っている。
「新機能を試しますか?」
ウォータープロテクトが聞いてくる。
「そうだな、ちょうどいい。お願いウォータープロテクト! ラミル、ここは俺に任せてくれ、少し試したいことがあるんだ」
「分かった。頑張ってね。まあ大丈夫だとは思うけど」
そして俺はひどく気が立っているクロノスタイガーに向かう。
「ストロング・バトル・モード」
そうコールが流れるのと同時に、俺の頭の中にクロノスタイガーの情報と俺の最適な行動の情報が流れてくる。
「なるほど、こう言うことか。これに従って戦えばいいんだな」
そして俺は指し示された情報に従って攻撃を始める。
「えーっと。ライド・メインストリーム、バーニングボルト、そして加速殴打か」
そうして技を一通り打った後、クロノスタイガーはその場に倒れる。
「アセスメント・リザルト」
「え! 何これ、合理度百パーセント? 何のことだ?」
俺は見慣れない言葉を見て疑問に思う。
「これは、今回の戦いがどれだけ合理的だったのかを計算したものです。計算の要素としては、消費魔力、威力、体への負担の三項目です」
ウォータープロテクトが長々と説明する。
「へえーー 確かに、結構な強敵なはずなのに、全然疲れていない。すごいな! ウォータープロテクト」
俺はこの新機能の快適さに感動していた。
「キク、すごいな。全然動きに無駄が無かったよ。まるで何かのパフォーマンスみたいだ」
ラミルが驚いたような表情で言う。
「私もとても感銘を受けました。全ての動きが合理的に選択されている。私もその域に早く達したいと思います」
ミムラもラミルと同時に驚いた感じで言う。
「そんなに褒められるとなんか恥ずかしいな」
俺は予想以上の反応に少し戸惑っていた。
「これで、もう安全だな。村のみんなも待っていることだろうし、もう少し頑張るとしよう」
そして俺達は休みなしで村に戻る。
「みんな、ただいま」
ラミルが村の警備に言う。
「ラミル様、お帰りなさい」
マイルが出迎える。
「マイルはいつも早いな。少し遅くなってすまない。みんなにも心配をかけたことだだろう」
ラミルが言う。
「そうですね、あと一日ぐらいで危うく村の戦力を総動員してラミル様達を探しに行くところでした」
マイルはハキハキと言う。
「それはありがたいが、そうしてしまっては、村の守りがいなくなってしまうだろう」
「そうでした。私としたことが」
マイルが少し焦ったような表情で言う。
「みんなに報告がある。僕は正式に魔王となることを認めていただきました」
ラミルがそう言うと村のみんなは祝福する。
「じゃあ、次は魔王になるのが目標だな。ラミル」
「そうだねキク」
そうして俺達は次のステップへ本格的に進むのだった。
新たな展開も頑張りたいと思います。




