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求める者

 歓迎祭から一週間。俺が休んでいる間にラミルが計画していた訓練所が稼働し始め、ゴブリン村は訓練希望者を受け入れる建物が作られていき、騒がしい場所となっていた。



「ああ、もう休み終わりか。この一週間、俺はほとんど何もしなかったな。最初の日に図書館で本を借りて来てずっと読んでた」

 俺はぐうたら生活ですっかり鈍り切った体をゆっくりと動かす。

「でもなんか、いろいろ村も発展しているようだし、何だか楽しそうな雰囲気になって来たな。そうだ、ラミルに久しぶりに挨拶をしに行こう」

 そう思って俺は外に出る。

「あれ?こんな道あった? それにすごい長さの一本道だ」

 俺が外に出るとすぐに長い一本道が村の大通りから延びているのが見えた。そしてそこではあまり見慣れない者達が働いていた。

「キク、おはよう。どうだ? ちゃんと休めた?」

 ラミルが後ろから話しかけて来た。

「十分すぎるくらいにね。俺が休んでいる間に随分変わったんだな」

 俺は気になっていた事をラミルに聞く。

「色んな事が進んだよ。食糧生産に訓練所。それに水路まで」

 ラミルが嬉しそうな表情で言う。

「そうなんだ。それにしてもこの道どんだけ長いんだ? こんな長い道どこまで繋げる予定なんだ?」

「一応、計画ではオスムニアまでかな、まだ始まったばかりだけど」

「え! オスムニアまで!?」

 俺は衝撃を受ける。

「そうだよ。今回の工事にはナイロ王国の兵士達も手伝ってくれているんだ。友好の証としてね。話は変わるが、もうすぐ賢者の場所に行くからな」

 ラミルが言う。

「ええーー そんなすぐに! もう少し休んでも……」

「そんなに遅くは出来ないからな。それに今まで魔王が治めていた地域の魔物達も今頃は途方に暮れている事だろうし、僕がいち早くこの地の主となって統治してあげないと」

「そういえばそんな問題もあったな。分かった。俺も早速準備しよう」

「今まで休みだったしな。すぐに行っても大丈夫でしょ」

 ラミルが俺の顔色を見て言う。

「分かってないなラミル。休み明けが一番疲れるんだよ」

 俺は咄嗟に反論する。

「そんなの初めて聞いたけど。人間はそういう影響もあるんだな」

 ラミルが何の意味もない事を考え始める。

「とは言ってもやらなきゃいけないし、キクの事だから大丈夫だろ。よし準備をしよう。キク、なるべく早めにね。僕は不在中の打ち合わせをして来るから」

 そうして俺とラミルは一旦別れる。



「またお出かけか。ウォーミングアップにはちょうどいいかもな」

 そうして俺はラミルの言われた通り早めに準備を終わらせて、集合場所に行く。

「お待たせラミル」

 俺は待っていたラミルに話かける。

「やっと来たか。よしそろそろ行くぞ。今回は僕と聞くとミムラの三人。魔王討伐メンバーだ」

「なんかいいなその響き。俺達にぴったりだ」

 そうして俺達三人は出発する。



「白兎様がいると言われているのはゴブリン村から北東に進んだ所だ」

 ラミルが場所を説明する。

「あそこの地域ですか……」

 ミムラが呟く。

「どうかしたのか? ミムラ」

 俺は気になって聞く。

「白兎様がいる地域は氷の森と呼ばれている所です」

 ミムラが聞き慣れない単語を出す。

「氷の森? 何だそれ寒いのか?」

「氷の森は自然豊かな場所なんだ。でも、動物や昆虫、風の音とかの自然な音が全く聞こえない。だからその静寂さから氷の森と呼ばれているんだ」

 ラミルが説明する。

「人によっては落ち着くという人もいますが、私の場合少々、苦手でして。なんとなく無音というのが……」

 ミムラが不安そうな表情をする。

「すごい不思議な場所なんだな」

「そうだ。そしてその氷の森の少し小高くなっている場所に白兎様がいるという事だ。僕もだんだんと緊張してきたよ」

 そうして俺達はずっと真っ直ぐに歩いていく。



「今日はここら辺で野宿だ。ご飯を持って来ているからみんなで食べよう」

 ラミルが自分の体から食材を取り出す。

「なんか、ちょっと嫌な感じするけど……」

「え、別に何も問題無いと思うけど」

 ラミルが言う。

「それならいいけど……」

 そうして俺達は束の間の食事を終えてゆっくりしていた。

「ラミル。ちょっとそこまで水汲んでくるよ」

「分かった気をつけてね」

 俺は近くの小川に行く。

「今日は、満月の日なんだ。こっちの世界では現実よりもハッキリと見えるな」

「サッ」黒い影が俺の近くを通る。

「なんだ今の。全然見えなかった。なんか怖くなって来た。もしかしてお化けじゃないよな」

 そう思って俺はだんだんと怖くなって来たので早めに戻る。

「おかえりキク。どうしたの? そんな青ざめた顔をして」

 ラミルが俺の表情に気がついて言う。

「さっき、あっちで黒い影が一瞬通ったような気がして……」

 俺はなんとか説明する。

「黒い影? こっちは全然見えなかったけれど、見間違えじゃないのか?」

 ラミルが言う。

「そうだな。そう考える事にしよう。とりあえず水は持って来たから」

 俺は汲んできた水を火にかける。

「明日の作戦会議だが。白兎様は何かしらの試練を僕達に与えてくるだろう。しかし、それが何かは分からない。その試練を乗り越える事ができれば、話を聞いてもらえるだろう」

 ラミルが作戦を話す。

「分かった。俺達三人が協力すれば、どんな試練でも乗り越えられる!」

「うん、そうだな」

 俺の言葉にミムラとラミルは同調する。

 そして翌朝、俺達は氷の森に入った。



「ここが氷の森かあ。確かに不気味なほど音がしない。一体どうなっているんだ?」

 俺は生まれてきて経験した事が無い感覚で戸惑っていた。

「もう少し奥に行ったところで白兎様がたぶん寝ているだろう」

 ラミルが言う。

「そうですね、気を引き締めて行きましょう」

 そうして俺達は氷の森を進んで行く。

「ここだ」

 ラミルがそう言って指し示した場所には一つの大きな石があった。そしてその上には一つの真っ白な色があった。

「いたぞ。キク、ミムラ驚かせないように近づくぞ」

 俺達はそっと近づく。

 そして石の前までになんとかきた。

「あのーー 白兎様。お話があってきたのですが……」

 ラミルがそう言うと一匹の兎は目を覚ます。

 そして、その綺麗な瞳で俺達三人をじっと見つめる。

「ねえラミル」

 そう俺が言おうとした瞬間だった。

 急に激しい頭痛に俺達は襲われる。

「痛いなあ。なんだこの頭痛は」

「よくきました冒険のもの達よ。私はこの地を監視している白兎です。魔王討伐の件見事でした」

 機会音みたいな無機質な声が頭に直接響き渡る。

「白兎様。魔王を倒した今、この地は統治するものがいなくなっています。そこでこのスライムのラミルが統治することをお許しください」

 ラミルが丁寧にお願いする。

「分かりました。あなたは多くの魔物から慕われ、それの強大な力を持っています。十分に統治者としての資格はあるでしょう。それでは最後の試練です」

 そう言うと目の前にあった石はどんどんと大きくなっていく。それと同時に草木は生い茂り、その高さは全く周りが見えないほどまでに成長した。

「まずいな。周りが全然見えない。まるで迷路みたいだ。あれ? そういえばラミルとミムラはどこに行ったんだ? さっきまで隣にいたのに」

 俺はいつの間にか一人になっていた。

「早く合流しないと。早速この草木を焼き払おう。そうしたら見通しも良くなっていいだろう。ホワイトマグナム!」

 俺は技を打とうとしたが、発動することはできなかった。

「え!なんで技が出ないんだ?」

 俺は驚く。

「キク様。報告します。このエリアでは白兎様の結界により技の使用が禁止されています」

 ウォータープロテクトが言う。

「まじか。じゃあ己の力だけでここを脱出してみろって事か。あれ? でもなんでウォータープロテクトは発動しているんだ?」

「私は結界を解析し、その結界を破る事に成功しました。しかし、他の技についている結界までは、力及ばず破ることはできませんでした」

「ええ! すごいなウォータープロテクト。そんなことまでできたのか。よし、じゃあとりあえずここを脱出しよう」

 そうして俺は脱出の経路を探しに行くのだった。

ちょっと難しい状況設定にしてしまって大変です。

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