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試行錯誤

魔王戦が少し長くなってしまいました。次で終わらせるつもりです。

「さすがだなラミルよ、そこまでお見通しだったとは」

 カラミティが言う。

「こんな簡単なこと分からないわけ無いだろう。それに今まで派手にやりすぎだ。タイロ連邦国の件もお前が関わっていたんだろう」

 ラミルが言う。

「まあ、そうだな。しかしあの件は我らがお前達を止める以外の意味もあった。それはお前達の戦力がどの程度か、そして一人一人がどんな技を使うのか、それを確かめると言う意味合いもあったのだよ。お前達が一生懸命に戦ってくれたおかげで大体のことは把握できた。備えあれば憂いなし。我は準備を欠かさない」

 カラミティが自信を持って言う。

 ラミルは少し表情が暗くなった。

「さあ、どうする。敵に自分の戦法がほとんど知られている状態で戦ったらどうなるか分かるだろう。ここで引けばこちらからは何もしないでおこう」

 カラミティは選択肢を提示する。

「なあ、ラミル。どうするんだ?」

 俺はラミルに聞くが、なかなかラミルは顔を上げない。

「分からない。どうすれば良いか……」

 ラミルは下を向いて言う。

「おいラミル、今までの威勢はどうしたんだよ。俺達には魔王を倒す以外の選択肢は無いだろう」

 そう説得しようとするがラミルはなかなか決断できない様子をしている。

「もちろん魔王を倒したいが、今回は普通の相手ではない、魔王だぞ。それに僕達のことを全部知られている。果たしてその状態で勝つことはできるのか」

 ラミルは弱気になる。

「そんなこと知られたからってどうなるんだよ。技もスキルも知っているからといって必ず勝てるの? 違うでしょ。少なからず勝機はあるはず、それに相手は少し油断しているかもしれないからな。そこを付け込めば、十分に勝てる見込みはある」

 そう俺は説得を続けるとミムラも同調して来た。

「ラミル様、キク様の言う通りです。相手がいくらこちらの手の内を知っていようと、それが勝負の決定打になるわけではありません。むしろこの状況を利用するのです」

 ラミルは俺とミムラの呼びかけで、徐々に顔を上げる。

「そうだな。ありがとう二人とも、僕は今ので分かったよ。奇跡に頼ることも大事なことだって。僕が最初にキクに会えたからここに来れた。もしあの時キクと会えていなかったら僕は魔王の部下達にやられていただろう。今までのことは奇跡の連続なんだ」

 ラミルは明るい表情になる。

「よし、みんな最後までやり遂げよう。最後の奇跡を信じて」

 そうラミルが言ったのを聞いてカラミティは反応する。



「返事は戦うということでいいな」

 カラミティは言う。

「ああ、僕達はお前とここで決着をつける。さあ姿を現すんだ」

 そうラミルが言うとカラミティは奥のカーテンから姿を現す。

 長い白髪に鍛えられた体の輪郭は服越しにわかる。

「あれが魔王カラミティか、俺はよくゲームとかで見る人形じゃ無い姿を想像していたが、まんま人間じゃないか」

 俺がそう思っていると魔王カラミティが近づいてくる。

「我は姿を見せたということは同時にお前達の死を意味する。最後にその勇姿を見せてもらおうラミルよ」

 カラミティはラミルの前へ行く。

「ああ、分かった」

 ラミルの声はいつもより低かった。

「ではかかって来なさい」

 そう言ってカラミティは手招きする。

 それに伴いラミルの右手には神々しい光を放つ剣が現れる。

「どうやら昔の力を少し取り戻したようだな」

 カラミティがラミルの様子を見て言う。

「ああ、お前のために取り戻してやったんだよ。くらえ!粒光弾!」

 ラミルの放った攻撃は無数の光を出現させ、その一つ一つが引き伸ばされてカラミティを襲う。

「やはりそう来ると思った」

 そう言ってカラミティは予測していたかのようにラミルの後ろに移動する。

「今だ!キク」

 ラミルが言う。

「分かった。貫け!ザ・ラストリゾート!」

 俺はラミルの合図で技を放った。

「何!? 我の移動を読んでおったか…… しかし、ここまでは予測出来なかっただろう」

 そうカラミティが言うと俺のザ・ラストリゾートをまるで毛玉みたいに丸め始めた。

「まじかよ!俺のザ・ラストリゾートを止めるなんて……」

 俺がそう思っているとカラミティは攻撃を仕掛けてくる。

「この技をお前に返してあげよう」

 そうしてカラミティは水の糸を俺の方に発射する。

「これは何だ? うわ! 危ないところだった。ウォータープロテクトで何とか防げたけど……」

 カラミティの攻撃は想像を遥かに超える威力で、俺の放ったザ・ラストリゾートを細かくして、その一本一本に力を込めた技だった。

「まだ終わってはいないぞ」

 カラミティが再び攻撃する。

「まずい、リーフカッター!」

 俺は咄嗟に発動する。

 そしてカラミティの攻撃がくる。

「カキンっ、カキンっ」

 リーフカッターが弾いていくが、その時の圧力で俺の体は衝撃を受ける。

 その時、ミムラが俺の前に割り込んでカラミティの攻撃を一蹴する。

 その一瞬の隙を突いてラミルは水面波切りを壁に反射させてカラミティの注意を引く。

 そして畳み掛けるようにミムラは素早い動きでカラミティに切りかかる。

 しかし、ラミルとミムラはその健闘虚しく、カラミティに投げ飛ばされる。



「まずい、もうこのタイミングでしかない! ホワイトマグナム!」

 俺はすかさず技を放ち、カラミティにホワイトマグナムを命中させた。

「よし! やったか……って言う時は大体やっていないのがお約束だよな」

 そう思って俺は立て続けに音速連衝を打ちに行こうとした。

「これで終わりだ! ってあれ? 俺もう倒しちゃった?」

 そこにはカラミティが横たわっていた。

「まじかよ! こんなあっさり……」

 そう思った瞬間だった。

 横から攻撃が飛んでくる。

「くそっ、危ない! 良かった……ちょうどギャラクシーマインドを発動していたから避けられたけど、もしそうじゃなかったらどうなっていたことか……」

 俺は何とか反応して攻撃を受け止める。

「ほう、この攻撃を受け止めるとは」

 カラミティが少し驚いた様子で言う。

「お前、さっき倒したはずじゃ……」

 俺は思わず口に出る。

「お前は何を言っているんだ? そもそもお前は攻撃すらしていないぞ」

「え! どういうことだ?」

 あまりの奇妙な出来事に俺は一瞬にして混乱する。

「教えてやろう。これは我からの褒美としてだが、我のスキルはデッド・エスケープというもので、相手を別空間に閉じ込めることができる。ソーダも似たような力を使っているが、あれは我があいつにスキルの一部をあげたからなんだ」

「別空間に閉じ込めるなんて…… どう考えたって最強じゃないか」

 俺はとてつもない無力感に襲われる。

「光現視!」ラミルが突然技を使う。



「キク! 今、僕は技を使った。この技は必ず相手の技を解明するためのヒントをくれる」

 そう言ってラミルは再びカラミティに攻撃を仕掛ける。

「そんなことしたって、どうせ対策なんかできやしない」

 カラミティが言う。

「くそっ、このままじゃ…… あれ? 何だか見えて来たぞ。あれは何だ?時計?これがどういうヒントなんだ?」

 そう思って俺はラミルの方を見ると、ラミルはカラミティがいる方向とは真逆を攻撃している。

 ミムラは黙って、カラミティへの攻撃の隙をうかがっている。

「キク様! 敵は何か空間系の技以外にもう一つ発動しているようです」

 ウォータープロテクトが解析する。

「本当か?でも全然それが何かは分からない。とりあえず攻撃をしよう。リーチダンス!」

 そうして再び一斉に魔王へと三人で向かう。

「そんな生半可な攻撃は通用しないキートラック!」

 そうカラミティが言うと、そのまま地面に手を近づけて鍵を回すような動作をする。

 そして俺達は一斉に吹き飛ばされる。

「くそっ、全然攻撃できない。それに魔王は私達が攻撃するのをなぜか待っている。待てよ、魔王はわざわざ攻撃を待っているとしたら……」

 そうミムラが無事分析して素早く攻撃をカラミティに向かってする。

「これだ!」

 そうしてミムラはカラミティではなくその横を攻撃した。

 その時、カラミティの体にはモヤがかかって徐々に消えていくのだった。

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