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魔王幹部戦の始まり

「あれ?外は何だかさっきと雰囲気が違うぞ」

 俺は小屋から外へ出た瞬間に何とも言えない雰囲気を感じた。

「気のせいかな…… でもこういう時ってあるよな。普段なんて事ない廊下もその時には何も変わっていないはずなのに不気味に感じるって……」

 そうして俺は自分の中でこの奇妙さをなんとか紛らわそうとする。

 そして歩いて行くと一つの小屋を見つける。

 その小屋はもちろんラミル達が魔法で作った小屋なのだがなぜか不気味に感じる。

 ふと小屋の窓見ると中に黒い人影が見えた。

「なんだ良かった。みんなちゃんといるじゃん。俺の思い違いだったな」

 そう俺は一安心したが不意にある事に気づいて背筋が凍る。

「おい、ちょっと待てよ、こんな夜中に部屋の中で立っているなんておかしくないか?」

 そう思ってもう一度窓の方を見るとやはり黒い人影が見える。それにさっきと何も変わっていない。

 辺りは数時間前まであった視界を悪くしている霧は消え去り、遠くが見えるまでに視界は良くなっていた。

 しかし、その事が逆にこの異常さを際立たせるのだった。

「おいおい、どういうことだよ、こんなの怖すぎるぞ」

 俺はそう思いつつも好奇心に負けてゆっくりと扉を開ける。

「ギギギー」

 扉のきしむ音がこの時はなぜか大きく感じる。

「あれってコマチだよな…… 何をしているんだ?」

 そこにはコマチの後ろ姿があった。

 しかし、コマチが向いている方向は何もない壁で、どう考えてもおかしい状況だった。

「ねえ、コマチ、こんなところで何してるんだ?」

 そう話しかけてコマチの肩に手をかけると異様な感触が手から伝わる。

「うわ! まさかこれって人形? という事は……」

 俺は絶対に当たってほしくない予想をしていたが、それはまさに今、現実で起こっていた。

「やっぱりだ、顔がのっぺらぼうの人形だ」

 それを確認した途端、後ろから誰かが近づいて来る。

「カチャっ、カチャ」

 俺はあまりの恐怖に体が動かなくなる。

「やばい、もう怖すぎて気絶しそう!」

 その音はどんどん近づいて来て、やがて足音の音色が変わったところでそれは止まった。

 俺は恐る恐る後ろを見る。

「もうなんでこんなことに……」

 そう思いつつ振り返るとそこには刀を持ったミムラが立っていた。

「キク様、ここで何をしているのですか?」

 ミムラはキョトンとした顔で言う。

「いや、なんか問題が起こっていないかなって……」

 そう答えるとミムラは言う。

「私もちょうど同じ事を思って見回っていたところです。ですが、みんな仲間達は消えていて、残っているのはその不気味な人形だけです。一体何が起こっているのでしょうか?」

 ミムラは奇妙そうな顔をする。

「俺も正直に言うと何が起こっているのかさっぱりだ。でも、ミムラがいて良かった。一人だと怖すぎて動けないよ。そうだ、ラミルは普通だったから起こしに行こう」

「ラミル様は無事なのですね!」

 ミムラが驚いた表情で言う。

 そうして俺達は急いでラミルの元へ戻る。



「ラミル!起きてよ!」

 俺がラミルを叩き起こす。

「なんだよキク、どうかしたのか?」

 ラミルが眠たそうに起きる。

「魔物って少しの睡眠で済むはずじゃないのか?」

「今日は久しぶりの睡眠なんだよ。それを邪魔するなんて……」

 ラミルが不機嫌な顔をする。

「そんなことよりラミル!大変なんだよ、みんな居なくなっちゃった」

 そう言うとラミルは眠気を吹き飛ばす。

「え!どういうことだ!? 寝る前までみんな居たじゃないか」

「それが、私達以外みんな奇妙な人形に変わっているのです」

 ミムラが簡単に説明する。

「どういうことだ?ますますわからない。とりあえず状況を確かめるために外へ行こう」

 そうして俺達は三人で再び外へ出る。

「なんかここの雰囲気おかしいぞ。さっきとはまるで違う」

 ラミルが何か気づいたような顔をする。

「やっぱりラミルもそう思うよな。俺も最初見た時なんか変だと思ったんだ」

「ラミル様、これは空間のスキルを持った者の仕業かもしれません」

 ミムラが冷静に分析をする。

「そうだな、光よ真実を照らせ!ブライテスト!」

 そうラミルが唱えると明るい光が夜の闇を照らす。

 そうするとみるみるうちにさっきまでの景色は溶けていく。

 そして現れたのは無機質な冷たい石が敷き詰められている部屋だった。



「お見事です。この私のインテグを打ち破るとは」

 そこには奇妙な格好をした男が立っていた。

「初めまして私はカラミティ様の最強の幹部であるソーダと申します」

 ソーダは丁寧に挨拶をする。

「今までのはこいつの仕業だったのか」

 ラミルが警戒する。

「ラミル殿は流石ですね、この最強の牢獄であるインテグから脱出するなんて、今まで一人もいなかったのですよ」

 ソーダはラミルを褒める。

「そんなのはどうでも良い。魔王の幹部と出会えたのなら話が早い。魔王が何を企んでいるのか教えてもらおうか」

 ラミルが言う。

「そんなので答えると思いますか?知りたいのならこの私を倒してからですよ」

 ソーダは挑発をする。

「ラミル様、ここは私が相手をしましょう」

 ミムラが前に出る。

「おお、ミムラ殿。私はあなたとずっと戦ってみたかったのですよ」

 ソーダが興奮した様子で言う。

「そうか、それだったらせいぜい一分は持ってくれよ」

「もちろんです」

 そうしてソーダとミムラは戦闘体制に入る。

「発動!ストーリーズ!」

 ミムラは早速ストーリーズを発動して予測する。

「何!? 予測できないだと! 俺の予測は一秒から一分の間まで出来るようになったのに…… さてはこいつ相当な強者だな。しかし、この私には今までの技術がある」

 ミムラは驚きつつもすぐに気持ちを立て直す。

「準備は整いましたね、では行きますよ」



 そう言うとソーダは一瞬で消える。

 そして次の瞬間ミムラの後ろに現れる。

「そこだ!」

 ミムラはその動きを察知して刀を振る。

 ソーダは間一髪で避ける。

「流石です、この動きを見切るとは…… ですが次は失敗しません」

「逃げさせるか!」

 ミムラはすかさず反撃に出る。

 それに合わせてソーダも攻撃をする。

「そんな分かりやすい攻撃なんぞ私には効かない」

 ミムラが余裕な表情を見せた瞬間だった。

 急にミムラに上下あちこちから剣が飛び出して来る。

「これはどういうことだ?」

 ミムラは避けられず腕に傷を負ってしまう。

「これは相手の攻撃ではなく私の攻撃だ。それがそのまま私に跳ね返ってきているということか」

 ミムラは攻撃の手を止める。

「やっと分かりましたか、あなたの攻撃は自分への攻撃へと変化するのです。これが空間のスキルであるダークディメンションの力です。このスキルの前ではあなたは防御することしか出来ない」

 そう言うとソーダは怒涛の攻撃をミムラにくらわせる。

「くそっ、これをどう切り抜ければ良いのだ」

 ミムラは少し反撃をしようとするが依然として跳ね返ってきてしまうので思うように出来ない。

「このままだと体力を浪費してしまう」

 ミムラは追い詰められていく。

「待てよ、連続で攻撃を加えたらどうなんだ? 一発目は自分に当たっても良いように軽く、そして二発目は確実に仕留めるように」

 そうしてミムラは一発目に軽い攻撃をする。

「バーン!」

 ミムラはソーダの蹴りで壁に打ちつけられる。



「連撃をするとは考えたものですね、確かに一発目の後に二発目を打てば攻撃は当たります。しかし、それは相手が反撃をしない前提の話です」

 ミムラは壁に打ちつけられたまま動かない。

「これで最後です。苦しみのないようにしてあげましょう空間消滅!」

 そうソーダが唱えようとした時だった。

 ミムラが笑い始める。

「いや〜 この私とした事が、重大な事を見逃していたようだ」

 ミムラは腹を抱えて笑う。

 その光景に俺とソーダとラミルは戸惑っていた。

 ソーダはすかさず聞く。

「何がそんなにおかしいのですか?あなたはもうどうする事もできないで消えるのですよ」

「ズバンっ」

 ミムラが消える

「そうだな、その消えるってのは正解だな」

 ミムラがソーダの後ろに立つ。

「何?いつの間に後ろに!」

 ソーダは驚いた表情をする。

「いやー、これぞ灯台下暗しというやつだな」

 そう言ってミムラは高らかに笑うのだった。

最初に評価してくださった方々ありがとうございます。

そのおかげで少し元気が出ました。少し投稿の間隔は空くかもしれませんが、読んでくれる方々のために頑張りたいと思います。

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