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魔王の軍勢

「魔王の居城はここから西東の砂漠を抜けた先にある。いよいよだ、みんな絶対無理をするんじゃないぞ」

「はいっ」

 一斉に返事をする。

「それでは出発だ!」

 そうして俺達は魔王討伐へ出発した。

「なんか、こんな大勢で行くと大名行列みたいでおもしろいな」

 俺はふと呟く。

「大名行列ってなんだ? それにおもしろいって…… これはピクニックじゃないんだぞ」

 ラミルが呆れたように言う。

「ごめんって、なんかみんなピリピリしてるから場を和ませようと思って……」

 俺は必死に弁明する。

「まあ、みんな魔王関係でいろいろとあるからな。今回はここにいる誰にとっても重要な戦いだ。みんな覚悟を決めているのだろう」

 ラミルが言う。

「そうだな、なんとしても魔王討伐を成し遂げよう。ラミル」

「うん、もちろんだ。今思い返せばこの2〜3週間は大変な日々だったが、そのおかげでキクも僕も最初に出会った時よりも遥かに強くなっているし、それに僕にとって最高の思い出になったよ」

 ラミルが語り出す。

「なんか死亡フラグみたいな感じだけど大丈夫かな」

「もちろん、気は一切抜かないよ」

 ラミルが真剣な表情を取り戻す。

「確かにラミルの言う通りで、俺も最初よりは結構強くなったな。一番初めなんか蛇口の水くらいの威力しかなかった。あの時は自分の弱さに驚いたもんだ」

「本当に、でもキクは類い稀な才能がある。これからもっと強くなる人材だ」

 そうして、俺とラミルは思い出話に花を咲かせながら、魔王へと着実に近づくのだった。

 一方魔王陣営はというと、



「カラミティ様、申し訳ありません。私とした事が…… 作戦は失敗に終わってしまいました。もう他の者に任せるのはこれで終わりにします。そしてこれからはこのソーダ直々に作戦を遂行します」

 ソーダが謝罪をする。

「そうだな、しかし今回の事は正直言って予想外だ。クレミスがいるから安心していたんだが、まさかあの人間と仲良くなるとは…… こんな事誰が予想できようか。大丈夫だソーダよ、人は誰しも不測の事態にあうものだ、そこから上手く修正していくのが優秀な者だぞ。期待している」

 カラミティがソーダを励ます。

「有り難きお言葉、カラミティ様の言う通りです。失敗を引きずっていても仕方ありません。人間万事塞翁が馬、目の前の事に全力で取り組むのみです。では、私は早速部下を引き連れて敵の元へ向かいます」

「ああ、頼んだぞ」

 そしてソーダは最後の作戦を開始する。



「いよいよだ!私の忠実な部下達よ。これから最後の戦いに入る、この地の繁栄は君達の手にかかっている。最後まで、全力で突き進むぞ!」

 ソーダは部下達の闘志を奮い立たせる。

「敵は既にこちらへ向かっている、そこを奇襲するぞ、みなよいいか!」

 そうしてソーダの部下達2万は動き出すのだった。



「第一の関門の丘陵地帯だ、みんなもしかしたら奇襲を受ける可能性がある。気を付けて進むぞ」

 俺達は魔王の居城に続く道がある丘陵地に入って行くのだった。

 そこは湿った見通しが悪い場所だった。

「ラミル、なんかここって本当に見通しが利かないね、やっぱり危ないんじゃないか」

「恐らく確実に襲撃があるだろう。ここは襲撃に最適な場所だからな。だがそう言う分かりやすい場所で奇襲だけをかけるとは考えにくい、もし奇襲を受けたら何か裏がある事だろう」

「そうなのか、俺達も敵の罠に陥いらないように気を付けないと」

 そう俺達が警戒を強めていると、前から百体程度の魔物の影が見える。

「ラミル様!前方から約百体と思われる魔物の影がこちらへやって来ます」

 シンエイが状況を報告する。

「あれは…… イレウス族か、あいつらは防御力が高くて厄介なんだよな」

 ラミルがそう言うと

「ラミル様、わしらの隊のお任せください。このギャラクシーキャットは防御が硬い敵に慣れております」

「分かった。カルベロス頼む、気を付けろよ」

「承知しました」

 カルベロスが30体のギャラクシーキャット達と一緒に敵の元へ向かう。

「ラミル様!」

 コマチがラミルを呼ぶ。

「どうした?コマチ」

「あの小山の上に数体の敵がおります。我らの部隊で対応しましょう」

 コマチが刀を抜く。

「分かった。任せるよ」

「ありがとうございます。では」

 コマチはイワタ達を連れて敵を倒しに行く。

「なにかがおかしい……」

 ミムラが呟く。

「え?なんでそう思うんだ?」

「こんな見通しが悪いのにあえて見やすい場所に敵を配置しているとは、どうも気になって仕方がありません」

 ミムラが不審な顔をする。

「確かにミムラの言う通りだラミル!これは俺達の戦力を分散させる罠かもしれない」

 そう俺が言うとラミルは一回警戒体制に入る。

「それはまずい、すぐみんなを引き戻せ!」

 ラミルが残っている者達に命令を下す。

「あれ?コマチ達とカルベロス達はどこに行ったんだ? さっきまで見えるところに居たのに……」

「ここに居ますよ」

 そうコマチが言うとラミルはその声に驚いて飛び跳ねる。

「うわっ、コマチいたのかよ、驚いたよ」

 ラミルが安堵した表情を見せる。

「すいませんラミル様、つい気配を消していました」

 コマチが謝る。

「もう、次はちゃんと戦闘が終わったら報告するように。しかし、何かの罠だと思ったが何にも無かったか、なんでこんな奇妙な戦い方をするんだ?コマチ達は無事だし、何が目的なんだ?」

 ラミルが考え込む。

「ラミル様、これは相手が弱かったと素直に捉えていいのではないですか?ラミル様を前の怖気づいたのでしょう」

 コマチが言う。

「まあ、そうか…… そう考えるのが普通だよな。よし、なんとか敵を倒した事だし、今日はこの近くに少し開けた場所があるからそこで簡易的に寝所を設置して一晩泊まろう」

 そうして俺達は道を少し外れた広場に到着する。



「相変わらず視界が悪い場所だな。なあ、ラミル、こんなところで本当に大丈夫なのか?」

「大丈夫だってキク、敵は僕達に手は出せないさ。さっきので敵側は無駄に戦力を減らすことになるって分かっているはずだからね」

 ラミルは自信満々に言う。

「でも、なんか引っかかるんだよな…… こんな油断しても良いことなのかな」

「キク、何度も言うけど大丈夫だって、そろそろ食事にでもしよう、コマチ達が近くの植物を取って来てくれたんだ、これと魔物の肉で汁物を作るみたいだ。ほらこれキクの分」

 そう言ってラミルは俺に一つの器を手渡す。

「これってまんま豚汁じゃん。それに熱々だ、こん辺はちょっと気温が低いから体にしみるな」

 そうして俺は汁を飲み干す。

「キク、あっちの方に魔法で作った簡易的な住居があるから今日はあそこで寝よう。僕とキクは同じ部屋だ」

 そうラミルが言うと小さな小屋みたいな建物に来た。

「中は意外としっかりしているんだな、それに外から見るよりもずっと広く感じる」

「まあ、外からは少し小さく見える魔法がかけてあるんだ。あんまり大きいと敵にすぐに見つかってしまうからね」

 そして俺とラミルは疲れのせいか一瞬で寝に入る。

 その晩



「あれ?まだ夜か」

 俺が寝ている途中で目を覚ます。

 そうしてふとラミルの方を見る。

「なんかラミルの様子が変だ、ねえラミル大丈夫?」

 そう思ってラミルの顔を覗くと

「うわ!何だこれ気味が悪いな、なんでラミルに似たのっぺらぼうな人形がここにあるんだ?そうだ外はどうなっているんだ?」

 俺は恐る恐る外へ出る。

「ええ!みんななんでまだ食事してるんだ?こんな時間なのに……」

 そう思って近づくと、そこには異様な光景が広がっていた。

「まさか、これ全部人形?何でだ?みんなどこに行ったんだよ」

「カキッカキッ」

 後ろから明らかに生物ではない気配が近づいて来る。

「これはやばい、怖すぎて後ろを見れない。けど体が勝手に……」

 そうして俺は徐々にそれの方向に顔を向ける。

「もうやだ、見たくない!」そう思った時だった。

「バっ!はあはあ、あれ?ベットの上だ。なんだ今の夢だったのか…… しかし、こんな怖い夢を見たのは久しぶりだ」

 そう思うのと同時にラミルの事が気になってふと様子を見る。

「良かったラミルは普通だ。いつもの可愛い顔がある。そうだ、外の様子も一応確認しよう」

 そうして俺は外の様子を見に行くのだった。


投稿が二日くらい空きました。すいません、まあ毎日投稿では無いつもりなので今までが変でした。

空いた理由は、父が入院したためです。もしかしたら次回も少し空くかもしれません。

ですが、一応今月中には一章を終わらせる予定です。

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