共通の目的
「カーミン王、だから手荒な真似はやめた方が良いと言ったでしょう」
デスタがニヤついて言う。
「何と、余の自慢の技がこんなに簡単に止められるとは……」
カーミンはうつむく。
「さあ、あなたは私達に攻撃する事ができないと分かったところで交渉といきませんか?」
デスタが上から目線で提案する。
「お主の提案など聞いてられるか!」
カーミンは勢いよく提案を断る。
「そうですか……残念です。仕方ないです力づくで交渉するしかないようです」
そしてデスタは大きな装置を稼働させる。
「今度はこちらの番です。今、あなたのザ・ラストリゾートを吸収しました。これをそっくりそのままお返しします。まあ、どうなるかお分かりでしょう」
カーミンはこの状況に焦りを感じる。
「まずい、余のザ・ラストリゾートを打たれてしまっては、余の命は無い。どうしたことか……」
「俺も手伝うよカーミン、俺はクレミスと約束したんだ絶対に強くなって彼女の夢を叶えるって。だかたこんなところでくたばっていられないだろ」
俺は疲労で重くなった体をなんとか起き上がらせた。
「キクよ、お主は本当にすごいやつだ。力だけでなく、精神的にも強さを持っている」
「お仲間さんと喋っている間にこちらはもう準備が整いましたよ」
デスタが催促する。
「ああ、そのようだな、ちょうどこっちも準備が整ったところだ。さあ、始めるぞキク!」
「分かった。任せてくれ!」
カーミンと俺はこの時強い絆を感じた。
「さっきとはまるで様子が違いますね。ですが勝敗は変わりません。あなた方はこのザ・ラストリゾートに貫かれるのです。最後にあなた方の勇姿を見届けてあげましょう。では、いきますよ発射!」
一台の大きな装置から鋭い水のビームが出る。
「キク!頼むぞ!」
「よし、今だ!ホワイトマグナム!」
俺の技は相手のザ・ラストリゾートを完全に飲み込んだ。
「何!?ザ・ラストリゾートを止めただと!?」
「おいおい、さっきのカーミンと同じ反応だなデスタ王。この技を止められるのはお前らだけじゃ無いんだよ!」
デスタは勝ちを確信していた顔から一気にその表情が暗くなった。
「大変だ…… これを止められるとは思ってもいなかった。しかし、相手も攻撃を打てない状況は変わっていない。少々驚いたがここはお互いに対話で交渉する形に持って行こう」
デスタがそう考えていると
「いくぞデスタ王、準備しなくていいのか?ザ・ラストリゾートを打つぞ」
カーミンが真剣な表情で言う。
「カーミン王も面白い方ですね、さっきその技は防がれたではないですかそれをまた打つなんて…… お互い攻撃を繰り出しあっても埒が明きません。どうです、もう一度対話による交渉としませんか?」
デスタが丁寧にお願いする。
「その必要はない、次は防ぐことはできないからな。発動!ザ・ラストリゾート!」
カーミンの攻撃はデスタに向かって一直線に伸びていく。
「やはりあなたの攻撃は防がれたようですね、どうやらあなたの予想が外れたみたいです」
デスタが呆れたように言う。
しかし、カーミンは余裕な表情を見せる。
「キク、今だ!頼む!」
「分かった。ザ・ラストリゾート!」
俺が放ったザ・ラストリゾートはカーミンのザ・ラストリゾートとが合わさってまるでネジのようにどんどん前へと進んでいく。
「嘘だろ、あの技を使えるのはカーミンだけじゃないのか!?これは完全に誤算だ、まさかアルティメット級の技を使うやつが二人いるなんて…… それに同じ空間に!」
そして遂に俺とカーミンの合わせ技であるザ・ラストリゾートはデスタの後ろにあった大きな装置を破壊する。
「何ということだ…… この最強の武器が破壊されるなんて……」
デスタがその場で壊れた装置を見ながら立ち尽くしている。
「なあデスタ王、これから交渉といこうか、お主の好きな対話でな」
そうしてタイロ連邦国の降伏によってこの戦いは幕を閉じるのであった。
一方で、この戦いの裏で密かに動いている者がいた。
これはゴブリン村での出来事。
「やはり来たか」
ミムラが木の影から言う。
「やっぱりお前には見つかるか。さすがだな」
草むらの奥から姿は見えないが何者かが言う。
「今日はやめとけ、私はこの村を守るようにと頼まれたんだ。それにお前と戦う気分ではない」
「あいにく俺も戦いたくは無いが、雇い主が調べろと言うからな」
「お前が人のために働くなんて珍しいなクウゴ」
クウゴは少し間を空けて言う。
「ちょっとした暇潰しさ、俺の能力を買いたいとある国の王から言われてな」
「タイロ連邦国だな」
クウゴはうなずく。
「ああ、そうだデスタというタイロ連邦国の王なんだが、何か企んでいるみたいだ」
「お前はどう考えるんだ?今回の戦い」
クウゴが困ったような返事をする。
「どう考えるって言われても…… まあ確かな事がある。今回の首謀者はデスタ王では無いという事だ。どう考えても、今回タイロ連邦国が戦いをする意味があまり感じられないからな」
「なるほど、では今回の戦いは魔王カラミティが関係している可能性が高いという事か……」
ミムラは考え込む。
「まあ、その可能性は高いだろうな。じゃあとりあえず今日のところは帰るよ。まさかお前がこの村にいるとは思わなかった。それにどうせ戦っても決着はつかないだろうしな。じゃあさよなら〜」
そうしてクウゴは姿を消す。
「しかし、魔王は一体何を考えているんだ?ただ単に支配するだけだったらこんな回りくどい事をしなくて良いのに……」
ミムラはその場で遠くを見つめる。
「ミムラよこんなところで何をしているんだ?」
マイルが不審に思って話かけてくる。
「いや、ちょっと考えごとでな。今回の戦いのことなんだがどうも引っかかる。なぜこの戦いをする必要があるのか……」
そうミムラが言うと、マイルが話始める。
「私の勝手な憶測だが、何か魔王側が気付かれたらまずい事を計画しているのでは無いか? それを隠すために今回の戦いを引き起こして気を散らせた」
それを聞いてミムラは納得する。
「なるほどそういう事もあるのか。実は今私の旧友が会いに来てな、そいつはデスタに雇われていると言って来たんだ」
「何だと!? そいつは今どこにいる?」
マイルが警戒する。
「少し落ち着いてくれマイル、やつは自分の利益になる事しかしないやつだ。今回は私がいるという事でこの村には手出しをしないと言っていた。安心しろ」
「なんだ、そういう事だったのか」
マイルがそっと武器をしまう。
「そいつが言うには、今回の戦いは魔王が関わっている可能性があると言っていた。それとさっきのマイルの話を考えると、どうもそうとしか考えられない」
ミムラの表情から迷いが消える。
「きっとそうに違いない。だとしたら早く動かなければならない、魔王の準備が終わる前に」
そう言って、ミムラはその場を立ち去る。
一方でラミルはというと、アリサから話を聞き出そうとしていた。
「それじゃあ、話を聞かせてもらおうか、なぜこのタイミングで侵攻したのか」
ラミルが詰め寄る。アリサは困った顔をして答える。
「今回の事は私達も何も知りません。どうやら極秘の作戦だったようで詳細な事は五人衆の中でも一番強いクレミスしか知らないのです」
「クレミス?」
「アルティメットスキル炎略を持った化け物です。あの人は最強です。今までの戦いはほとんどあの人が成し遂げて来ました。しかし、あの人はいつも何を考えているのか分かりません」
ラミルが不思議そうな顔をする。
「え?どういう事だ、仲間じゃないのか?」
「仲間ですが私達とは格が違いすぎるのです。それにやろうと思えばタイロ連邦国なんか一瞬で捻り潰せてしまします。なのにあの人は忠誠を誓っている。きっと何か隠し事があるのに違いない」
「なんか複雑だな〜」
そうラミルが悩んでいると、
「一つ教えてあげますけど、今回の戦いはどうやらタイロ連邦国以外の勢力が起こした可能性があるという事です。私が知っているのはそれだけです」
ラミルはそれを聞いてしばらく考える。
「今回の戦いは魔王の介入があったかもしれない。だとすると僕達は魔王の策略にはまっている可能性がある。なんかまずい気がする。村が心配だ。みんな至急村に戻るぞ!」
そうしてラミル達は忙しなく村へ戻るのだった。
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