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初めての命の危機

「さあ、一人はやったか。次はお前の番だな」

 ドアはコマチの方向を向く。

「あれ?イワタはもうやられたのか?あいつもまだまだ修行が足りないな」

 コマチが残念そうな顔をする。

「そんなこと言わないでくださいよ、コマチ様。私は散々修行しましたよ」

 イワタがコマチの後ろから話しかける。

「だよな、お前はこの程度で倒される奴じゃないよな」

「もちろんですよ。これが私の作戦なんです」

 二人の会話を聞いていたドアは少し困惑した表情を見せる。

「おい、イワタよ、どういうことだ?確かにお前に攻撃を当てたよな。しっかり感触もあるし、それになんでお前は無傷なんだ?」

 イワタは笑いながら言う。

「あなたはそんなに速い攻撃を繰り出せるのに私の残像を見抜くことが出来ないとはどう言うことですか?こっちが聞きたいくらいですよ」

 イワタはドアを煽る。

「お前は私が思っているより強いらしい、仕方ない本気を出してやろう。イワタよ」

 ドアの外見は大して変わっていないが、威圧感が最初よりもはるかに増している。

「良いですよ、じゃあ、そちらからどうぞ」

 ドアがゆっくりとイワタに拳を押し当てる。

 そしてその瞬間にとんでもない威力の衝撃波が発生する。

 イワタは後ろによろける。ドアはこの機を逃すまいと一発、さらに一発とゆっくり拳を押し当てていく。

「これでどうだ、あえて攻撃の緩急をつけることによって、とてつもない威力を出すことが出来る。一見、体に傷が無いように見えるが、内臓の方には確実にダメージが入っているはずだ」

 そしてドアはトドメの一発を肘付きで攻撃する。

「ドーン」

 その衝撃はイワタの後ろの木々を何本か倒すほどだった。

 イワタはその場に倒れる。そして息をしていない。

「ふふ、やはりこの私が本気を出したら、どんな相手でも必ずこうなる。お前はよくやったぞイワタよ、この私の攻撃をここまで耐えるとは」

 そうドアは吐き捨てるように言った。

「本当にそうですね、こんな威力の攻撃を喰らったらひとたまりも無いですからね」

 イワタがドアの背後から話しかける。

「お前!まさか今のも残像だと言うのか!?」

「そうですよ、あなたが本気を出すと言ったから私も出してみました」

「何だと!? この私がこんな奴相手に全く歯が立たないというのか……」

 ドアは今まで経験したことがない屈辱に怒りを表す。

「では、次は私の番ですね。これを受け止めたら、今回のところはあなたの勝ちで良いですよ」

 ドアはイワタの意外な提案を聞いてニヤつく。

「分かった。その勝負引き受けよう」

 ドアが自信を見せる。

「よし、それでは決まりですね。これから私が真突という技を打つので、それを防ぎきってください。では」

 そう言うとイワタは突きの構えに入る。そしてイワタの攻撃が始まる。

「なんだ?ただ歩いているだけじゃ無いか。いや、あれは残像だ!まずい」

「カキンっ」

「よし、なんとか防いだぞ。これで私の勝ちだな…… あれ?なんだここは?痛い、すごく痛いぞ」

「やっと気がつきましたか、あなたずっとボーッとしていましたけどどうかしたんですか?」

 イワタが何事も無かったかのように言う。

「おい、イワタよお前はこの私に真突という技を打ったよな。そしてその技を防ぎ切ったら私の勝ちって言ったよな」

 イワタは不思議そうな顔をする。

「何のことですか?それに真突なんて一度も言ってませんよ」

 その言葉を聞いてドアは一瞬で青ざめる。

「じゃあ、この私はいったい何をしていたんだ?もしかして……」

 イワタが呆れたように説明する。

「あなたがさっき2回目の攻撃をするとき、私はその攻撃を跳ね返しました。そしてその衝撃であなたは壁に打ち付けられてしまい、今までずっと気絶みたいになっていましたよ。その時私は流石に可哀想だなと思いまして、少し幻覚を見せていたのです。あなたが私に勝つね」

 それを聞いてドアは顔から冷や汗が出る。

「ということは、私は最初から負けていたということか?あの男なんていう奴だ。この私に幻覚を見せるなんて……」

「まあ、説明はそんなところです。すいませんが、少しの間そこでじっとしておいてくれませんか?」

 イワタが愛想良く言う。その指示にドアは従わざるを得なかった。

「さあ、残るはあなたですねアリサ殿」

 ドアが倒れた今、アリサにとっては三対一の絶対絶命の状況だ。

「ドアがあんな簡単にやられるなんて、私にはもう勝ち目がない。大人しく投降する事にしよう」

 そしてアリサは自分の負けを悟って武器を捨てた。

「それが懸命な判断だな。よしこっちに来い、今回の事しっかりと聞かせてもらうからな」

 そうしてラミル達は五人衆の二人を捕虜として連行するのだった。

 一方、北口の敵の本陣では、俺は五人衆の中で最強とされるクレミスと対面していた。



「あなたがキクさんですね、さっきの戦いはお見事でした」

「え?なんか礼儀正しいな」

「キク様!もう既に相手から攻撃を受けています」

「え!どう言う事だ?」

「おそらくクレミスはキク様の体内の熱を操ろうとしています」

「まじかよ、あいつ澄ました顔して、しれっと攻撃しやがって…… なあ、クレミス、その攻撃止めてくれないか?気が散って仕方ないんだ」

 するとクレミスは驚いたような表情をする。

「何と!私の攻撃を防御して、その上分析までするとは、あなたは相当強い力をお持ちのようですね」

「まあな、それで用件はなんだ?」

「用件も何も、あなたを始末しに来たのですよ」

「なるほど、やっぱりそうだよな。どうする?俺と戦うのはオススメしないけど……」

 俺は絶対に断わられるだろう提案をする。

「それは、こちらのセリフです。あなたは私の能力に勝てるはずがありません」

 クレミスが余裕そうに言う。

「それは、どうかな?ホワイトマグナム!ってあれ? おかしいぞ、技が出ない。どうしてだ?」

「教えてあげましょう。あなたは今、私の攻撃に常にさらされている状態です。それをずっと防御し続けているわけです。それに私のこの技は一秒でも防ぐのが困難なほど強力です。しかし、あなたはそれをしている。当然、防御の方にリソースが行くから、アルティメット級の技を打つことが出来ない。ほら、言ったでしょう。あなたは私の能力の前では攻撃することはできないのです」

「まじか、これはやばいな。俺はどうやら相手を舐めすぎていたようだ。どうしたことか……」

 俺はこの圧倒的な絶望感の中でどうすることも出来なかった。

「これで終わりです。炎炎の風!」

 クレミスの攻撃はまるで蛇が獲物を丸呑みのするように俺を包み込む。

「もう終わりだ。ごめんラミル」

「キンっ、キンっ」

 よく見ると俺のリーフカッターが攻撃を弾いていた。

 しかし、攻撃の威力の耐えられず、一枚一枚と消えて行く。

「リーフカッターの防御ももうダメか、はぁ俺ももっと最強のスキルが欲しかったな……」

 そう全てを諦めていると。不意の考えが浮かんできた。

「え、待てよ。リーフカッターが発動していたってことは、もしかしてアルティメット級の技じゃ無ければ、使えるってことか。よし、試してみよう」

 俺は必死になって技を試したがどれも使えない技ばかり。

「あとはこれか水面波切りと反射水面波。お願いだ発動してくれ!水面波切り!」

「シュンっ」

 俺が放った水面波切りは炎の壁をまるでモーゼが海を割ったように切り裂いていく。

「スパンっ」

 そして水面波切りはそのままクレミスの頬をかすめる。

「何!?あいつ、私の攻撃に耐えたのか、それにこの私の美しい顔に傷をつけた。許すことは出来ない!」

 そうして俺は命からがら生存するのだった。

敵が強くなってきていて駆け引きが大変です

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