攻守の入れ替わり
「キク様!大勢の敵を倒した事で、新たなスキルを獲得しました」
「え、何のスキルだ?」
「下位スキルである木の系統です」
「やっぱり、また下位スキルか。で、どんな技が使えるんだ?」
「植物系統の技、リーフカッターを使う事ができます。加えて、回復系統の技である
キュア•サバイバーも取得しました」
「まだ、二つしかないのか。てか、何気に回復系統の技は初めて聞いたな」
「はい、そもそも回復をできる魔法、技は少ないのです。その数少ない中でも一番取得しやすいと言われているのがこのキュア•サバイバーです。また、下位スキルの中でも比較的魔力を消費します。とは言ってもノーマルと比べれば雀の涙ほどですが」
「そうなのか、そのスキルに卓越した者を倒さなくても獲得できることもあるんだな。まあ、回復系統の技は嬉しいが、どうやら俺が使う機会はなさそうだな」
そうして、俺は新しい技を試しに使ってみることにした。
「早速!リーフカッター!」
そう言うと、どこからともなく青々とした葉っぱが俺の周りに現れる。
「まあ、下位スキルだからこんなもんか」
そう、俺が思っていると、ウォータープロテクトがさらに説明を追加する。
「リーフカッターは攻撃兼防御にも使うことができます。攻撃の時はその攻撃に合わせて追撃を繰り出し、防御の時は障壁として使うことができます」
「なるほど、意外と色んな場面に使えるんだな。じゃあ、残っているざっと6万くらいの敵軍でこの新しい技を試してみるか。まあ、あまり技を使って敵に手の内を見せたくないし、とりあえずこれでも打っておくかバーニングボルト!」
そうして俺のバーニングボルトは三方向に分かれ、電撃をまといながら敵を貫いていく。そしてそのあとにリーフカッターによる葉っぱの斬撃が兵士達を襲う。
「なんか、オーバーキル感があるな。まあ、バーニングボルトだけでもそんな感じだけど」
一方敵軍は、
「何ということだ!あの人間が一人でここまで力を持っているとは……」
兵士のリーダーみたいなやつが頭を抱える。そこへ、一人の兵士が走ってくる。
「キシ様!我らの戦力5万を切りました。どういたしましょうか?」
兵士のリーダーであるキシは少し考える。
「やつは、今まで我らに接近をして攻撃している。ということは接近される前にこちらから攻撃すればいいのではないか。よし、皆よ、弓を構えろ。相手がこっちに来る前に攻撃を仕掛けるぞ」
その呼びかけで兵士達が一斉に集まる。
「え?何してるんだ?あいつら急に兵を引かせたな。まさか、降参?いや、そんなわけないか、たぶん奴らは遠距離からの攻撃をしてくるはずだな。まあ、そんなことしても意味ないけどな」
俺がそう思っているうちに敵軍はどんどん体制を整えていく。
「三列に分かれろ!そして一番前の者は弓を構えろ、その後ろに二番目、三番目と並べ!まず、一番目が打ったら、二番がすぐさま打つ、最後に三番目が打つ。これの繰り返しで絶え間なく相手に矢を浴びせるのだ」
そうして、兵士達は素早く弓を打つ体制に入る。
「マジかよ、やっぱり遠距離攻撃だったか。でもなんかあれは…… 三段撃ちみたいな体制になっている。普通だったら強力な攻撃だが、あいにく俺は普通の人ではないからな」
「射撃準備!構え!打てー!」
キシの掛け声で一斉に矢が放たれる。
空が大量の矢で満たされる。
「うわー、すごいなこの景色。現実では滅多に見られないな」
そんな、呑気なことを思っているうちに矢が目の前に来る。
しかし、リーフカッターが大量の矢をことごとく弾いていく。
「リーフカッター強いな!全部弾いてる。今思ったけど、下位スキルの技って言っても、一般のこういう兵士達には十分脅威になり得るんだな」
そう思っていると、突然、矢の攻撃が止まる。
「おお、攻撃を止めたか。まさか、俺が無傷なんて思っていないだろうな」
その一方本陣では、
「なるほどあの者、只者ではないな。デスタ様!今回の敵は少々手強いようです。ですから私が出向くとしましょう」
「分かった。お前に任せる」
「ありがとうございます。お任せください。もしかしたら、会う前に死んでるかもしれませんね」
そうして、クレミスは王の元を去るのだった。
一方でカーズというと、北口の作戦を主導していた。五人衆の一人である、メニアと対面していた。
「お前か、五人衆のナンバー2メニア。今回はカーミン様の命でお前を倒しに来た」
カーミンが珍しく怒りの表情を見せる。
「あなたがカーミンの右腕であるカーズ殿ですか。私もちょうどあなたを倒すようにと命じられていたのです。ちょうどいいです。あなたの方から向かってきてくれるなんて」
メニアは余裕そうな表情を見せる。
「随分と余裕だな。お前はこの私に勝てると思っているのか?」
カーズが聞く。
「もちろんです。まあ、たぶん一瞬で決着がつくので、あなたは負けたことすら分からないでしょう」
メニアが上品に煽る。
「なるほど、では先手はこちらからでいいな。そんな、一瞬で勝負がつくのだったらどっちでも変わらないだろう」
「もちろんです。あなたに譲ります」
そうしてカーズはメニアに殴りかかる。しかし、カーズの攻撃はいとも簡単に避けられる。
「なるほど、攻撃地点予測ですね、あなたも歴戦の猛者ではあるんですね。しかし、その技は私の前では意味をなさないですが」
そう言うとメニアは強烈な蹴りをカーズに食らわせる。
カーズは何とか間一髪で相手の攻撃を腕でカードする。
「どういうことだ、いくら予測が外れてもこのくらいの攻撃など避けられるはずなんだが……」
カーズが戸惑っていると。
「まだ、分からないのですか?仕方ないですね、教えて差し上げましょう。今、攻撃を防いだ右腕をあげて見てください」
そう言われて、カーズは右腕を上げる。
「何だこの重さ、全然腕が上がらない。これでは攻撃をすること自体ままならない」
メニアがニヤっとした表情で言う。
「私のスキルはキープというものです。これは私の攻撃が当たった箇所を自由自在に私の意思で重くする事ができます。実は最初あなたが攻撃した時、あなたの全身を気づかれない程度に攻撃をしておきました」
「まさか、あんな短時間でそこまでやるとは…… さすがだ。これで避けられなかったのも納得だ」
「そして、今からその体をもっと重くしますので、あなたはもう攻撃することも、防御することもできません。さあ、どうしますか?今なら、私達の側につけば死ななくて済みますよ」
そうメニアがカーズを見下しながら提案する。
「なるほどな、確かに私はもう何もすることができない。たぶんこの提案を断ったら私は一瞬で殺されることだろう。でも、私はそんなクソみたいな組織に入るのはゴメンだ。それに私はもうこの戦いに勝っている」
「へえーこんな状況でもそんな事を言えるのですね。私の組織に入れば幹部の地位も固かっただろうに…… とても残念です。まあ、いいでしょうお望み通り一瞬で倒してあげましょう」
そう言ってメニアが攻撃体制に入ろうとした時、カーズが口を挟む。
「お前はまだ気づいていないのか?この私がずっと演技している事を」
メニアの表情が曇る。
「どういう事ですか?」
「さっきお前は、私に気づかれないように攻撃したと言ったが、実はあの時もうすでに気づいていたんだ。それをあえて言わなかった」
メニアが不思議そうな顔をして言う。
「気づいていたからと言ってどうなるのです?」
「まだ、分からないのか?お前の攻撃は私には効かないと言う事だよ、最初の攻撃の時点でな」
カーズが腕を上げて見せる。
「さすがカーズ殿、カーミンの右腕なだけあります。しかし、最初は運悪く外れただけのこと、次当てれば問題ないです」
そう言ってメニアはカーズに攻撃をするのだった。
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