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新たな作戦

「待たせたな。それでは皆もの行ってくるぞ」

 ナイロ王国カーミンは盛大に部下から見送られる。

「さすがだなぁ、国王は、ただ外出するだけだっていうのに、ここまでの人が集まるなんて」

「当たり前だよキク、街の中でもカーミンを直接見たことがある人は少ない、だから、そもそもこんな間近で見られるのは貴重なんだ」

 そして俺とカルベロス、ラミル、カーミンそしてその部下達十人でオスムニアへと向かうのだった。



「ラミルよ、久しぶりにこのように花の道を一緒に歩くな」

「そうですね。懐かしいですね、あなたはあの頃から英雄だった。それなのにこの変なスライムに構ってくれた。それが当時はとても嬉しかったんです」

「あの時は、まさかお主が国の軍隊のトップに立つことになるとは思ってもいなかったな」

 ラミルとカーミンが話をしている間に、俺達は開けた場所に出た。

「ここかあ、ラミルが言ってた花がたくさんあるところっていうのは。確かに自然に生えているはずなのに、しっかり整列して生えていて本当に綺麗だ」

「ここの花は不思議な花で、なぜか一年中咲いているんだ」

「余もこの景色を見ると癒される。昔はよく見に来ていたのだが、国王になった今は気軽に外出できなくなってしまってな」

「そうなのか、ここには色んな人が来て、そして思い出を残していく。そんな大切な場所なんだな」

 そうして俺達は花の景色の感動しながら、ひとまずゴブリン村に戻るのだった。



「カーミンさん、こちらがゴブリン村です」

「ここがゴブリン村か。さすだ高度な文明を持つ種族だ。街並みがきちんと整えられている」

 ラミルがカーミンを案内する。

「ちょっと、カリス。ナイロ王国の方々だ、すまんが来賓用の食事を出してくれ」

「はい、承知しました」

 ナイロ王国のカーミン様御一行、お待ちしておりました」

 マイル達が遅れて挨拶をする。

「お主がゴブリン族の族長か、それに、あの男はミムラではないか、お主の暴れっぷりは余の国でも話題になっていたぞ」

「そうでしたか、お騒がせして申し訳ありません」

「良ければ、お主のことを余の軍の幹部に引き入れようと思っていたのだが、どうやら先を越されてしまったみたいだな」

「はい、私はこの村を全力で守るとラミル様に誓いました。ここの者達はみんな家族です。私に足りないものを与えてくれます」

「なるほど、あのミムラがここまで忠誠を誓うとは、ラミルも立派な王になったな」

「いやーそうですか」

 ラミルが少し照れながら言う。

「さあ、会場の準備ができました。皆さんこちらへ」

 そうカリスが言って、カーミン達を来賓用の建物に案内する。

「こちらにお掛けになってお待ちください」

「いつも見ている建物とは一際違うな、さすが来賓用の建物だ」

 そう俺が思っていると、料理が運ばれてきた。そしてその料理は今まで見たことが無いくらい豪華なものだった。

「こちらの料理は近くで採れた新鮮な魚とこの地特産の様々な物を使っています。どうぞごゆっくり。まだありますからね」

 そうカリスが言うと次々に料理が運ばれてくる。

「すごいな、こんな料理、現実では食べたことなかったよ、カリスは色々料理の説明をしているけど一個も分かんないや。でも、カーミン達も喜んでいるようだし、大成功と言って良いだろう」

 そうして料理を堪能している中、俺達は明日の作戦会議をすることになった。

「それでラミルよ、明日の準備は整っているのだろう」

「もちろんです、この手紙とキクやカルベロスといった重要な証人。万が一のときの最低限の戦力。これで大丈夫だろう」

「まあ、そんなものか、そもそも準備するようなことでも無いからな。しかし、一つ不安がある」

「なんですか?その不安って」

 カーミンの顔が一気に険しくなる。

「カリウスの背後にいるやつが心配だ。なにか隠蔽工作をしてくるかも分からない。それにもう一つは、余達共々消そうとしてくるという可能性がある。まあ、後者に関してはほとんど心配は無いが。この一連の出来事を企てているのはきっと魔王陣営の幹部だろう。オスムニアが余達に奪われてしまうと、他の人間の国への対応が難しくなってしまうからな」

「なるほど、それで強引にでも止めてくるというわけか。しかし、カリウス自体が居なくなってしまったら、それはそれで魔王にとっては大変なことでは無いですか?」

「オスムニアには二大政党があってな、王はそのどちらかから選ばれるのが通例なんだが、そもそも、その二大政党自体に魔王の手が入っているのだろう」

「つまり、カリウスが居なくなっても、また新たな魔王の手駒が王に就任するというわけか」

「そういう事になるのだが、余に一つ計画があってな」

「それは、どういう計画ですか?」

「カリウスを王の座から下ろした後に、余達から新たな王を推薦するのだ」

「でも、その推薦したやつが魔王の手下だったらどうするのですか?」

「まあ、話を最後まで聞くのだ、その新たな王を推薦した瞬間にお主達がオスムニアの軍事を担うと提案するのだ」

「え!僕達が!?」

「今までは魔王と組むことによって得られた安全が、今度は友好的な魔物によって得られる。民衆にとってはこの二つの選択肢を提示されたとき、必ず後者を選ぶだろう。そしてその担保に余がいるとすれば、誰も文句を言うやつは居ないだろう」

「なるほど、すごい作戦だ。僕には到底思いつかない」

「国家というのは内も外も武力が最大の影響力を持つ、そしてその武力を司るものが実質のトップとなる。いくら話し合いで決めると言っても、軍事のトップが気に入らないと言って否決になれば、それは王の立ち位置の低下を招く。もし、王が刃向かったとしても、国の安全上やはり軍事のトップが影響力を持つ。つまり、力で支配してしまおうというわけだ。何かから守る矛は時としてその方向を変えれば、自分にもその矛先が向く、こう思わせることが目的だ」

「それじゃあ、僕達が軍事のトップを担って政権に睨みを効かせることで、実質的に支配をするということか、とんでもない事を思いつくな」

「カーミンって現実世界でいう独裁者の考えじゃん。なんか普通に接してるけど」

「カーミンさん、それでちょっと気になる事があるのですが」

「なんだラミルよ」

「実際そうなったら場合、どういう方法でオスムニアを魔物から守るのですか?」

「それは、お主の部下達が今まさにやっているではないか」

「え!僕の部下が?誰のことだろう」

「コマチとイワタと言ったか?彼らが今ちょうど魔力玉を集めていると聞いてな、実際オスムニアの魔物の被害のほとんどが三魔獣からのものなんだ。それをお主の部下達は一日復活する毎に倒しているではないか」

「あっそうだったら。すっかり忘れてた」

「まさか、そんな大事なこと忘れてはいないだろうな」

「もちろんですよ、忘れるわけないですよ」

 ラミルが咄嗟に嘘をつく。

「まあ、そういうことだ、もし万が一戦闘になったとしても、さっきも言ったがお主達なら心配はいらないだろう。では期待しているぞ」

「はい、分かりました」

 そうして明日の作戦会議を終わらせ、俺達は明日のため再び気合いを入れ直すのだった。

 一方で魔王陣営では、



「カラミティ様、上手くいきましたよ。スライムとあの人間を一緒にカーミンのところへ送り込むことに成功しました。それにカルベロスまで」

「よくやった。ソーダよ」

「ありがとうございます。カラミティ様」

「それにしても、あのソミットは最後に十分役立ったな」

「そうですね、必ず成功させると言っていましたからね、最後の最後にしっかりと役立ちました」

「生きていれば幹部クラスにしたのにな。まあ、すぐ変わると思うが」

 ソーダとカラミティは二人で笑い合う。

「それではそろそろ私は次の準備に参ります。今回の計画が上手くいかなかったときの保険です。では、少しナイロ王国に行って参りますので」

「ソーダ頼むぞ」

「お任せください。全てこのソーダの手の内です」



 翌朝、俺達はオスムニアへ向け出発した。

「よし、そろそろだ、皆んな気合いを入れろ」

 カーミンの呼びかけに全員が同調する。

 そしてついに宮殿に到着、宮殿の重い扉を開けるとそこには予想もしない光景が広がっていた。

今回は少し難しい話になってしまいました。分かり易いように説明しようと頑張りました。

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