初めてのおつかい
俺はラミルからの依頼でオスムニアへ向かったのだが、その道中の木々に囲まれた薄暗い森に入るのだった。
「なんか一人で歩いていると不気味だな。そうだ、こういう時に話してくれるウォータープロテクトちゃん!」
そうして俺は森の怖さを和らげるためにウォータープロテクトを発動する。
「何のようでしょうキク様。あとちゃん付けはやめてください」
「ええ、なんか急に怒られたんですけど。俺は話す相手が欲しくて……」
「そのような用件ですか。では話題を選んでください」
そして俺の手には様々な話題が表示される。
「わかった。どれどれ、すごいたくさんの話題があるな。この地の歴史はもちろんスキルのことまで、え!魔物の恋愛事情!?もしかしてこれラミルに……いやいや俺はそんなの興味ないし、ラミルは性別ないからな。
あれ?これなんだろう?(レベルについて) そう言えばこの世界でレベルって聞いたこと無いけどあるのか?まあいいや、とりあえず聞いてみよう。これで選択してっと」
そうするとウォータープロテクトは俺の中に入り、俺の脳内で会話を始めるのだった。
「キク様。レベルについてですね。分かりました。お待ちください…… では説明しましょう。
この世界にはまずレベルというものが存在します。しかし、レベルが上がっても大して身体能力が上がるわけではありません」
「ええ、こういうのってレベルが上がったら大体身体能力とかなんかが向上するよな」
「多少の身体能力向上はあります。ですが技の威力は大幅に上昇します」
「なるほど、じゃあ俺とラミルの同じ技でも威力が違うのはそういうことだったんだな」
「はい、そして一部レベルが一定の高さに達しないと獲得できないスキルもあります」
「そんなのがあるのか!?」
「そのスキルはノーマルスキルの一部と土、日の下位スキルです」
「へ〜 そうなんだ。そういえばこの前、本でも土、日の下位スキルは他とは一線を画すって書いてあったな。なあ、そのスキルはどのくらいのレベルで獲得できるのか?」
「ズバリ一万です」
「一万!」
俺は想像以上の数字に驚きを隠せなかった。
「ちなみに俺の今のレベルはどのくらいなんだ?」
「32レベルです」
「おい、マジかよ、到底追いつけないじゃん」
「勇者になって民の信頼を得ればレベルは比較的簡単に上がります」
「勇者かあ〜 俺にはどうもなれる素質があるとは思えないけど……」
「キク様には十分勇者の素質があると推測します」
「本当か!」
「かのナイロ王国の王であるカーミンは元は下位レベルの冒険者でした」
「そうなんだ、なんかそういう下から強くなるっていうの憧れるなぁ」
そうして俺はウォータープロテクトの愛想の無いが結構役にたつ話を聞きながらオスムニアへと向かった。
「よし、森を抜けたぞ、あともう少しだ。あの丘を越えれば」
そうして、厳しい日差しの中、丘を越えて街に着いたのだった。
「ふう、しかし、今日は暑いな。そうだ、ウォータープロテクト!」
「はい、何でしょう」
「なんか体が冷えるものはないか?」
「分かりました」
そうするとウォータープロテクトの鎧から冷えた空気が上から下へ流れ出す。
「うわー最高だ。これが現実世界にあったらなぁ」
そうして街の門をくぐると中には以前と違って人が全くいなかった。
「あれ?どうしてこんなにも人がいないんだ?」
そう思っていると街の兵士だと思われる鎧を着た男が話かけてきた。
「おいそこの者。避難命令が出ているぞ、早くシェルターに隠れろ」
「あのーただ僕は薬を買いにきたのですが、なにかあったのですか?」
「ついさっきこの国が魔物からの襲撃を受けてな。すぐに討伐に向かったのだが、とても強い魔物で私達では全く歯が立たなかった。だから、今は助っ人を探していてな。この辺でスライムのラミルという魔物が人間に友好的でしかも強力な力を持っているらしい。それで今からお願いしようと思ったのだが……」
「そのスライムだったら、俺、知ってますよ」
「本当か!じゃあ今どこにいるんだ?」
「ゴブリン村にいます」
「あの高度な文明を持つゴブリンの村のいるのか。すまんが旅の者、そのスライムに伝言を頼む」
さっきまで険しい表情をしていた男が深々と頭を下げる。
「いいですけど、今ちょうど忙しいみたいで、俺もちょうどおつかいに出されてこの国に来たんです。だから、お願いしても来てくれるかどうか……」
「そうだったのですね、しかし、この状況ではどうにも私達では対処できないのです。どうか来てもらえるようにお願いします。どうしたものか……」
男は空を見上げる。
「良かったら俺がお手伝いしましょうか?これでも俺は冒険者なんです」
「それは、ありがたいのですが、あなたはそこまで強く見えないのですが……」
「失礼だな、いやいやこれでも結構いろんな技を使えるんですよ」
「そうでしたか、分かりました。では、ここから少し離れた農村に奴はいます」
そうして俺は強く見えないと言われたことにちょっと腹を立てながら農村に向かった。
だんだん近づいてくるとその禍々しいオーラと共に巨大な魔物が姿を現す。オスムニアの兵士達はいろいろな方法で攻撃しているが全然効いていない。
「こんにちは、みなさん助っ人で来ましたキクと申します。よろしくお願いします」
「ああ、助っ人か。私達は今大変なんだ。そこで突っ立っていないで早く攻撃してくれ」
兵隊の隊長みたいな男が言う。
「何だよその言い方ムカつくなあ。さあ、やるか、手始めに水面波切り!」
「カキンっ」攻撃がいとも簡単に弾かれる。
「やっぱりダメか、よしまだ試していない技を試してみようリーチダンス!」
そうすると空から大きな岩が何個も降ってきて魔物にあたる。そして巨大な魔物はその打撃に耐えられず、ついに地面に倒れる。
「なんと、魔物が倒れたぞ!誰の攻撃だ?」
兵士達がザワつき始める。
「あのー俺です」
「え!あの弱そうな助っ人が!?」
兵士達は今まで見たこと無いと言う表情をしていた。
「そんなに驚くかなくても。あ、そうだ少しここら辺熱くなりますけどいいですか?」
「熱くなる?魔物を倒すためだったらいいぞ、やってくれ」
隊長がキョトンとした顔をしている。
「分かりました。やらせてもらいます。ちょっと離れていた方がいいですよ。くらえ!ホワイトマグナム!」
俺の手からはとんでもない威力の真っ白いビームが放たれる。
「こ、これはアルティメット技のホワイトマグナム。とんでもない威力だ」
俺の技を見ていた兵士達は全員鳩に豆鉄砲を喰らったような顔をしていて、中には俺の技の威力に腰を抜かした者までいた。
「よし、こんなもんか。ふうやっぱり熱いな。そうだ消火しないと。ライド・メインストリーム!」
そうして俺は自分の技で火が回らないように消火した。
「いやぁ、跡形も無く消えちゃったな。それにしてもなんなんだこの魔物?一瞬で倒しちゃったからわかんないや」
「旅の者よ、今回はありがとうございます」
さっき街で会った男が話しかけてきた。
「私の名前はライムと言います。今回、街を救っていただき感謝いたします」
「いや、全然いいですよ。それよりも薬を買わないと」
「薬の分は無償で提供させていただきます。礼として受け取ってください」
「じゃあお言葉に甘えて」
「その前に是非とも我が国王カリウス様と会っていただきたい」
「分かりました」
俺は国の兵士の総隊長であるライムの熱烈なオファーで、街に戻り国王と面会することになったのだった。
だんだん物語が複雑になってきて結構大変ですが、頑張ります




