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それぞれの思い

「え!まじかよあの猫。アルティメットスキル持ちだったのか」

「ねえ、キクこれからカルベロスが一番強いって事でいいよね」

ラミルが少し呆れた様子で言う。

「そうだね、これはそうした方がいいよ」

「僕は今のカルベロスを見て勝てないと思ったね」

「そうだね、とりあえずカルベロスを怒らせないようにしよう」

カルベロスが戦闘を終えて街の広場からこちらへ近づいて来る。

「ラミル様。改めて感謝します」

「いや、こっちが感謝したいくらいだよ、あのミムラを簡単に倒せるなんて驚きだよ」

「これも全てラミル様のおかげです。あの時ラミル様が正確に魔力の量を調整してくれたから、このように力を最大限に出せたのです」

「ああ、それは良かった」

ラミルは若干引き気味で会話をしている。

「それじゃあ、とりあえずみんなを集めようか」

そうして俺達はカルベロスを連れて会議室へ向かった。



「今回の件はカルベロスのおかげで無事に解決することができた。改めて感謝する。そしてさらに重要話は明日にしようと思う。ミムラの事も関わってくるからな。そういうことで、みんな一度集めたのにこれくらいの話で悪かった。今日はしっかりと休んでくれ。では解散!」

そうしてみんなそれぞれの持ち場に戻っていく。

一方でこの状況を良く思わない者もいた。

「なんと!あのミムラがカルベロスのあんな簡単に負けるなんて…… まずい、カラミティ様に何と報告すれば良いのか。それに私自身どうなるかわからない」

「シュっシュっ」黒い影がだんだんとソミットに近づいてくる。

「なんだ!誰だ?」

「ソミットよ私だソーダだ」

「ああ、ソーダ様こんなところでお会いするとは」

ソーダは何か企んだ様子で話かけてくる。

「どうやら作戦は失敗したようだな。だが安心しろソミット。カラミティ様には報告しないでおいてやる」

「本当ですか!ソーダ様感謝します」

そうするとソーダは一つの玉を手の平の上に出した。

「だが、失敗したままでは私の面目も立たない。あのミムラが倒れた今、スライムとあの人間の討伐を頼めるのはお前しかいない」

そしてソーダは手の上の玉を強引にソミットの胸に押し付ける。

「ソーダ様これはどういうことですか?」

ソミットは苦しそうにもがいている。

「この魔力玉を使えばお前の能力は大幅に強化される」

「しかしソーダ様、一度にこんな大量の魔力を吸収すれば自我が無くなってしまいます」

ソーダが不気味な笑いを浮かべる。

「それが狙いなんだよ。ソミット。私達はこの作戦が成功するなんて微塵も思っていないよ」

「何!?じゃあ最初から…… そうか、この私はカラミティ様に気に入られようと思って必死だった。でも、あの人間のせいで私の計画は全て水の泡だ。あの人間さえいなければ、ナイトネス様だって」

ソミットは遠のく意識の中で激しい怒りの感情を抱えていた。

そしてソミットは大量の魔力を吸収して禍々しいオーラを放った怪人へと変化した。

「ようやく、進化したようだな。この進化の成功には激しい怒りの感情が必要だったのだが、それも十分みたいだな。助かったよソミット君。まあ、もう完全に自我を失っているけどね」

そうして怪人となったソミットはただ復讐の感情だけを抱えて人間の国オスムニアへ侵攻を始めた。

そして、翌朝ゴブリン村では作戦の話し合いをしていた。



「みんな、ゆっくり昨日は休めたか?少し長いが今後の展望について話したいと思っている。

まず今回の件みんな本当によく頑張った。ここ最近は戦い続きでみんな疲弊しているところだとは思うが、もう少しの間僕に力を貸してほしい。

まだ魔王がいる以上どうなるかわからないからな。

そして以前話した人間の国との仕入れの件だが、ナイロ王国から交渉の許可を与えられた。

そして軍事面ではやはり魔力玉を使った強化が最優先だ。

そこで、コマチ率いる刀進組の精鋭部隊にこの前僕とキクが倒したように三魔獣を倒して取ってきてもらう。よろしく」

「はい、お任せください」

「コマチとイワタには残りの魔力を与えるから心配する事は無いだろう」

「ラミル様感謝します、我らはこの力を使って必ず役に立って見せます」

「ああ、そしてキクにはカルベロスの治療のためにもう一度オスムニアに行って薬を買ってきてほしい」

「みんな重要任務なのに俺だけおつかいかよ」

「そうかな、結構重要だと思うけど。最後にミムラの件だが……」

そうラミルが言いかけると会議室の外から誰かが走ってくる。

「お待たせしました。私はミムラと申します」

「おお、ミムラ、体調は大丈夫か?」

「万全です。お気遣い感謝しますラミル様」

「あれ?なんかあのミムラがこんな感じだと変な感じがするな」

そう思っていると、コマチが少し怒り気味に言う。

「弟よ!なぜこんなことをしたのか?」

するとミムラは申し訳なさそうな顔をして少し考えてからうつむきながら話す。

「その事は、本当の申し訳わけないと思うし、大切な仲間を傷つけてしまった事を本当に反省している。言い訳だが、私は小さい頃からみんなから優しくされたことがなくて、今になってこの私を受け止めてくれる人が欲しかったんだ。だから強い者と戦えば私の事を受け止めてくれると思って……」

それを聞くとコマチはさっきまでの表情を変え、涙ぐみながら言う。

「どうしてその事を誰にも言わなかったんだ!」

「だって、誰も話を聞いてくれないと思ったから……」

「小さい頃から、誰もお前の事を嫌がるような奴はいなかった。お父様はお前の事を一番だと言っていた。

だから獣人族の長を担う人材としてみんなお前には厳しく当たっていたが、内心はお前の事を大切に思っていた。

それに、お父様も若くから力がある故に他の兄弟達のように可愛いがってあげられない事をずっと心配していたんだ。だから!どうか勘違いしないでほしい、お父様のこと、それに獣人族のみんなのこと。

お父様はお前が村を出てからずっとお前の事で後悔していたんだ。話を少しでも聞いてあげれば良かったと……」

それを聞いてミムラは堪えていた涙がまるで滝のように溢れ落ちる。

「そうだったのか、ありがとう兄上。

私は今まで自分の弱さを誤魔化すために強さを求めてきた。

でも本当はこの私の全てを理解してくれる人が欲しかった。この誤魔化し続ける自分が嫌だった。

でも、今こうやってみんなが私の事を真剣に聞いてくれる。そしてラミル様、カルベロス様のような受け止めてくれる人もいる。

村を襲った私を叱ってくれてそれでも、優しく出迎えてくれる。

そういう居場所が幼い私には必要だったんだ……」

ミムラの顔を伝う一滴の涙が外からの光を反射して宝石のような輝きを放つ。

「そうだ、弟よ。いや、獣人族の族長ミムラ様。そう呼ばせてくれ。ずっとみんなお前の事を待っていてくれたんだ」

そうして、コマチとミムラの再会はその場に感動の余韻を残していった。

「コマチ、もう話はいいか?」

「あっはい。すいませんつい熱くなってしまいました」

「全然いいよ、大切な話だしな、僕も正直すごい感動して堪えるのに大変だったよ。まあ、話は変わるが今日から訓練所の師範としてミムラにお願いしようと思う。頼んだミムラ、その力をみんなに与えてくれ」

「分かりました。ラミル様のため、そしてこの村のために全力で務めて参ります」

「そういうことで、今後の展望としてはこれで一旦終了だ。また何か問題があったらその時に話し合おう。僕は交渉のために準備をしなくてはならないから、しばらくは村に滞在する予定だ。その間にコマチ達は魔力玉、キクには薬を買ってきてもらう」

「はあーついにこの世界で初めてのおつかいかー」

「はい!じゃあ今日のところはこれで解散!」

そうして役割をもらった各々は早速仕事に取り掛かるのであった。




前回よりもいくらか文章の構成を調整しました。

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