樹海と炎
「で?どっちが勝つと思う?」
アイザックが問いかけた。
「相性的にはジェシカ様ですがルミーナ様はレベル2でアビリティ持ちですからね。対するジェシカ様はレベル1でアビリティが発現してませんので拮抗するかと…」
アイザックはアマンダの答えに疑問を抱いた。
術士のレベル差は大きな壁となっており、下のレベルの術士が勝つ事はあまりないからだ。
開始の合図と共に装魔を発現させる。
「我、全ての叡智を授かりし知恵者也【小サナ鍵】」
「我、生命を司る神木の大樹也【生命ノ木】」
ジェシカの装魔【小サナ鍵】は黄金に輝くダガー型の装魔でルミーナの装魔【生命ノ木】は物語に出てくる賢者が持ってそうな木製の大杖型の装魔だ。
「樹海降誕‼︎」
ルミーナが開始早々にアビリティである〈樹海降誕〉を発動させた。
結界型のアビリティで自分の意のままに操れる樹海の結界を創造するアビリティだ。
「結界型のアビリティか。ジェシカは大丈夫なのか?」
「まあ見てなよ」
アイザックの心配をよそに十兵衛は平気な顔をしていた。
アビリティには結界型、自己強化型、装魔強化型の3つがあり、自分の有利なフィールドを作り出せる結界型が1番強いと言われている。
しかしレベル1でアビリティの発現していないジェシカに対して余裕な十兵衛と拮抗する言い放つアマンダにアイザックは謎が深まるばかりだったが次の瞬間に謎が全て吹き飛んだ。
「いでよ 《サラマンダー》‼︎」
ジェシカの詠唱と共に燃え盛る髪と鱗を有する肌を持つ女戦士が召喚された。
サラマンダーは持っている大剣を一振りするとあたり一面は火の海と化した。
「召喚魔法かよ…しかも短文詠唱だし…英雄の魔術とか初めて見たわ…」
アイザックは驚いていたがその後ろを見ると見にきていたモーガン達も驚いていた。
「行け‼︎サラマンダー‼︎」
号令と共に次々と樹海を焼き払っていく。
だが次々と木々が発生してジェシカ達に襲いかかる。
「アビリティが強くなったな」
十兵衛が感心してるとアマンダは感慨深そうに答えた。
「努力されましたからね…」
燃やしても燃やし尽きない樹海にジェシカよりも痺れを切らした者がいた。
[あぁーうぜーなコイツ‼︎]
「えっ喋った…」
モーガンと一緒に見ていたリサが絶句した。
サラマンダーの声を聞いて驚きを隠せないのだ。
それもそのはず、一般的に召喚とは低位の精霊などがほとんどで言葉を発するぐらい高位の精霊はなかなかお目にかかれない。
しかもそれを短文詠唱するなんて信じられない才能なのだ。
[クソがぁ‼︎《ドラゴンブレス》]
サラマンダーが手をかざすと手のひらから竜が炎を吐いたような猛炎が繰り出される。
召喚魔法が強い理由がこれだ。
装魔術士はレベルが上がる毎に1つ魔術を覚えるが最大で5つしか魔術を唱えられない。
しかし召喚されたものはこの理の外にいて、そのスペックによるが人間よりも複数の魔術を扱える。
しかも詠唱が要らない場合がある。
これが召喚魔術の強みであり、英雄の魔術と呼ばれる所以だ。
炎の中で女戦士が暴れ回るが一向にルミーナの姿が確認できない。
しかしルミーナはピンポイントでジェシカ達を狙ってくる。
そしてジェシカが片膝をつく。
「くっ体が痺れてきた…」
炎に目を奪われていたが自分の周りに小さな粉が舞っていた。
[ちっ小細工かましやがって‼︎]
絶体絶命のジェシカだが見ていた見学者達は全員同じ事を思っていた。
あの精霊口悪いな…と。




