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氷犬VS水魔

 「君たち準備はいいか?」


 ゼノビア教官が手を挙げる。


 「Aブロック二回戦始めっ!」


 ゼノビア教官が手を下ろした同時に2人は動き始める。


 「我、雄牛を護りし双頭の番犬也【双頭魔犬(オルトロス)】」


 アイザックは解言すると2対の手斧が現出した。

手斧は綺麗な狼が装飾されており、その刃は透き通るような氷の刃だった。


 「我、水底に棲まいし原罪者の末裔也【残虐水魔(グレンデル)】」


 一方でジェイソンは一振りの禍々しい鉈を現出させた。

柄はボロボロの布で無造作に巻かれ、刃は濁った水でできていた。


 「あれは水属性と闇属性のハイブリッドだネ。1日で2回もハイブリッドを見れるなんて中々珍しいネ」


 ケビンが嬉しそうに言った。


 十兵衛の装魔も炎と闇のハイブリッドで2つの属性を持つ装魔は珍しい。

基本は1つの装魔に1属性なのだ。


 「だけどもアイザックの装魔も気になりますね。2対の装魔となればダブルコアでは?」


 モーガンが眉をひそめる。


 ダブルコアとは2つのアビリティをもつ装魔を指す言葉である。

アビリティとは1つの装魔につき1つと決まっているがアイザックのように2対の装魔は2つのアビリティを有している事が多い。


 「流石はⅣ組ですわね。珍しいのが揃ってる」


 リサがクスッと笑った。


 お互いに珍しい装魔を持つ2人であり、セオリーで言えば牽制しながら様子を伺うのだが2人は違かった。


 ガキンッ‼︎ガキンッ‼︎ガキンッ‼︎


 いきなり互いの装魔で斬り合い始めたのだ。

この考えなしの攻防は激しさを増し、お互いの体を切り刻んでいった。


 「アイザック君〜距離をとって様子を見て〜」


 ルミーナの助言も虚しく2人の斬り合いは止まらなかった。


 「なかなかやるなぁ」


 アイザックが笑いながら言った。


 互角に見えた斬り合いも徐々に差が出てき始めた。


 「なんかあいつ体が一回り大きくなってないか?」


 斬り合いを見ていた生徒達が異変に気づいた。


 次の瞬間にアイザックはジェイソンの重い一撃に吹っ飛ばされた。


 「ありゃ肉体強化型のアビリティっすね。発動条件は傷を負うことかな」


 十兵衛が冷静に分析した。

ジェシカは自分に対しての若干抜けてない敬語みたいな中途半端な言葉遣いにこちょばゆくなっていた。

十兵衛の分析通りジェイソンのアビリティの【多傷多虐狂化(スカードーピング)】は肉体強化型のアビリティで傷を負うことにパワーを増すアビリティだった。


 「…」


 ジェイソンが更に追い討ちをかける。

アイザックは次第に防戦一方になり、ジェイソンの重い一撃に苦戦していった。


 「くっ…こりゃしんどいね…」


 アイザックは苦笑いしながらジェイソンの攻撃を受けていた。

必死にジェイソンの攻撃を受けているがいつまでも受けきれるものではなく、見ていた生徒は徐々にジェイソンの勝ちが頭によぎった。


 「これはダメかもね…」


 ジェシカが諦めの表情でため息をついた。


 「いやアイザックは吹っ飛ばされなくなってきてるっすよ」


 十兵衛がジェシカに言った。

もう一つの異変が既に始まっていた。

今度はアイザックの体が一回り以上大きくなっていたのだ。


 「ふんっ」


 アイザックが手斧を振るうと今度はジェイソンが吹っ飛ばされた。


 「これは面白い組み合わせですね」


 「アイザックも肉体強化型のアビリティだネ。条件は時間かネ?」


 「バーバリー家の人間ですからそう簡単に負けないと思うわよ」


 ジェイソンは驚きを隠せなかった。


 「さて…待たせたな‼︎」


 そう言うとアイザックはジェイソンに突っ込んでいった。

綺麗な手斧の乱撃は荒々しくも美しい舞のような動きで見るものを魅了した。

ジェイソンは切り刻まれながら片膝をついた。


 「あれがノチカ流斧術だヨ。初めて見たネ」


 ケビンが興奮してる。

どうやらケビンは武術マニアらしい。


 アイザックは止めの一撃を上段から振り落とそうとしたがジェイソンの鉈に受け止められ、更にジェイソンが鉈を払ってアイザックを再び吹っ飛ばした。


 アイザックは壁に激突して吐血した。


 「や…やれやれ…君はかなり丈夫だね…」

 

 更にビルドアップされたジェイソンを見てアイザックは苦笑いした。

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