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悪鬼羅刹

 砂嵐の中から青銅でできた巨人が出現した。

大剣である【青銅巨人(ターロス)】が普通の剣に見えるぐらいの大きさだ。

そしてマシューの姿が見当たらない。


 「これが俺のアビリティ【銅合金体(ブロンズアーマー)】だ‼︎」


 どうやらマシューが巨人になるアビリティらしい。


 「おかしいな…」


 試合を見ているアイザックは不思議がっていた。


 「スティーブンと戦った時は詠唱中に十兵衛は決着をつけたがなぜ今回はそうしないのだろう?十兵衛のスピードとパワーがあればすぐに決着つきそうなのに…」


 その問いにアマンダが答える。


 「十兵衛さんはマシューさんに全てを出し切った状態でねじ伏せるのでしょう。でなければあの二つ目の呪文のブロンズガドリングとかいう長文詠唱を彼が狙わない筈がありません。私ですらあそこを狙います。」


 「やはりそうか。にしてもマシューは詠唱中に足が止まってたし実戦経験はあまりなさそうだな」


 「この年齢で実戦経験が豊富な人は珍しいですよ。アイザック様もそうでしょう?」


 「アイザックでいいって。うちは常に戦いの準備をしてるから訓練が厳しくてな…」


 アイザックはあまり思い出したくないのか難しい顔をした。


 「領地を護りし守護者よ 帆船を沈めしために迎撃の狼煙を上げよ 《ブロンズガトリング》‼︎」


 マシューは更に詠唱をし、礫の連打を十兵衛に放った。

それを十兵衛は難なく撃墜していく。


 「彼も意地が悪いですね」


 リサがクスッと笑った。

容赦なく放たれる青銅の礫は全て十兵衛に叩き落とされる。

彼はまだ魔法を使ってはいない。

ただあれだけ無数に放たれる攻撃を無傷で済ますなど人間業じゃない。


 「なんであれだけの攻撃を全て落とせるんだよ…」


 クラスメイトが事態の異常さに困惑している。

ガガガガガガと打ち出される青銅の弾を見事に【大嶽丸(オオタケマル)】で打ち落としている。


 ガガガガガガ‼︎

 キンッキンッキンッ‼︎


 永遠かと思われる打ち出す音と弾く音が遂に終わりを迎える。

マシューの魔力が底をつきかけている。

どうやらマシューは巨人の体で自身の守りを固め、第二魔法で十兵衛を攻撃する作戦だったようだ。

あれだけ放てば相手は無事では済まない。

しかし十兵衛は無傷である。


 「う…嘘だぁ‼︎」


 ドゴォォォ‼︎


 青銅の巨人が繰り出す斬撃に地面が割れる。


 「そうだ…この体があれば奴は手も足も出ない‼︎人間が巨人に勝つ事は不可能だ‼︎」


 マシューは一心不乱に剣をふるう。

青銅の巨人である、マシューの膂力はすざまじく攻撃を受けようものなら全てを破壊しそうな威力だった。


 「いや普通の人間ならね…」


 ふとしたジェシカの一言にアイザックは違和感を覚えた。

ルミーナやアマンダも何一つ不安な表情をしていない。


 「酒呑流…生一本(きいっぽん)‼︎」


 十兵衛は渾身の居合斬りを放つ。

再度、刃を鞘に収める時に巨人の右腕は切り落とされていた。


 「うわぁぁぁ‼︎腕がぁぁぁぁ‼︎」


 青銅の巨人は肩口からバッサリ右腕を切り落とされて錯乱していた。

その傷口からはドス黒い炎がついて煙を上げている。


 「酒呑流…大吟醸(だいぎんじょう)‼︎」


 居合斬りからの連撃が巨人を襲う。

次々に青銅の鎧が剥がされていくおり、獄炎の熱と斬撃で青銅の鎧は焼き切られていく。

そして胴体からマシューの体があらわになった。

もうマシューは気絶している。

マシュー目掛けて襲う刃を一本の大剣が防ぐ。


 「十兵衛‼︎終わりだ‼︎」


 ゼノビア教官が止めに入った。

怒涛の攻撃に見ている者は静まり返っていた。

白銀のクレイモア型の魔装を地面に突き刺し、ゼノビア教官は宣言した。


 「勝者、十兵衛=凪‼︎」


 パチ…パチ…パチ…

嬉しそうにルミーナが拍手している。

それつられてクラスメイトも拍手し出した。


 「俺…一回戦勝ったらあれと戦うのかよ…」

 アイザックは言葉とは裏腹に嬉しそうな顔をしている。


 戻ってきた十兵衛にジェシカが声をかける。


 「一回戦勝利おめでとう‼︎でも完膚なきまでに叩き潰したわね…」


 「ああ…あざっす」


 「でもやり過ぎよ…みんなひいてるわよ…」


 「俺はアメル商会に奉公に出て会長にはいろんな事を教わったし、広い世界を見せてもらったんで恩があるから…」


 それを聞いてジェシカは照れながらお礼を言った。


 「ありがと…」


 訛ってないから怒りが解けたみたいだなとアイザックはアマンダに耳打ちした。


 「凪家の伝家の宝刀てある《風林火山(ふうりんかざん)》を見れなかったのは残念ネ。あの魔術は一度見てみたかったヨ」


 ケビンが惜しそうに言った。


 「まあマシューが腕を切り落とされたけどあれは巨人の腕で胴体に格納されていた彼自身の腕じゃないからあそこで怯んだらダメね」


 「詠唱も止まってないと出来ないしまだまだ甘いヨ」


 ケビンとリサが酷評する。


 「リサさん…十兵衛君の相手に全てを出させてその上をいく作戦に君は気付いていたみたいだけど…」


 モーガンの問いにケビンが答える。


 「それはリサも意地が悪いからヨ」


 その瞬間にケビンはリサの肘打ちをくらって膝をついた。


 「さて次にいくぞ‼︎次は同じAブロックのジェイソン=レインズとアイザック=バーバリーだ‼︎」


 アイザックもでかいがジェイソンはアイザックよりもでかかった。


 「俺よりでかいか…まあよろしく頼むよ‼︎」


 アイザックは笑顔で握手を求めた。


 「こちらこそ…」


 手を伸ばした際にすこし手首が見えたがびっしりと刺青をしていた。


 まだ一回戦の衝撃が残ったまま二回戦が始まろうとしていた‼︎

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