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青銅巨人VS悪鬼

 物々しい雰囲気のなか教室から第5闘技場に移動する。


 「なあ。あれ大丈夫か?」


 アイザックは不安そうにジェシカに尋ねる。


 「相手はレベル2だから十兵衛が負けるとか想像できないな…」


 「いやそうじゃなくてマシューとかいう奴は無事で済むのか?」


 アイザックがチラッと横目で十兵衛を見るが十兵衛からはドス黒いオーラが溢れていた。

十兵衛は同じレベル3の装魔術士でも魔術を使わずに圧倒する力があるのでアイザックはマシューのことが心配になった。


 「十兵衛さんは雇主であるオルバ様を尊敬してますからね。マシューさんにオルバ様も馬鹿にされたと思っているのでしょう」


 アマンダは冷静に十兵衛の心情を分析した。

闘技場に着くと既にゼノビア教官が待っていた。


 「来たな。では組み合わせの発表をする。」


 闘技場に設置されている魔法板に文字が浮かび上がる。

A〜Dブロックに分かれており1ブロック8名の4ブロックのトーナメント形式だった。


 「俺は十兵衛と同じAブロックかよ…」


 アイザックは落胆していた。


 「あ…」


 ジェシカが呟いた。

ジェシカはCブロックで初戦の相手はルミーナだった。


 「勝っても負けても恨みっこなしだよー」


 ルミーナが笑顔で言った。


 「おい眼帯。化けの皮が剥がされたくなければ降参してもいいんだぞ。所詮は金の計算しかできない庶民に使われる奴だ。貴族の俺には勝てまい」


 マシューが自信満々な態度は彼の貴族という血筋にある。

貴族は優秀な装魔術士を輩出しており、装魔術士の戦いはレベルという物差しがあるが装魔によっては弱い魔法しか習得できない装魔もある。

血筋によっては強い装魔を発現し、レベル差をひっくり返す事もある。


 「貴族ばいうてきさんは辺境の領やなかと?」


 十兵衛の言葉にマシューは憤慨した。


 「どうやら庶民には分からないようだな。貴族と庶民の実力差を思い知るがいい‼︎」


 ゼノビア教官が中央に立つ。


 「それではマシュー=マッキンタイア対十兵衛=凪の試合を始める‼︎」


 闘技場は緊張で静まり返った。


 「おお。間に合いましたね」


 そこにモーガンとリサの他に小柄な男が入ってきた。


 「今は1年の使用中だがどうしたね?」


 ゼノビアがモーガンに問いかける。


 「いや新入生に挨拶をと思いまして…私が序列3位で4年寮長のモーガン=フリードです」


 「私が序列7位で3年寮長のリサ=ゴルゴーンよ」


 「ワタシ序列10位ケビン=リーというネ」


 モーガンはみんなを見渡してさらに続けた。


 「このトーナメントで毎年1年の寮長が決まり、寮長はかなり高い確率でのちに高位の序列になっている。私達も見学させてもらいますが皆さん頑張ってください」


 「序列高位の前でレベル3ボコれるとかツイてるぜ‼︎」


 マシューの気合いが上がった。


 「十兵衛君、期待してるよ」


 モーガンは十兵衛の肩に手を置きエールを送った。


 クラスメイトがあいつもう寮長に期待されてるのかよと呟いた。

それを見たマシューは面白くない顔をしている。


 「仕切り直して両者前へ‼︎」


 ゼノビア教官が手を挙げる。


 「ではAブロック1回戦始め‼︎」


 「我、神に造られし青銅の自動人形也【青銅巨人(ターロス)】‼︎」


 「我、神剣を授かりし鬼神也【大嶽丸(オオタケマル)】‼︎」


 2人が解言し、装魔が現出する。

マシューの装魔【青銅巨人(ターロス)】は岩で形成された大剣である。

しかしクラスメイトは十兵衛の装魔に注目している。


 「鞘付きの剣とは珍しいネ」


 「あれは私も驚いたわ」


 リサは思い出して少し笑みを浮かべている。


 「彼はジパング出身みたいですね」


 モーガンが資料を読んでいる。


 「ジパング出身で(なぎ)…彼はとんでもないネ」


 「ケビン。何を知っているのですか?」


 モーガンの質問にケビンは細い目で十兵衛をじっと見つめている。


 「見てればわかるヨ」


 マシューは先手必勝とばかりに十兵衛に斬りかかる。

しかし十兵衛はスティーブンの攻撃を全て交わした男であり、マシューの斬撃はことごとく空を斬る。


 「なんだ貴様‼︎避けてばかりか‼︎」


 十兵衛がため息をつく。

それを見て激情したマシューが【青銅巨人(ターロス)】を振りかぶる。

その瞬間に十兵衛の右拳がマシューの顔面を的確に捉えてマシューは吹っ飛んだ。


 「遅か。遊びば付き合うほど暇じゃなかよ。こぎゃんきさんの本気か?」


 十兵衛が煽るとマシューは起き上がり詠唱を始めた。


 「クソがぁー‼︎ 探索者を妨害せよ 《ブロンズホールド》!」


 十兵衛が立っている両側面の土が盛り上がりトゲ付きの壁が一瞬にして出来上がる。

壁が十兵衛を挟もうと一気に迫ってきた。


 「酒呑流…唎酒(ききざけ)…」


 十兵衛が抜刀し、自身の両側面を高速で切り伏せる。

壁は虚しくも崩れ落ちる。

十兵衛が抜刀した【大嶽丸(オオタケマル)】を再び納刀した。


 「あいつ魔術を斬りやがった」

 「あんなのありかよ…」

 「初めて見たわ…」


 クラスメイトが驚愕している。


 「あれはよっぽど魔力差がないとできない芸当ですわ」


 リサが称賛した。


 「彼は右目に眼帯をしているから右側が見えない筈ですよね…」


 モーガンも驚いている。


 「なんだよ…それ…」


 マシューがびっくりして後ずさった。


 「しまいか?」


 十兵衛が問いかけると焦りながら次の詠唱を始める。


 「領地を護りし守護者よ 帆船を沈めしために迎撃の狼煙を上げよ 《ブロンズガトリング》‼︎」


 詠唱が終わるとマシューの足元から青銅の礫が十兵衛を襲う。


 「酒呑流…大吟醸(だいぎんじょう)‼︎」


 高速の居合からの連続斬りで次々と青銅の礫を撃ち落とす。

全ての青銅を打ち落とした【大嶽丸(オオタケマル)】の刃は黒く燃えていた。


 クラスメイトが驚いて言葉も出ない。


 「アレが凪家に伝わる属性の獄炎(ごくえん)と流派の酒呑流(しゅてんりゅう)ネ」


 ケビンはやっぱりかという表情をしている。


 「なんなんだよその装魔は…?」


 「【大嶽丸(オオタケマル)】ちジパング刀の装魔ばい。そげんこつより貴族と庶民の違いば見せるんじゃなかとか?」


 十兵衛が歩みよるとマシューが狼狽た。


 「来るなー‼︎【銅合金体(ブロンズアーマー)】‼︎」


 マシューがアビリティを発動した。

するとマシューの体は巨大な砂嵐で覆われる。


 その砂嵐を見ながら十兵衛は邪悪な笑みを浮かべていた。

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