表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/24

火竜VS悪鬼

 「う…ん…」


 「ラキウス先輩ー大丈夫ですかー?」


 目を覚ましたラキウスの顔をルミーナが心配そうに覗き込む。

ラキウスは体を起こしてルミーナに問いかける。


 「あの後どうなった!?」


 「今は十兵衛ちゃんと外で模擬戦してますよー」


 ラキウスはルミーナの答えを聞くと慌てて店の外に飛び出した。

店の外では火柱が上がっていた。

スティーブンがアビリティである【火竜翼襲(ドラゴンフライ)】を使っていた。

ラキウスはすぐにララァを問い詰めた。


 「何やってるんだお前は‼︎相手は序列142位だぞ‼︎なんで止めに入らない‼︎」


 「大丈夫っすよ」


 ララァの反応にラキウスは激怒した。


 「確かに十兵衛はレベル3だがもし彼が対空魔法を持っていなかったら嬲り殺しになるんだぞ‼︎」


 「忘れたっすか?あのリサパイセンが負けてたかもって言った奴っすよ」


 ラキウスはハッとなった。


 「いいから黙ってみてるっす」


 火柱の中からスティーブンが出てきた。


 「何…あれ?」


 ジェシカはスティーブンの姿を見て驚愕した。

もちろんアマンダやアイザックも驚いている。

なぜならスティーブンの背中には燃え盛る竜の翼が生えていた。


 「お楽しみはこれからだぜぇ‼︎地獄を見せてやるよ‼︎」


 スティーブンは猛スピードで空を飛んだ。


 「我の上を飛ぶものなし 全てを撃ち落とす竜の咆哮 《ファイヤークライ》‼︎」


 詠唱と共にスティーブンは大きな火球を作り出し、十兵衛目がけて火球を投げた。

スティーブンの第一魔法ファイヤークライである。


 十兵衛は火球を【大嶽丸(オオタケマル)】で受け止める。


 「受け止めちゃダメだ‼︎」


 ラキウスが叫ぶ。


 「遅えぇよぉ」


 スティーブンが笑うと同時に火球が爆発した。

爆発で十兵衛は後ろに吹き飛んだが十兵衛は立っていた。


 「あいつ自ら後ろに飛んで威力を軽減したのか…?」


 ラキウスが驚く。


 「地獄ばこの程度か?」


 十兵衛は相変わらず挑発する。


 「あぁ?調子乗ってんじゃねーぞぉ‼︎」


 スティーブンが怒りで震えている。


 「全てを切り裂き炎に焼かれよ 地を駆る獣に竜の爪は届くことなし…」


 スティーブンは先程と違う詠唱を始めた。

第二の魔法を放つつもりだ。


 「もうよか」


 「《フレイム…》」


 スティーブンが詠唱を終える前に十兵衛がスティーブンの前に姿を現した。

猛スピードで建物を登り跳躍したのだ。

あまりのスピードに誰もが呆気にとられた。

もちろんスティーブンもだ。

十兵衛はジパング刀の柄頭でスティーブンの溝落ちを強打し、スティーブンが前屈みになった瞬間に斬り伏せた。

スティーブンは勢いよく落下した。


 「きさんごとき魔術ば使う事もなか」


 綺麗に着地すると十兵衛はスティーブンに辛辣な言葉を吐いた。

スティーブンの取り巻きは言葉を失っている。


 「ああーこりゃ気絶してるっすね。十兵衛っちの勝利‼︎」


 いつの間に野次馬もできていたが皆言葉を失っている。

レベル3で序列142位の装魔術士が序列も持たない新入生に負けたからだ。

取り巻きがスティーブンを抱えこの場から逃げようとすると十兵衛が釘を刺した。


 「おい…次はなかと。次は本気で相手しちゃるけんね。」


 取り巻き急いで逃げ出した。


 「お前強いんだな‼︎」


 アイザックが笑顔で無造作に十兵衛の頭を撫でる。


 「十兵衛…」


 ラキウスが十兵衛に歩みよる。


 「済まなかった。ありがとう」


 「いえこちらこそ勝手をして申し訳ありませんでした」


 その瞬間、野次馬から大歓声があがった。

ようやく事態を飲み込んだらしい。


 「喧しいっすね。大事になる前に急いで寮に戻るっすよ」


 十兵衛達は急いで寮にむかって走り出した。

寮に着くとモーガンが待ち構えていた。


 「また問題を起こしたみたいだな」


 ララァとラキウスはモーガンに引っ張られて4年寮の夕凪の館に連れて行かれた。


 「今日のお礼を言う暇もなかったね」


 「そうですね」


 「まあお礼は後日ちゃんとしましょうー」


 女性陣が寮に入ろうとした時にアイザックが十兵衛に質問した。


 「なあ十兵衛。なんで今日魔法を使わなかったんだ?」


 アイザックの問いに十兵衛は答える。


 「いやいろんな人が見てたし手の内は晒したくなかったからだよ」


 「それで勝つとかすごいな…」


 アイザックは改めて驚いていた。




 一方、夕凪の館の寮長室ではララァとラキウスが事の詳細をモーガンに報告していた。


 「魔法を一切使わずに【火遊高揚(フレイムジャンキー)】に勝ったのですか…」


 「でも最後のスピードと跳躍は人間業じゃなかったっすね」


 「でもアビリティを使ったようには見えなかったです」


 2人の報告にモーガンは考え込んだ。


 「肉体強化系で常時発動型かも知れなせんね」


 「リサパイセンの《石化ノ邪眼(イージス)》と同じっすか…あの人はオンオフつけられるんで彼もそうかも知れないっすね」


 「とんでもない新入生が入りましたね…」


 「全くです。でも悪い奴ではなかったですよ」


 そこが救いだなとモーガンは呟いた。


 「引き続き彼らの面倒をお願いしますね」


 「りょーかいっす」

 「わかりました」


 「後はアルバート君だな…」


 モーガンは窓の外を見ながら難しい顔をした。


 こうして十兵衛達の観光は波乱に終わった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ