火竜激突
「じゃじゃーん‼︎ここがダウンハーバー区で1番のステーキハウスっす‼︎」
ララァに連れられたのはギャングステーキというステーキ専門店だった。
「今日はラキウスの奢りっすから遠慮なく食べるっすよー」
ラキウスがマジかよと呟いた。
ステーキは量が多く付け合わせのマッシュポテトもかなりボリュームがあった。
「うおーめっちゃうまい!」
アイザックは遠慮なくステーキを食べてはその味に興奮していた。
確かにステーキは美味しく不思議と食事中の会話も弾んだ。
「それにしても十兵衛っち達はかなり仲良くなったっすねー。ラキウスを兄貴とか…プークスクス」
ララァがからかった瞬間に奥のテーブルから大声が聞こえた。
「マジかよラキウス‼︎オメー弱いくせに新入生捕まえて兄貴気取りかぁ?」
奥に居た男は金髪で短髪、目の上にキズがあるサングラスをかけたチンピラ風の男だった。
「スティーブン…」
ラキウスが言うとスティーブンが自分の取り巻きに大声で話した。
「こいつはよぉーこの前の決闘で俺に手も足も出なかったんだぜぇー情けねーよなぁ‼︎」
取り巻きが大爆笑した。
「レベル2の雑魚は雑魚らしくおとなしくしてろよぉー」
このぉとアイザックが立とうとするがラキウスがアイザックの腕を掴んだ。
「あいつは2年でレベル3の装魔術士だ。危険だから手を出すな」
ラキウスの手は悔しさで震えていた。
「そうそう1年ボーズゥーこの【火遊高揚】に挑もうたってまだ早えーよなぁ」
「Ⅱ組の君がダウンハーバー区で何の用だい?」
ラキウスが問いかけるとスティーブンはラキウスの側まで近寄ってきた。
「飯食いにちと遊びにきたんだよぉ。しかしオメェーみたいなクソ雑魚を慕ってくれる馬鹿がいるとはなぁ。雑魚に舎弟ができた祝いだからありがたく飲めやぁ」
そう言うとスティーブンは頭からワインをかけた。
その瞬間、ジェシカが持っていた水をスティーブンにかけた。
「テメェ…何してんのかわかってんだろうなぁ…」
スティーブンがキレながら言う。
「だって貴方は頭から飲むんでしょ。酔いを覚そうとしてあげたのよ」
「ぶっ殺す‼︎」
スティーブンがジェシカを襲おうとしたところ十兵衛に殴られて吹っ飛ばされた。
取り巻きがふざけんなと声をあげて十兵衛に向かって行く所にスティーブンが止めにはいる。
「やめとけぇ…こいつは俺の獲物だぁ…そこの眼帯野郎…表出ろやぁ…」
するとラキウスが止めに入る。
「済まないスティーブン‼︎この子達は来たばっかりで何も知らないんだ‼︎」
「知るかバーカァ‼︎」
スティーブンはラキウスの溝落ちに膝蹴りを放ち顔面を右拳で殴打した。
「スティーブン。この子は序列もないっすから決闘もできないっすよ」
ララァがここで口を開く。
「だから模擬戦にしないっすか?それなら後々問題にならないっすよー」
「「「えっ」」」
ルミーナ、アマンダ、アイザックはララァの提案に驚いた。
「オメェー悪党だなぁ」
スティーブンが笑う。
「出る杭は打てっていうじゃないっすかー」
ララァは笑っている。
この女はこの状況を楽しむつもりだ。
「十兵衛。ボッコボコにしちゃいなさい」
「言われるまでもなかよ」
十兵衛が答えるとアマンダが青ざめた。
外に出て行く時にアイザックがアマンダに聞いた。
「どうしたアマンダ?顔が青いけどもしかして十兵衛ってレベル1とかか?」
「いえ…十兵衛さんはキレると言葉が訛るんです…そして言葉が訛った十兵衛さんはトラウマレベルの強さですよ…」
アイザックはアマンダの真剣さに固唾を飲んだ。
ルミーナは気を失ったラキウスの介抱に店に残った。
「早く公開処刑としよーぜぇ‼︎」
サングラスの奥の瞳は完全に血走っているのがわかる。
「きさんのな」
十兵衛が更に挑発する。
「それでは【火遊高揚】スティーブン=ロリンズと【戦闘鬼】凪十兵衛の模擬戦を開始するっす‼︎」
「あぁ?【二つ名】だとぉ?」
「どげんしたと?【二つ名】持ちば相手だと怖かと?」
「眼帯小僧がぁ‼︎ぜってぇー殺す‼︎」
十兵衛がどんどん挑発していく。
「始め‼︎」
ララァの合図と共に2人は解言する。
「我、太古の空を支配せし古の火竜也‼︎【原始火竜】‼︎」
「我、神剣を授かりし鬼神也‼︎【大嶽丸】‼︎」
2人の腕輪から装魔が現出する。
スティーブンはグラディウス型の装魔。
十兵衛は鞘付きのジパング刀の装魔。
スティーブンは十兵衛の魔装を見て警戒を強めた。
『あれは東洋の剣かぁ?それに鞘付きとは何か特殊な能力でもありそうだなぁ』
スティーブンは状況を整理する。
「どげんしたと?かかってこんね?」
十兵衛の挑発により取り戻したと思ったスティーブンの冷静さは吹き飛んだ。
「上等だぁオラァァァ‼︎」
スティーブンは十兵衛に斬りかかるが十兵衛は全てを受け流す。
「おい…あいつ剣すら抜いてねーぞ…」
取り巻きが驚愕する。
スティーブンの剣撃は決して緩くはない。
それもそのはずである。
何せスティーブンは序列189位のラキウスを倒しているのだ。
それでも十兵衛には当たらない。
「逃げてんじゃねーぞぉ‼︎」
そうスティーブンが叫んだ瞬間、十兵衛の左拳がスティーブンの顔面を強打した。
「阿保か。きさんが遅かと」
スティーブンはよろめいたが踏み止まった。
「もういいやぁ。地獄を見せてやるよぉ」
スティーブンが不適に笑う。
「はよせんね。待ちくたびれとーよ」
「もう片方の目もオシャカしてやんよぉ‼︎【火竜翼襲】‼︎」
更なる解言と共にスティーブンの体は炎に包まれた。




