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氷犬と街案内

 寮へ着くなりアマンダと十兵衛が話し合いをしていた。


 「十兵衛さんは序列10位以内で誰かご存知でしたか?」


 「序列1位と2位は会ったことがありますね。まあ商会に問い合わせして情報をもらいますよ」


 「私も少し調べてみますので何かわかりましたら情報共有しましょう」


 アマンダはルミーナ、十兵衛はジェシカの護衛なので護衛するにあたり少しでも情報を得ようとしていた。

十兵衛はオルバ会長の魔窟発言を気にしていた。


 寮の玄関に出るとルミーナと大男が話していた。


 「おおーアマンダさんも一緒でしたか‼︎」


 どうやらルミーナとアマンダの知り合いらしい。


 「バーバリー様、お久しぶりです」

 

 アマンダが丁寧に挨拶するとバーバリーと呼ばれた男は照れながら言った。


 「アイザックでいいって。同じ組とは奇遇だな!」


 アイザックは豪快に笑った。


 「そんな恐れ多い…こちらはアメル商会の御息女のジェシカ=アメル様、その従者の十兵衛=凪様です」


 アマンダが紹介をしてくれた。


 「ジェシカ=アメルです。どうぞ宜しくお願い致します」


 「凪です。宜しくお願い致します」


 ジェシカと十兵衛が挨拶するとアイザックも自己紹介を始めた。


 「俺は北方のバーバリー領の長男でアイザック=バーバリーです。気にせずアイザックと呼んでくれ‼︎」


 バーバリーは領はアルメリア帝国の最北端に位置するバーバリー伯が統治する辺境地である。

バーバリー領は厳しい寒さと常にシルベスタ連邦との小競り合いがあり、帝国でも有数な軍隊を所持しているが権力争いに興味がないために強力な軍隊を所持していても問題にされていない。


 「私もジェシカとお呼び下さい」


 「自分も十兵衛とお呼び下さい」


 ジェシカと十兵衛が言うと

 

 「いや同じ学生だから敬語もいらんよ。仲良くやろーぜ」


 アイザックは裏表なく豪快な性格らしい。


 「みんなはどこに行くんだ?」


 アイザックが問いかけた。


 「先輩が街を案内してくれるのですよー」


 ルミーナが答えるとアイザックは照れながら頼みこんできた。


 「俺も一緒させてくれないか?1人で心細かったんだよ」


 そうするとララァとラキウスが到着した。


 「あれ?1人増えてるっすね。自分はララァ=アンブローズ、こっちはラキウス=オルバっす」


 「自分はアイザック=バーバリーです‼︎ご一緒させて頂きたく宜しくお願い致します‼︎」


 アイザックの声の大きさに意表をつかれたのかララァはハヒィと返事した。


 「アイザック君宜しく」


 ラキウスが笑顔で握手した。


 「さて行こうか」


 ラキウスの案内でまずはダウンハーバー区の港に案内された。


 「ここはベゼスダ唯一の港でダウンハーバー区は他の区と違って珍しいものがいっぱいあるのが特徴なんだ」


 ラキウスに案内された港はかなり立派な港で活気に溢れていた。


 「さらに去年にクラブ活動で商会クラブが出来てからいろんなものがさらに活発になったんだ」


 そこでアイザックが驚いた。


 「ラキウス先輩。クラブ活動は魔導系もしくは武道系のイメージがあったのですが商会クラブなんてあるのですね」


 「そうだね。魔導系は魔術関連で戦略をねったり魔術の質を高めようとするクラブがあって武道系は流派の道場などがあるんだけど商会系クラブができてからは生産系クラブとかもでき始めたんだ」


 ラキウスが丁寧に説明しているがララァは積荷のほうを見ていた。


 「おーい‼︎トリッシュたーん‼︎」


 ララァが駆け寄るとそこにキリッとした姿で積荷を受け取っている美女がいた。


 「彼女は先程言った商会系クラブでトリッシュ=キーブラー女史だよ」


 ラキウスがトリッシュを紹介した。


 「トリッシュたん‼︎この子達が…」


 トリッシュはララァの言葉を遮った。


 「紹介は結構です。それよりも会長を見ませんでしたか?昨日から居なくて…」


 「むぅ…アルバートなら昨日はモーガンのおっさんと居たっすよ」


 「そうですか。もしまた見かけたら早く部室に戻るようにお伝えください」


 トリッシュは冷たい印象があり十兵衛達に一切の興味がないようだ。


 「みんなごめんね。トリッシュ女史は女の子の日なんで機嫌が悪いようだ」


 ラキウスが言った瞬間にトリッシュから殴られて吹っ飛ばされた。

一連の流れはスムーズでトリッシュが相当な実力者なのは分かった。


 「仕事の邪魔です。それと次にセクハラしたら殺しますよ」


 トリッシュの目が笑ってなかった。


 一同はそそくさと次にむかった。


 次はダウンハーバー区の商業区画に案内された。


 「ラキウスは馬鹿っすねートリッシュたん怒らすとか…」


 「単なるジョークだったのに…」


 ラキウスの発言に女性陣から冷たい視線を浴びていた。

商業区画のメインストリートには様々な店が並びⅣ組の学生が買い物をしていた。


 「Ⅳ組の生徒は辺境の地の貴族とかが多いのでダウンハーバー区は各自地方の物が集まるようになったっす」


 「おおーバーバリー産のサーモンがある‼︎」


 アイザックは自分の故郷の品を見つけたらしい。


 「じゃあ一旦ここで女性陣と男性陣に分かれてお昼にまたここに集まるっす」


 「いや自分は…」


 「十兵衛っちは下着売場にくるっすか?エッチっすねー」


 ララァの発言に渋々了解した。

アマンダがいるから大丈夫だろう。


 「じゃあこっちは楽しくやろうぜ‼︎」


 十兵衛とアイザックはラキウスに引っ張られた。

その後いろんな店を見たり、途中で軽食を食べたりと幼少期から仕事をしていた十兵衛には初めての体験で十兵衛は楽しんでいた。

アイザックも同性で同じ年齢の友人がいなく、昼になる頃には十兵衛を親友、ラキウスを兄貴と慕っていた。

十兵衛もまた然りである。


 男性陣と合流した女性陣はこの短時間でここまで仲良くなっている姿に困惑していた。


 「なんで私にはいつまで経っても慣れないのよ…」


 ジェシカは項垂れた。


 合流した一同は昼飯を食べにララァの後について行ったのだった。

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