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ダンジョンへ行こうその2

更新再開です

第11話

「はぁ……」


せっかくのダンジョンに入ったというのに竜治のテンションはなぜか下がってしまっていた。というのもダンジョンに入るとそこにはまた“順路⇒”そう書かれたパネルが設置されていたからである。

こんなのではせっかくのダンジョン探索でもテンションをあげろという方が無理というものだろう。

確かにゲームでは攻略サイトなどを参考にして最短ルートでダンジョンを抜けるのもありだろう。しかし竜治にとっては今が現実なのである。

確かに始まる前から色々と台無しのダンジョン探索ではあったがこれはあんまりというものであろう。


「はぁ……」


もう一度ため息をつくと順路と書かれた方に向かってとぼとぼと歩きだした。



「よっと」


掛け声とともに何体目かのゴブリンを叩き潰す。通路は人が二人通れるかどうかぐらいの幅しかないため相手モンスターに攻撃が当てやすく助かっている。

ただ逆を言えば避けることも難しいということなのであまり気を抜いてもいられない。

それとここで戦って分かったことだが、どうやらダンジョン内のモンスターは外のモンスターと少し違うらしいということだ。

それは死体が消えることはもちろん、倒した後に魔石を落とすこと。

この魔石はマジックカードをはじめ様々な使い道があり、あのギルドのPCや街の明かりなども電気でのエネルギー供給ではなく、魔石が使われているらしい。

そのためどんなものでも買い取ってくれるらしい。

因みに今のところガシャポンのカプセルサイズの魔石を一つ獲得することができている。

これがいくらになるか分からないが、今回の依頼でぼうずは避けられたということだ。


他にモンスターと違う点として獲得経験値が外と比べて少ないということがあげられる。

というのもこのダンジョンに来てそこそこのモンスターを倒しているのにレベルが上がらないのである。

いつもなら2ぐらい上がっている感覚なのだがファンファーレが鳴ることはない。

もちろん必要経験値が跳ね上がったとかあるかもしれないし、もしかしたらスキルの経験値?倍の値には0.N倍の場合や-倍の場合が存在する場合もあるのかもしれない。

だから一概には言えないのだが、レベルが上がってないことは確かだ。

一体どっちなのだろうと思いながら曲がり角を曲がると特徴的な羽音と共に子供ぐらいの大きさがある蜂のモンスターが現れた。

蜂はカチカチと口を鳴らしながらこちらに対して威嚇をしてくる。

左右に揺れながらこちらへの攻撃の機会をうかがっているようだ。

そのお尻からは人の腕のサイズの針が生えており刺されるようなことがあればタダでは済まないだろうし、毒がある可能性も捨てきれない。

暫く蜂とにらみ合っていると


「syaaaaaaa」


大きく口を開けてこちらに飛びかかってきた。その動きを前方に転がりながらかわすと、竜治の頭の上をその針が通り過ぎていく。

お互いに体勢を立て直し二度目の激突は相手の針に当てるようにメイスをふりぬく。

竜治の腕力が蜂の力を上回り蜂を天井に叩きつけられる蜂。

ふらつきながらも飛びあがろうとしたところに、上からメイスを叩きこんだ。


「ふぅ」


蜂との戦闘を終え一息つく。今のモンスターは初めて見るモンスターだったが、明らかに武器と分かる針をメインに攻撃してくれたので難なく対処することができた。

これがもっと分かりにくいモンスターだったら苦戦していただろう。


「おっ」


蜂の死体が光に包まれて消え、その後に丸い石が現れる。先ほど手に入れたものより一回りほど大きいであろうそれは本日2つ目の魔石である。

ここまでの魔石がどれくらいになるのか分からないが、おそらくは薬草の採取よりは稼げているだろう。

そんな皮算用をしながら、すっかり見慣れてしまった順路を示す矢印に従ってその足を進めるのだった。



「ううむ」


現在竜治は悩んでいた、その悩んでいる様は数日前マジックカードを買うべきか悩んでいたその姿に似ている。

というのも先ほどこれまでのように派手に装飾された看板が示す階段を下り、2階層に進入したのだがそこで先ほどまでの“順路”と違い反対側に“宝箱はこちらです”の看板が設置されていたのである。はっきり言ってどう見ても罠である。

だが宝と聞けば追い求めてしまうのが男というもの、その看板に誘われるように竜治は足を進めていった。


その先に待っていたのがいかにもな小部屋で、この小部屋の周りにも派手な看板が設置されている。

まずは罠がないかメイスを握りしめ慎重に中の様子をうかがう。

部屋の中にはモンスターらしきものは見当たらず、奥の台座の上にいかにもといった宝箱が置かれているのが見て取れる。

宝箱の周りには“熱烈歓迎冒険者”“宝箱ココにあります”といった明らかにこちらをバカにした装飾がされている。

というかこのダンジョンはいったいどうなっているのか。

道順は順路であらわされているし、宝箱の場所も教えてくれている。

まさかとは思うが本当に冒険者を歓迎しているというのか、これではダンジョンをクリアしてくれと言っているよ追うなものである。


取りあえず急にモンスターに襲われることがないことを確認すると今度は床をメイスで叩きながら部屋に侵入する。よくある落とし穴がないかを確認するためである。

ゴンゴンと床を鳴らしながら慎重に歩く竜治であったが、その思いとは裏腹に何一つ罠が起動することはなくあっさりと宝箱についてしまった。

そうここまでは何の罠もなく宝箱へ辿り着いてしまったのだ。

それが今竜治を悩ませている問題であった。

宝箱を目の前にしてもやはり罠への疑いを晴らすことができない。

第一宝箱に行くまでに罠がないとしても宝箱自体に罠がないとは限らないのだ。

竜治のイメージではよくある盗賊という職業が罠の有無を確認してあけるのがセオリーとしてある。

宝箱を開けたら毒ガス、弓矢が飛んでくる、触ったら電気が流れる、足元の床が開く、罠の事を考え出したらきりがない。

そこまで疑うのであれば宝箱を開けなければいいと人は思うかもしれない。

だが目の前にあるのは宝箱なのだ。

完全に誘導される形ではあったが自分で初めて見つけた宝箱である、諦めたくないと思ってしまうのも無理はないだろう。


そのままどれくらい悩んでいたのだろうか、マジックカードの時といい非常に優柔不断な男である。

そのままあけるかどうかで悩みながら足元に目を落とすとここまで使ってきたメイスが目に入った。


「そうだ!」


その瞬間とあることを思いつく。

そのままメイスを手に取ると


「せーのっ」


野球のスイングのように宝箱の側面にメイスを思いっきり叩きつけた。

叩きつけると同時に横っ跳びにその場を離れる。警戒していた落とし穴対策である。

さて竜治が思いついた罠対策と言うのは、自分で開けるのが危ないなら殴って罠ごと吹き飛ばしてやればいいという何とも脳筋な解決法であった。

現に吹き飛ばされた宝箱は壁にぶつかり転がった後無防備にその口を開いている。

本当に罠があったのかは分からないが、今無事な状態から罠がなかったにしろあったにしろ自分の判断が正しかったと確信する。


意気揚々と口を開いた宝箱の中身をのぞきこむ。

その中には少し古ぼけた首飾りが入っていた。初のお宝ゲットである。

喜び勇んで箱の中から取り出そうとすると、ブチっと言う音とともに首飾りがちぎれて床に落ちた。

さてここで思い出してほしいのは竜治の持つスキル 撲殺魔「鈍器攻撃時ATK1.5倍」である。

今回あけるのに使ったのはメイス、どうやらこのスキルは無機物に対しても反応してしまうようだ。

その辺りのモンスターを一撃で屠る竜治の攻撃をくらい宝箱では威力を殺しきれず中の首飾りにまでダメージが通ってしまったのであろう。


「あんまりだろこんなの……」


思わず膝をついてしまう。

結果あれだけ悩んで手にしたものは何もないというオチになってしまった。


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