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猫系男子と名探偵  作者: ひだまり
お洒落なバーにて
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 静が会計を済ませ、二人は店を出た。

 街灯が静かな夜道を照らし、濡れたアスファルトに光が反射してきらきらと輝いている。


「斎藤さん。ご馳走していただき、ありがとうございました」


 零は静に向かって深く頭を下げた。


「どういたしまして」


 静は穏やかに答える。


 しばらく二人は並んで歩いた。

 楽しかった時間が終わってしまったことに、零は寂しさを感じ小さく息をつく。

 やがて静が足を止める。


「零さん」


「はい」


 静は零を見る。


「楽しい時間を、ありがとうございました」


「こちらこそ、ありが__」


 言葉の途中だった。

 突然、静が零を抱きしめた。


「あっ、あの…」


 零の身体が固まる。

 一瞬、何が起きたのか分からなかった。

 けれど、すぐに静の腕の中にいることを理解する。


 零は恐る恐る、静の背中へ腕を回した。

 胸が激しく鳴っている。

 静の体温が伝わってくる。

 このまま、時間が止まればいい。

 零は心の中で、そう願った。

 ずっとこのままでいたい。

 けれど__。


 静はゆっくりと零から離れた。


「また連絡します」


 静はそれだけ言うと、夜道を歩いていく。

 零はその背中を見送った。


「……」


 遠ざかっていく姿を、いつまでも目で追う。

 やがて静の姿が見えなくなる。

 楽しかったはずなのに。

 今は、別れが惜しくて胸が苦しい。

 零は自分の胸元へ手を当てた。

 まだ、静の体温が残っているような気がした。




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