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猫系男子と名探偵  作者: ひだまり
夜泣き
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17/39

17

 しばらくして、二人は寝室へ向かった。


 静は部屋の明かりを少しだけ落とした。完全な暗闇にはせず、ベッドの周囲だけが淡く見える程度にする。

 月が先にベッドへ入り、静もその隣で横になる。

 しばらくすると、月は静の胸元へ顔を埋めた。

 静は何も言わず、月の背中へ腕を回す。

 そして、銀色の髪をゆっくりと撫でた。


「……はぁ、はぁ…」


 月の呼吸が少しずつ乱れていく。

 静はその変化に気づいた。


「大丈夫です」


 一定の速度で、月の頭を撫で続ける。


「ゆっくり息をしてください」


 月は返事をしない。

 ただ静の寝間着を指先でつまみ、胸元に顔を押しつけている。

 やがて、その呼吸がさらに震えた。


「……うっ……」


 月の目から涙がこぼれる。

 静は驚かなかった。


「大丈夫です」


 そう言葉を繰り返しながら、頭を撫でる。


「ここにいますから」


 静の言葉に月は声を押し殺すように泣いた。


 こんな時、ただ、落ち着くまでそばにいる。

 静はそれが一番いいと知っていた。


 しばらくすると、月の呼吸が少しずつ穏やかになっていく。

 頬に涙の跡を残したまま、月は静の胸元で眠りについた。


 しんと静まり返った寝室で静は

「……今夜は、夜泣きがひどいかもしれない…」

 と、小さく呟く。


 その予想は当たった。

 それから約二時間後。


「……うっ……」


 月が目を覚まし、また泣き始めた。

 静は目を覚ますと、何も言わず月の背中へ腕を回す。

 そして、月の頭を優しく撫でる。

 しばらくすると、月の泣き声が小さくなった。


 また眠る。


 そして、さらに二時間ほど経つと、再び月が泣き始める。

 そのたびに静は目を覚まし、月を落ち着かせた。

 水を飲ませることもある。

 ただ黙って抱きしめていることもある。

 こんな日は決まって睡眠不足になる、それでも、静は一度も嫌な顔をしなかった。


 月が静の家を訪れる日は、あらかじめ決められた日ではなかった。

 精神的に不安定になった時。

 一人でいることがつらくなった時。

 眠れなくなった時。

 月は静の家に来る。

 静は、それを拒まなかった。


 夜が明けるまで、静は何度も目を覚ました。

 そのたびに月の頭を撫でる。

 そして月が再び眠ったことを確認してから、静も目を閉じ眠るのだった。




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