表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/9

7 ソロツーリング

 最近、雨が多いです。4月は、こんな感じだったかな?もっと晴れていたような。でもここの所、雨が降っていなかった様な気もする。

 私は雨が好きです。お肌が潤います。香川県は雨が少ない地域です。地中海性気候と習った事があります。その時はヨーロッパの地中海を思い浮かべて、少しいい気分になりました。今はただの田舎だと知っています。

 今は雨、日曜日なのに雨、私は自分の部屋でゴロゴロしています。ケロロはガレージで待機中です。父はガレージで耕運機をバラバラにしています。母は茶菓子を食べながらテレビを見ています。時折笑い声が聞こえてきます。

 ああ、それとネコがいます。私の足元で寝ています。

 彼は妹が8年前に拾ってきた元野良ネコです。妹は結婚して出て行きました。そうです。彼は捨てられたのです。飼い主は男を作って逃げたのです。

 ネコの名前はタママです。勿論クロネコです。

 以上が田中家のメンバーです。

 それぞれが好きな事をして、雨の日曜日を過ごしています。


「おーい、明美」

 父の声が聞こえます。窓を開けて、下を覗くと父がガレージの前で、手を振っています。

「何?」

「冷蔵庫から、コカ・コーラを取って来てくれ。手がオイルで汚れて、自分で取れない」

「いやだよ。面倒くさい。手を洗えばいいじゃない」

「そんな事を言って良いのか。バイクがどうなっても良いのか」

 糞オヤジは、下卑た笑い顔をこちらに向け、オイルで真っ黒になった手で私のケロロを指さしている。

「卑怯者!」

「ひひひ」

 父は幼稚なところがある。あれで良く銀行を定年まで勤められたものだ。

 ケロロを人質に取られた私は、しかたなく台所の冷蔵庫からコーラを取り出し、外に出る。

「あれ、雨が上がっている」

 昨夜から降り出した雨は、いつの間にか止んでいた。陽光が雲の間から射し込んでいる。

「はいこれ」

 私は、コーラをオヤジに投げて渡す。服を着替えるため、直ぐに部屋に引き返す。ケロロで走るためだ。

「サンキュー」

 後ろからオヤジの声がするので、振り向かずん手を振って応える。

 バイクに乗るのは、休日だけだ。平日は仕事が終わると体も心もヘトヘトだ。当然バイクで走る元気は残っていない。

 バイクについては、先週の日曜日に千葉オートへ行ったきりだ。少し要求不満ぎみだ。


「雨が上がったので、出かけて来る」

 軽トラにもたれ掛かりコーラを飲んでいる父に、一声掛ける。

「ああ、気を付けてな」

 キュルキュル、ブィーン。よし。


 11号線を東に向けて走る。特に行先を決めて、家を出たわけではないので、なんとなく、風を受けて走る。

 少し湿った空気が、気持ちいい。アニメに出て来るケロロ軍曹も、湿った空気が大好きだった。私も同じだ。

 高松市から東に20kmほど走ると、羽生峠がある。この季節、そこは、よく霧が掛かっている。

 ヘルメットのシールドが濡れる。

 でも、そこからは、瀬戸内海が見えて来る。キラキラと光る海面、何度見ても綺麗だ。

 峠を越えると不思議と、空気が乾いて来る。これも気持ちが良い。

 11号線は何度も海岸の近くを通る。そのたびに光る海に出会う。

 その光の空気の中を緑のNinja ZXが切り裂いて行く。

 凄く気持ちが良い。

 気が付くと私は、県境を軽く超え、徳島県吉野川大橋まで来ていた。

 四国三郎、大きいな。香川の川とは比べようがない。

 などと感じている場合ではない。家から80kmくらいだ。少し不安になってくる。また、お腹も減っていた。

 近くの吉野家で、牛丼大盛りを食べた。

 直ぐに元気が出て来た。

 帰りも、気持ちよくケロロと私は走りつづけ、我が家に到着。

 往復で、160km。なんだ、私、このくらいなら走れるじゃん。


「ただいま」

「お帰り、随分と遅かったな」

 父は、耕運機の組み立てを終えていた。

「うん。徳島で吉牛食べて来た」

「へー、明美はそんなに行動力あったか?」

「ボーと走ってたら、徳島まで行ってしまった」

「ああ、それなら納得。それと母さんが、ご飯が片付かないと怒っていたぞ」

「げっ、謝ってくる」

 私はさっきまでは、凄い冒険から帰ってきた気持ちだったけど、父と話していると普通の日常な気分になった。その後、母に叱られ、完全に日常に戻った。


 その後、私は千葉オートへ、ツーリングに参加することを伝えた。

 電話先の千葉さんは喜んでいた。


 書き終えて、外に出ると、こちらも雨が上がっていた。スーパーカブ90をガレージから出す。私も海まで走ってみます。1分で着いてしまいます。歩いて行けと言われそうですが、私もバイクツーリングを味わいたいと思います。1分ですが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ