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戦場の太陽と影

とある荒野にて。


二つの軍が対峙し、その中央に二人の影があった。




「やあやあ。そろそろ死んでくれる気になったかい?魔王ガルズ。」


「ふん。余に勝てるなどとまだ夢を見ているのか。勇者カインよ。何度でも滅ぼしてくれるわ。」


「はは、相変わらずの余裕だね。でも、もうすぐその余裕に満ちた顔が苦痛に塗り替わるんだと思うとワクワクするね!!」


勇者はそう吐き捨てると、腰の聖剣を抜いて魔王ガルズに斬りかかる。まるで太陽のような輝きを放つ刀身がガルズの首を撥ねた。カインがニヤリと笑い、そのまま自分の影に聖剣を突き立てた。

すると影がひとりでに揺らぎガルズが現れる。



「まだまだだ。《 突き刺せ(スタブ・インシャドウ) 》。」

ガルズはカインの背後に飛び出し、瞬時に少し距離をとるとそのまま右手を振り上げた。



「ぐはっっ…!?」


ガルズの手の動きに呼応したかのようにカインの影が無数の針のようになって飛び出し、カインの黄金の鎧の隙間に突き刺さった。


カインは血を吹くきながらもガルズに左手をかざして魔法を放った。

「《 燃えろ(バーンアップ) 》…!!」


カインの手から直径10メートルはあるかとも思われる炎の塊が生まれ、ガルズを襲う。


「《 護れシャドウプロテクション 》…」

ガルズがそう呟くとガルズの影が地面から浮かび自分の主を守るように球体となった。


人類において≪ 火球≪ファイヤーボール≫ ≫系統最高峰とも言われる≪ 業火球≪バーンアップ≫ ≫の灼熱の炎がガルズの影の結界に触れると爆発した。


100メートルを優に超えるクレーターを作り、土煙が立ち込める。


「く…どうだ…」


カインはガルズのいたところを見つめた。



しばらくして土煙が収まるとガルズは何もなかったかのように立っていた。

「それで勇者か?」


ガルズは挑発するように笑った。


人間最強戦力である勇者の一撃では魔人族最強であるきづ魔王の自分にはどう頑張っても傷付けられない。

自分の偉大な力への感動に。



そして嗤った。

人間で唯一魔王に対抗しうる存在であるにも関わらず傷一つ付けられない哀れな勇者を。










王都内、路地裏にこじんまりと佇む、カフェ フルール。


窓際の席でおれはココア片手にくつろいでいた。


ヴァンパイアになってからもこんなに心地よい木漏れ日の差し込む環境を満喫できるのは、

以前開発した魔力()を身に纏うという裏技のおかげだ。


自分の力にあれこれと妄想を膨らましながらも、ハボの話を思い返していた。


そこに、仕事をひと段落下したユリスが向かいの席に座ってきた。


「ムラマサさん、折り入ってお話があります。」


ユリスがまじめな顔で話しかけた。


「おいおいどうした。奴らが復讐に脅しでもかけてきたか?」

ムラマサはおどけた顔で答えたが、ユリスはきっぱりと真剣な顔で返す。


「いえ、それはありません。しかし、近いうちに戦力を整えて再び姿を表すのは間違いないでしょう。巻き込んでしまったことは本当に申し訳ありませんでした。

でも巻き込んでしまったからには全てを話しておきたいのです。」


「ふーん。早く来てほしいもんだがな。ははは!」


「そんな楽観してよいことではありません!!」

ユリスがあまりに真剣に声を荒げたのでびっくりしたムラマサは真面目な顔になる。


「ほう。それで?」


「奴ら、普段はただのチンピラのようですが、その正体は人間の裏切り者、とでも言いましょうか。人間に生まれながら魔王についた者たち。魔王軍が配下、麒麟という組織だ。魔王は麒麟を使って勇者との戦闘の最中にも王都に攻撃を仕掛けているんです。」



(え…めちゃくちゃおもしろくなりそうじゃね…)

なんて真剣な顔を取り繕いながらも密かに考えているとユリスがどこか申し訳なさげに言葉を続けた。


「それで…ここまで話せば多少は察して頂いていると思いますが…私実は…聖騎士の国王直属部隊隊長なんです。」


(はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?まっっったく気づかなかった…てことはおれはもう革命軍にいるから…敵同士か!?ま、そこは隠せばいいか。面白そうだし。)



「それで、そんな話をおれにしたってことは、何か続きがあるんだろ?」


「はい、それが…助けていただいた上にこんなお願いまで厚かましいですが。

ムラマサさん。その力、私たちにお貸し…」



バリーーーーーーーーーンッッッ!!!!!!!




突然、店の窓ガラスが割られた。


「早速、お客さんみたいだな。」


「ええ、もう少し様子見に時間をかけると思っていましたが…」


「まあいい。ユリス。おれが出迎えてくるから、手ぇ出すなよ。」


「は、はいっ!何度もありがとうございます!」


「ひゃっほーーい!!!」



おれは面白そうな話の途中だったのもあり、少しテンション高めで店を飛び出した。

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