第9話:嵐の夜のお泊まり会(前編:ソファーでの攻防)
週末、猛烈な台風が街を直撃した。
両親が不在で一人で過ごすはずだった俺の家に、なぜか結衣、凛音、美月先輩の三人が「避難」という名目で転がり込んできたのだ。
夜も更け、外では暴風雨が窓ガラスを激しく叩いている。
リビングの床に三組の布団を敷き、俺は少し離れたソファーで寝ることにした。美女三人と同じ空間というだけで心臓に悪いのだ。これくらいの距離感は死守しなければならない。
だが、そのささやかな防衛線は、轟く雷鳴とともにあっさりと崩れ去った。
ピカッ、ドカァァン!
「ひゃあっ!」
短い悲鳴とともに、ソファーに何かが飛び込んできた。薄手のキャミソールとショートパンツ姿の結衣だ。
「か、雷怖いよぉ……湊、一緒に寝て?」
「お、おい結衣、ここは狭いからお前は布団に……っ」
文句を言う間もなく、結衣は俺の腕の中に潜り込み、胸にピタリと抱きついてきた。薄い布越しに、彼女の柔らかな膨らみがムギュッと押し付けられる。
「ちょっと結衣さん、抜け駆けはずるいわね」
暗闇の中、今度は凛とした声が響いた。見れば、シルクの艶やかなネグリジェを纏った凛音が立っている。
「か、会長まで!?」
「私は天道くんの背中側を守ってあげるわ。……ほら、少し詰めてちょうだい」
「えっ、ちょっ……」
有無を言わさず、ソファーの背もたれと俺の背中のわずかな隙間に、凛音が身体をねじ込んでくる。彼女の豊かなカーブが俺の背中に密着し、逃げ場が完全に塞がれた。
前からは結衣の若々しい弾力、後ろからは凛音の大人びた柔らかさ。完全に極上のサンドイッチ状態である。
「えー、二人ともずるーい。私も天道くんの温もり、感じたいな」
とどめとばかりに、甘いバニラの香りを漂わせて美月先輩がやってきた。
「せ、先輩! もう入るスペースなんてどこにも……ぶふぉっ!」
なんと美月先輩は、俺の上に直接覆い被さるように乗ってきたのだ。
先輩の圧倒的な重量感を誇る二つの果実が、俺の顔と胸元を容赦なく押し潰す。
「んふふ、これで全員一緒だね」
ソファーの上は完全にカオスと化した。
右からは結衣の素肌の感触、背中には凛音の妖艶な体温、そして上からは美月先輩の破壊的な質量。フローラル、ローズ、バニラという三者三様の甘い香りが混ざり合い、濃厚で熱を帯びた空気を生み出している。
「湊の匂い……落ち着く」
「天道くん……心臓、すごくうるさいわよ」
「天道くん、あったかーい……」
密着する身体から伝わる三つの鼓動。そして、耳元で囁かれる甘い吐息。
外の嵐よりも激しく吹き荒れるハーレムという名の暴風雨の中で、俺の理性の堤防は今にも決壊寸前だった。当然ながら、この夜、俺が一睡もできるはずがなかった。




