第8話:水泳部室での予期せぬ遭遇と濡れた髪
放課後。プールの授業でゴーグルを忘れたことに気づいた俺は、すっかり人の気配がなくなったプールサイドの更衣室へと足を踏み入れた。
「たしか、この辺のベンチに……」
ガチャリ、と扉を開けた瞬間。
俺は全身の血が凍り、次の瞬間には一気に沸騰するような強烈な感覚に襲われた。
「あっ……」
そこにいたのは、幼馴染の結衣だった。
しかも、最悪にして最大のハプニング真っ最中である。
彼女はまさに着替えの途中で、濡れた紺色のスクール水着を腰のあたりまでスルリと下ろしており、上半身は完全に、一糸まとわぬ無防備な姿を晒していたのだ。
冷えた空気の中、水滴が滴る雪のように白い肌。
服の上からでも均整が取れているとわかる彼女の双丘は、小ぶりながらも吸い付くように形が良く、プールの冷水のせいか、それとも突然の闖入者のせいか、微かに自己主張をしているのがはっきりと見て取れた。
「ご、ごめん! 誰もいないと思って! すぐ出る!」
俺は慌てて回れ右をして、全速力で扉の外へ飛び出そうとした。
ところが。
「ま、待って!!」
結衣の悲鳴に近い声が、俺の背中を強引に引き止めた。
「見られたのにそのまま逃げられる方が、変に意識しちゃって恥ずかしいから!」
「いや、どんな理屈だよ! 絶対出た方がいいだろ!」
「いいからちょっと待ってってば!」
あまりにも理不尽な引き留め方に戸惑いながら、俺は半ば強制されるように恐る恐る振り返った。
結衣は両手で必死に自らの胸元を隠していたが、その柔らかなふくらみは腕の隙間からどうしてもはみ出してしまう。濡れた髪から滴る水滴が、彼女の華奢な鎖骨を伝い、腕で作られた谷間へと吸い込まれていく。その光景があまりにも生々しく艶かしく、俺はゴクリと喉を鳴らした。
顔から火が出そうなほど真っ赤にして俯いていた結衣だったが、やがて、おずおずと上目遣いで俺を見つめてきた。
「湊、なら……」
「え?」
「湊になら……減るもんじゃないし、見られても……いいよ」
そう呟いて、結衣は自らを抱きしめていた腕の力を、ゆっくりと緩めたのだ。
「なっ……バカッ! 何してんだお前!」
塩素の匂いに混じって、結衣の甘いシャンプーの香りがふわりと俺の鼻腔をくすぐる。
恥じらいで全身を熱っぽい朱色に染めながらも、両手を下ろし、逃げずに俺を真っ直ぐに見つめてくる幼馴染。
「湊の顔、真っ赤……私のこと、そういう目で見てくれてるんだ……えへへ」
静まり返った水泳部室。濡れた身体から発せられる結衣の熱気と無防備すぎる誘惑に、俺の下半身はついに制御不能の領域へと足を踏み入れようとしていた。




