第70話:冬の看病。熱を帯びた幼なじみとパジャマの奥の素顔
本格的な冬の寒さが到来したある朝。いつもなら俺の部屋へ起こしに来るはずの結衣が、今日に限って姿を見せなかった。
心配になって隣の家を訪ねると、出勤前の結衣の母親から「あの子、熱を出して寝込んじゃって……少し様子を見てあげてくれない?」と頼まれた。
合鍵を使って結衣の部屋に入ると、遮光カーテンが引かれた薄暗い室内には、加湿器の微かな音と、荒い息遣いだけが響いていた。
「結衣、大丈夫か……?」
ベッドを覗き込むと、普段の元気な姿からは想像もつかないほど弱り切った結衣がいた。熱のせいで頬は赤く染まり、苦しそうに熱い息を吐いている。
「ん……湊……?」
うっすらと目を開けた結衣の瞳は、熱に浮かされてとろんと潤んでいた。
「汗、すごいな。ちょっと拭くぞ」
俺は枕元にあったタオルを手に取り、首元までかぶっていた布団を少しだけめくった。
その瞬間、俺の目はそこに釘付けになった。結衣が着ていたのは、前開きの薄手のパジャマだった。熱で大量の汗をかいたせいで、その薄い生地が彼女の肌にぴったりと張り付いている。
乱れた襟元からは汗ばんだ白い首筋と、深い谷間が露わになっていた。パジャマの生地が水分を吸ってわずかに透け、彼女の柔らかな起伏が、生々しい輪郭を伴って俺の目に飛び込んでくる。いつも隣にいるただの幼なじみが、急に手の届かない一人の女性になったような、ひどく甘くて落ち着かない感覚に襲われた。
「……湊」
俺がタオルを持ったまま動きを止めたその時、結衣の熱い手が、俺の手首をぎゅっと掴んだ。
「結衣?」
「……行かないで。今日は……ずっと、私だけを見てて……」
普段の彼女なら絶対に言わないような、独占欲と弱音の混じった震える声。
熱のせいで理性のタガが外れているのか、結衣は俺の手首を握ったまま、自分の身体の方へ力強く引き寄せた。
「うおっ……!?」
バランスを崩した俺は、そのままベッドの上へと引きずり込まれる。
ドンッ、と俺の胸板に、熱を持った結衣の身体がのしかかってきた。そして、汗ばんだ薄いパジャマ越しに、彼女の柔らかな重みが、信じられないほどの熱量とともに押し潰される。
「っ……! 結衣、熱が移るって……っ!」
「いいの……湊の匂い、安心する……」
俺の胸に顔を埋め、甘えるようにすり寄ってくる結衣。
彼女が荒い呼吸をするたびに、胸の奥で形を変える柔らかさ。普段よりもずっと高い体温が、薄い布地を越えて俺の肌を焼き尽くすように伝わってくる。シャンプーの香りに混じる、甘く生々しい汗の匂い。
俺の腕の中にいるのは、いつもの騒がしい幼なじみじゃない。体温と匂い、そして胸に伝わる確かな重みが、俺にその事実を容赦なく突きつけてくる。
逃げ場のないベッドの上。看病という名目で訪れたはずの部屋で、俺の理性は結衣の熱に当てられ、自分の心臓の音だけがうるさく鳴り響いていた。
【次回予告】
熱が下がり、すっかり元気になった結衣。
しかし、看病の日の出来事をお互いにハッキリと覚えており、二人の間にはこれまでになかった甘く気まずい空気が流れていた。
休日の午後、湊の部屋で二人きり。
いつもなら無邪気に隣へ座ってくる結衣が、今日に限って少しだけ距離を置いて座っている。
その微妙な距離感が、逆にお互いを一人の異性として強烈に意識させていく。
「あのさ、湊……この間は、その……」
静寂の中、結衣が意を決したように湊の服の袖をそっと掴む。
真っ赤な顔で見上げてくる潤んだ瞳。言葉とは裏腹に、彼女の身体はゆっくりと湊の腕へ近づいてきて……。
少しだけ変わった二人の関係と、触れるか触れないかの距離で伝わってくる体温と甘い匂い!
次回、第71話『看病のあと。気まずい距離感と自覚する熱』
明日も理性の崩壊をお楽しみに!




