第68話:秋の図書室。脚立からの落下とセーターの弾力
木枯らしが吹き始めた晩秋の放課後。俺は図書委員の助っ人として、静まり返った図書室で本の整理を手伝っていた。
「天道くん、そこの一番上の棚にある歴史辞典、受け取ってもらえますか?」
下から声をかけてきたのは、風紀委員長の神崎しずくだ。彼女は秋服のブラウスの上に、指定の紺色のセーターを着込んでいる。
脚立の上から見下ろす形になる俺の視界には、彼女の胸元のふくらみが嫌でも飛び込んでくる。セーターという厚手の生地を通してさえその規格外のボリュームは隠しきれておらず、彼女が俺を見上げようと少し身を反らせるだけで、ニットの編み目が不自然なほど横へと引き伸ばされていた。
「お、おう。今取るよ」
埃っぽい古い紙の匂いと、下からふわりと昇ってくるしずくのシャンプーの清楚な香り。俺は柄にもなく動揺してしまい、棚の最上段にある分厚い辞典へ少し乱暴に手を伸ばした。
しかし、その辞典は想像以上に重かった。
「うおっ……!?」
指先が滑り、辞典の重さに引っ張られるようにして身体の重心が傾く。バランスを崩した俺の足から脚立が離れ、完全に身体が宙に浮いてしまった。
「て、天道くんっ!」
床に叩きつけられる覚悟をして固く目を閉じた瞬間。ドンッ! という鈍い音とともに、俺の身体は硬い床ではなく、信じられないほど柔らかく、そして温かいものに受け止められていた。
「んんっ……!」
俺の下敷きになったしずくの、苦しげな、けれどどこか甘い声が耳元を掠める。
恐る恐る目を開けると、俺の顔と胸板は、俺を庇って倒れ込んだしずくの上半身に完全に乗り上げる形になっていた。そして俺の胸元に直接押し付けられていたのは、厚手のセーターの弾力すらも容易に突き破ってくる、彼女の圧倒的な柔らかさだった。
「い、痛たた……て、天道くん、お怪我はありませんか……っ?」
「お、俺は大丈夫だけど……神崎こそ、ごめん! 重かっただろ!」
慌てて身体を起こそうとするが、倒れた拍子に二人の腕が複雑に絡み合ってしまい、すぐには身動きが取れない。俺が焦ってもがくたびに、胸元に押し付けられた極上の果実が、むにゅり、むにゅりと俺の体重に合わせて生々しく形を変える。
セーターの少しチクチクとした微かな感触のすぐ奥にある、強烈な熱量ととろけるような質量。しずくの早くなった心音が、密着した胸を通して俺の身体にまで直接響いてくる。
「あ、あの、天道くん……そんなに動くと、その……すれます、から……っ」
顔を真っ赤にして涙目になるしずくの吐息が、至近距離で俺の頬を撫でる。
静まり返った図書室の死角。逃げ場のない床の上で、セーター越しの暴力的なまでの柔らかさと熱量に包み込まれ、俺の思考は古い本の匂いの中で完全にショートしてしまうのだった。
【次回予告】
図書室でのハプニングから季節はさらに進み、いよいよ本格的な冬の足音が聞こえてきた頃。
休日に湊の家へ遊びに来た生徒会長・氷室凛音。
冷え込む部屋の中で、二人は一つのこたつに入ってテスト勉強をすることに。
「ふぅ……こたつの中は暖かくて、なんだか落ち着くわね」
しかし、こたつの見えない暗がりの中で、凛音の足先が湊の足元へとゆっくり這い寄ってくる。
「……天道くん。ここから先は、二人だけの秘密よ?」
厚手のこたつ布団の下で繰り広げられる、誰にも見えない素足の接触と、油断したところに押し寄せる柔らかな重み!
次回、第69話『冬のこたつ。見えない素足の体温と布団の下の秘密』
明日も理性の崩壊をお楽しみに!




