第67話:文化祭のお化け屋敷。暗闇の密着と震える果実
文化祭当日。校内が熱気と喧騒に包まれる中、俺は義妹のかのんに腕を引っ張られ、三年生が企画した本格的なお化け屋敷の列に並んでいた。
「お、お兄ちゃん……やっぱりやめない? 中、すっごく暗そうだよぉ」
入り口の黒い暗幕を前にして、かのんの声はすでに震えている。だったらなぜ入ろうと言い出したのかとツッコミたくなったが、彼女の小さな手は俺の袖をきつく握りしめたままだ。
暗幕をくぐると、教室内は完全な闇に包まれていた。
文化祭特有の段ボールや塗料の匂いが漂う中、視界という最大の情報源が奪われたことで、俺の他の感覚は嫌でも鋭敏になっていく。
すぐ隣を歩くかのんの、微かに荒くなった吐息。そして、彼女の髪から漂うベビーパウダーのような甘い香りが、暗闇の中でやけに輪郭を帯びて感じられた。
「ひゃっ……!」
足元を転がる作り物の生首に驚き、かのんが俺の腕にギュッとしがみついてくる。
「大丈夫だ、ただの作り物だから」
「う、うん……でも、怖いよぉ……っ」
俺の左腕に絡みつくかのんの小さな両手。暗闇で視覚が遮断されているからこそ、触れている部分の感覚が異常なほど鮮明に脳へと伝わってくる。
かのんが怯えて身をすくめるたびに、俺の腕には彼女の小柄な身体からは到底信じられないほどの、圧倒的な「柔らかな重み」が押し付けられていた。
服越しであってもはっきりとわかる、とろけるような質量。それが俺の腕の形に合わせてむにゅり、むにゅりと変形し、彼女の体温をダイレクトに伝えてくる。
ガタガタガタッ!!
「きゃあああああっ!?」
通路の角を曲がった瞬間、隠れていたゾンビ役の生徒が大きな音を立てて飛び出してきた。
限界を迎えたかのんは短い悲鳴を上げ、俺の胸の中へ勢いよく飛び込んできた。
ドンッ!
「うおっ……!?」
俺は咄嗟にかのんの身体を抱きとめる。
その瞬間、俺の胸板に、彼女の持つ最大の爆弾が凄まじい勢いで叩きつけられた。
「お兄ちゃん、助けてぇっ……! 怖い、怖いぃっ!」
かのんは俺の胸に顔を埋め、ガタガタと震えながらしがみついて離れない。
暗闇という完全な死角。視覚がない世界で、俺の胸には彼女の規格外の果実がひしゃげるほどに密着し、震えるたびに生々しい摩擦と熱量を生み出している。
恐怖で速まった彼女の心音と、俺の狂ったような心音が、暗闇の中で重なり合う。
「か、かのん……落ち着け、俺がいるから……っ」
背中を撫でて落ち着かせようとするが、俺自身の理性が全く落ち着いていない。
お化け屋敷という非日常の暗闇で、視覚の焦らしを通り越した圧倒的な触覚の暴力に晒され、俺の思考はゾンビの呻き声すら聞こえなくなるほど完全にショートしていくのだった。
【次回予告】
文化祭も無事に終わり、季節は木枯らしの吹く晩秋へ。
放課後の図書室で、湊は風紀委員長の神崎しずくと一緒に本の整理を手伝うことに。
「天道くん、そこの一番上の棚にある本を取っていただけますか?」
脚立に乗って本を整理する湊。その下で本を受け取ろうとするしずくだが、湊がバランスを崩してしまい……!
落下する湊を受け止めようとしたしずくの、秋服のセーターの下に隠された圧倒的なクッションが湊を包み込む!
「きゃっ……! て、天道くん、大丈夫ですか……っ!?」
次回、第68話『秋の図書室。脚立からの落下とセーターの弾力』
明日も理性の崩壊をお楽しみに!




