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第4話:図書室の甘い吐息

放課後の図書室は、人が少なく静寂に包まれていた。

古い紙の匂いが漂う空間で調べ物をしていると、ふわりと、空気を甘く染め上げるようなバニラの香りが鼻をくすぐった。

「あ、天道くん。奇遇だね」

振り返ると、そこにいたのは図書委員の美月みづき先輩だった。

学園一のダイナマイトボディの持ち主として、男子生徒たちの間で伝説となっている人物である。今日もカーディガンの下で、規格外の双丘が今にも弾け飛びそうなほどの存在感を放っていた。

「先輩、こんにちは。お疲れ様です」

「うん。今ね、あそこの画集を整理しようと思ってて……」

先輩は一番上の棚にある、分厚くて重そうな美術の画集を取ろうと背伸びをした。

しかし、彼女のあまりにも大きすぎる胸が棚につかえてしまい、うまく腕が伸びきらないようだった。プルプルと震えるつま先。そして、重力に逆らうように揺れる豊満な果実。

「あっ……ととっ……!」

無理な体勢が祟り、先輩がバランスを崩してこちらへ倒れ込んでくる。

「危ない!」

俺は咄嗟に駆け寄り、彼女の身体を正面から受け止めた。

だが、それは悲劇(あるいは喜劇)の始まりだった。身長差と倒れ込んでくる角度が完全に災いしたのだ。

「きゃっ!」

「ぶふぉっ!?」

ドスンッ、という、人体がぶつかったとは思えないほど柔らかい衝撃。

俺の視界は一瞬にして真っ白なブラウスの生地に覆い尽くされた。美月先輩の圧倒的な質量を誇る二つの果実が、俺の顔面に真正面から、それこそ息の根を止めるほどの勢いで押し付けられたのである。

「んっ……」

頭のすぐ上で、先輩の甘く艶っぽい声が響いた。

顔全体を包み込む、底なし沼のような柔らかさと暴力的なまでの弾力。鼻腔を満たす濃厚なバニラの香りと、ブラウス越しに伝わってくる尋常ではない肌の熱。

「むぐっ……せ、んぱっ……(息が……っ!)」

「ごめんね、天道くん。……でも、なんだか天道くんに抱きしめられてるみたいで、安心しちゃった」

俺が窒息寸前で藻掻いているというのに、美月先輩はあろうことか、俺の頭を両腕でぎゅっと抱え込んできた。

押し付けられていた顔が、さらに深い谷間の奥へと沈み込んでいく。

「ちょっ、先輩、離れ……っ」

「んー? もう少しだけ、このままでもいいかな……?」

耳元で囁かれる熱い吐息に、俺の背筋をゾクゾクとするような快感が駆け抜ける。

静寂な図書室の中で、密着する二人の衣擦れの音と、俺の荒くなった息遣いだけが異様に大きく響いていた。

顔面で感じる極上の感触と、酸欠による思考の低下。

このままでは理性が焼き切れるどころか、本気で意識を失ってしまうと、俺は密かに命の危機すら感じていた。

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