第30話:全員集合の修羅場。お昼休みの屋上と密着包囲網
秋晴れの空が広がる昼休み。俺は喧騒から逃れるように、一人で屋上のベンチに腰を下ろしていた。
最近、怒涛の勢いで続くハプニングの連続に、俺の精神と理性はすり減りきっている。今日くらいは平穏な昼食を取りたい。
そう思って弁当箱を開きかけた、その時だった。
「あーっ! 湊、抜け駆けはずるいよ!」
バタンと屋上のドアが開き、幼馴染の結衣が飛び込んできた。彼女は一直線に俺の右隣に座ると、俺の腕に自身の腕を絡め、発育の暴力とも言える双丘をムギュッと押し付けてきた。
「おい結衣、暑いからくっつくな!」
「えへへ、いいじゃん。一緒にお弁当食べよ?」
幼馴染の甘い匂いにため息をついた瞬間、再び屋上のドアが開いた。
「お待ち遊ばせ! 天道湊、今日のランチはわたくしがご一緒して差し上げますわ!」
金糸の髪を揺らして現れたのは、悪役令嬢ポジションの西園寺麗華だ。彼女はズカズカと歩み寄ると、結衣に対抗するように俺の左隣にピタリと座り込んだ。
「ちょっと西園寺さん、そこは私の特等席なんだけど!」
「庶民は黙っていなさい! 湊の隣はわたくしにこそふさわしいですわ!」
麗華が身を乗り出して結衣を睨みつけるたび、俺の左腕には彼女のスレンダーな体型に似合わない極上の柔らかさが、これでもかと押し当てられる。
「ふふっ、二人とも先輩を困らせちゃダメですよぉ」
「なっ……七瀬くるみ!?」
背後から甘い声がしたかと思うと、小悪魔な後輩・くるみが背もたれ越しに俺の首へ腕を回してきた。彼女のチア衣装の下に隠されていた容赦ない弾力が、俺の後頭部から背中にかけてのしかかる。
「お、お前ら……頼むから少し離れ……っ」
「そこまでです! 屋上で徒党を組んで騒ぐなど、風紀の乱れを見過ごすわけにはいきません!」
さらに現れたのは、風紀委員長の神崎しずくだ。彼女は俺たちを引き離そうと手を伸ばしてきたが、いつものドジが発動して足をもつれさせ、あろうことか俺の膝の上へとダイブしてきた。
「きゃあっ!? て、天道くん、ごめんなさ……んっ」
しずくの規格外の果実が、俺の太ももから腹部にかけて完全に押し潰される形になる。
右腕に結衣、左腕に麗華、背後にくるみ、膝の上に風紀委員長。
もはや身動きすら取れない絶体絶命の状況下で、とどめを刺すように屋上のドアから二つの影が優雅に現れた。
「あらあら、随分と賑やかね。私も混ぜてもらおうかしら」
「天道くん、みんなでお弁当、楽しそうだね」
隠しきれない色香を放つ生徒会長の氷室凛音と、ふんわりと微笑む巨乳の美月先輩だった。
「か、会長!? 美月先輩まで!」
「ふふっ、生徒会長の権限で、天道くんの正面の空間は私がいただくわね」
「じゃあ、私は天道くんの斜め後ろから……あーんしてあげるね」
もはや逃げ場はどこにもなかった。
四方八方から押し寄せる、それぞれ違う甘い女の子の香り。制服越しでもはっきりとわかる、個性の違う極上の柔らかさと、熱を帯びた体温の嵐。
「湊! 私のおかず食べて!」
「わたくしのを先に食べなさい!」
「先輩、私のもー!」
「お、お前ら……一斉に動くな! 息が……っ!」
全員が少しでも俺に近づこうと身をよじり、押し合いへし合いするたびに、俺の身体中のあらゆる神経が、暴力的で甘すぎる感触によって蹂躙されていく。
青空の下、誰もいないはずの屋上で繰り広げられる、最高に幸せで、最高に過酷な密着包囲網。
平穏な昼休みなど夢のまた夢。俺の理性という名の防壁は、彼女たちの無自覚で過激な愛情表現の前に、今日も今日とて限界点ギリギリの悲鳴を上げ続けるのだった。
【次回予告】
屋上での大パニックから一夜明け、学園は文化祭の準備期間に突入。
クラスの出し物である『お化け屋敷』の設営で遅くまで残っていた湊だったが、急な停電のアクシデントにより、幼馴染の結衣と一緒に狭い掃除用具入れに避難するハメに!?
「湊……暗くて怖いよぉ……っ。ぎゅってしてて……」
極度の怖がりな結衣が、暗闇の中で湊に完全にしがみついてくる。逃げ場のない密室空間で容赦なく押し付けられる、発育の暴力!
次回、第31話『暗闇の掃除用具入れ。怯える幼馴染と密着パニック』
明日も理性の崩壊をお楽しみに!




