このはフロッグ 其ノ貮①
歩き始めて十分程が経過していた。
その間、おばさま数名が『痛い高校生だわ』というような目をチラチラとこちらに向けながら通り過ぎていった。
そういう目で見られることは百も承知だから、全然気にはしていないけれど。
太陽が出てるんだから、サングラスをしていても別に変ではないと思うんだけどなー。
やっぱりサングラスというのは、日本ではチャラ男アイテムでしかないのかなー。
奇異さで言えば、夏に上半身裸でランニングしてるジジイの方がよっぽどおかしいと思うんだけどな。
なのに、そういうジジイのことは頑なに見ようとしないんだよな。
不思議な世の中だぜ。
ふわふわとどうでもいいことを考えながらふらふら歩いていると、いつの間にか視界に公園が映っていた。
公園――とは言っても、それは僕たち近隣住民が勝手にそう呼んでいるだけで、行政が設置したというような公式なものでは全くない。
それは百聞は一見に如かずというか、一目瞭然なのだけれど、遊具はおろかベンチ一つなく、あるのはまばらに生えた雑草だけだ。
ただ、公園でもないのに公園と呼んでしまうほどの広さだけはある。
恐らく、区画整理をすれば家が七、八軒は建つのではないかと思うのだが、少なくとも僕が生まれてから十余年、その動きは全くない。
未成年の僕にとって、誰がこの土地を所有しているのかなど知りようもないけれど、こんなにも長い間、この広い土地を無料で近隣住民に提供してくれていることに感謝しつつも、遊休地として放置し続けている管理の杜撰さというか商売っ気の無さを嘆かずにはいられない。
とまぁこの場所の実態について述べてみたのだけれど、僕としてはやっぱり『公園』と呼ぶのが最も馴染むので、これからも公園と呼ばせてもらう。
そんな公園を横目で見るともなしに見ていると、不意に視界に留まるものがあった。
緑色の物体。
緑色とは言っても、その辺に生えている草とは異なる明るめの緑色で、サイズ感としてはやや小さめに見えた。
僕はその物体を凝視すべく、体ごとその物体に向けた。
それは、人だった。
人が後ろ向きで蹲っていた。
サイズが小さく見えたのは、蹲っていることもあるし、道路側にいる僕から見て反対側の端にいるという距離の問題もあるのだが、それ以前にその人そのものが小さいように見える。
恐らく子供――大人から見れば僕もまだ子供なのでもう少し細分化するなら、甘めに見積もっても小学校低学年以下――だろう。
なんで? というのが所感だった。
なんでこんなところに一人で?
今のご時世、小さい子を一人で遊ばせるというのは親として心配じゃないのか?
ってか、一人で蹲って何してるんだ?
と、考えが順に頭を巡っていく。
僕は気になって、興味本位で、これまた気まぐれかもしれないけれど、僕はその人物に近づいていった。
まさか自分が、傍から見れば、幼い子供に背後から近づくサングラスを掛けた怪しい男になっているなどとは、微塵も考えずに。




