このはフロッグ 其ノ壹
前章の最終話にて、もし感想や評価をいただけたら……みたいなことを言っておきながら、一つの評価も感想もいただいてないにもかかわらず、一か月も経たないうちに新章を幕開けさせてしまいました。
ひとえに、なんとなく、書こうかなと思ったからに他なりません。
誰も望んでいなかったかもしれませんが、よろしければご覧ください。
あぁ、今日は天気がいいなぁ。
と、ふとした時に思うことがある。
読者の皆さんにも、そういう経験があるだろう。
当然僕――古門暁にも、ある。
陰キャの僕にだってある。
いや、日に当たらない暗くて寒い陰キャだからこそ、かもしれない。
土曜日、昼下がり。学校は休み。
これは帰宅部エース(?)の僕にとって、至福の時間である。
学校に行く必要はなく、勉強を強制的にやらされることもなく、ただ家でだらだらゴロゴロしているだけでいい。
たまに妹にゴミのような目で見られることはあるが、まぁそれは一時の恥みたいなもので、気にしなければそのうち忘れてしまうし、何も問題はない。
むしろ、床に落ちている気づくかどうかという程の小さな埃程度に思ってくれて、見て見ぬふりをしてくれて、放置プレイをかましてくれれば、それでいいのだ。
干渉さえされなければ、僕の完勝。
僕は一人で優雅な休日を過ごすことが出来る。
とにかくおうち時間が大好きな僕ではあるが、昼よりも夜の方が好きな僕ではあるが、人並みに太陽に対して好意を抱くことはある。
それが『いつ』『どんな時』かと問われると、誰しもが思う冬の寒い日だったり、奥様が洗濯物を干す日だったりという、ある種人類皆が思うようなことを除けば、その問いに答えるのは難しい(多分それは他の人も同じだろう)。
まさに今日の僕がそうだった。
朝食兼昼食を取った後、自室でだらだらしていた時に、ふと窓から差し込む陽光に目がいって、
『今日、なんか天気いいな』
と思ったのだ。
生憎、今は五月なので冬ではないし、洗濯物を干す予定もない。
外出する予定だってない。
どこかから「友達がいないからだろ」という声が聞こえた気がするが、その罵倒はもう僕には通用しない。
なぜなら、僕には今友達が二人もいるのだ――と、まぁ僕の友達が少ないのはさておき。
やっぱりこれと言って、特段、理由は見当たらない。
それなのに。
あろうことか。
僕は思ってしまった。
思い立ってしまった。
「散歩でも行くか」
補導を恐れない大胆不敵さで深夜の田舎町を毎夜闊歩する僕が、散歩は深夜にするものだとさえ思っている僕が、である。
自分でも驚くほどの気まぐれっぷりだった。
思い立ったが吉日と思うような楽天的な性格ではない僕にとってそれは、パニックと言うと言いすぎだが、発作的と言うか衝動的とは言える。
思い立ってまもなく、僕は家を出た。
普段の僕からすれば、昼間に外出するなど奇行とも思える行動なのだが、しかし誰も――と言っても今家にいるのは妹だけだが――僕を止めることはなかった。
だがそれは無理からぬことだ。
妹は僕を床に落ちている気づくかどうかという程の小さな埃だと思ってくれているのだから。
ただ埃が外へ飛んでいったと思っているのだから。
僕の誇りもフライアウェイ。
さっきも言ったが楽天家でもなければ楽天カードマンでもない僕とは言え、かなり寒いギャグをさらりと言ってのけてしまうほどには、浮足立っていたのかもしれない。
門前に立って陽光に照らされる僕は、サングラスを掛けていた。




