ゆいデリューション 其ノ漆③
「とは言え、儂は貴様の犯罪ギリギリのグレーな行いによって情報を得られるわけじゃから、とやかくは言うまい」
「あらぬ嫌疑をかけられたのはとりあえず一旦置くとして、それで、僕が必死に集めた情報を聞いた探偵さんの見解は、いかがなものなんでしょうか?」
「そうじゃの。参考までにもう一人くらい、他の人の意見を聞いてみたいかの。三人寄れば文殊の知恵と言うし、何か妙案が思いつくかもしれん」
「はぁ? 聞いてどうすんだよ。僕たちに何かできるってわけでもないだろうに」
「どうするかを決めるのは貴様じゃなくて儂じゃ。あまり調子に乗るなよ凡愚が」
睨まれた。
こわっ。
急にこえーよ。
なんなんだよ、いきなり。
にべもないどころか冷たいも通り越して凍てつくわ。
こいつ今日、何か変じゃないか?
変だよな。
情緒不安定だよな。
やっぱり女の子の日なんだろうか。
それなら僕は、何もせずただ見守ることしか出来ないな。
「……で、他の人って誰を呼ぶんですか?」
怖くてつい敬語になっちゃったよ……。
「貴様が呼べるのは血塗れナイフしかおるまい?」
僕の知人から選出ってのは決まってたのね。
てっきり魅子の知人の誰かが来ると思っていたのだが。
まぁそれならそれで、と言うより僕的にはその方がいいけどね。
魅子が言うように、僕は媛野しか声を掛けられる相手がいないんだけど(ここで家族を呼ぶわけにはいかないし!)、自分の知っている人が来るほうが気楽だし。
「そう言うと、まるで消去法で仕方なく血塗れナイフを呼ぶような感じになってしまうが、実際のところはむしろその逆というのが、貴様の奇縁ぶりを象徴しておるよの。縁というのは不思議なもんじゃ」
まぁ確かに、唯一呼べる知人がポンコツだったら、ご意見番としての役目を果たせないからな。
そういう意味でも、唯一の知人が媛野だったのは僥倖だったし、ご意見番として最適な人材であることは疑う余地もない。
「日頃の行いだな」
「日々徳を積んでおるような言い方をしとるが、その実何もしておらんじゃろ。シコシコしとるだけじゃろ」
「そうそう、僕は日々シコシコと研鑽を――ってコラー!」
なんてこと言うんだ!
下ネタがどんどん際どい感じになってるよ!
そろそろ自粛してもらわないと、十八禁扱いになっちまう。
それだけは勘弁してくれ。
「そう言えば駅弁ってどこが下ネタなんじゃ?」
「もうやめろーーーーーー!」
本当にやめてください。
もう弁解の余地がなくなってますよ。
薄氷を踏むどころか、氷割れちゃってますよ。
バッキバキですよ。
「ゲホゲホッ……。あーあー、あれ? ちょっと声が変だな? ってか、ちょっとカッコいいな」
叫んで喉が嗄れてしまっただろうか。
でもちょっとダミ声っぽくなってイケボな気がする。
もっと言えば、津田健次郎にそっくりなイケボだった気がする。
「ゴホン……。あー、あー。戻った戻った、いつもの僕の声だ。危うく声優界のトップスターになるところだったぜ」
まぁ僕の地声も十分イケボなんだけどね。
「じゃあまた媛野と交渉するから、日程が決まったら言うよ。もし予定が合うようなら、今週ぶっつけで一緒に来ようと思うんだけど、それでいいか?」
「良い良い。予定はあやつに合わせてやれ」
「了解」
しかし今日は疲れたな。
魅子の情緒が不安定(?)だったからか、怒ったり下ネタ言ったり感情がジェットコースターだったし、おかげでハラハラさせられたりもしたし。
はぁ、本当に疲れた。
早く帰って寝よ。




