作戦会議
母の遺骨は庭先に埋めた。
先祖代々の墓などないし、母も自分たちのそばにいる方がいいだろうと、凛と二人で決めた。
母は花が好きだった。
だから、お墓の周りは、花でいっぱいにした。
きっと喜んでくれているはずだ。
母に向かって手を合わせる。
――どうか見守っていてください。僕たちの戦いを。必ずこの世界を変えてみせるから。
「それで、コタどうする?」
「んー、秘策はあるんだけど、圧倒的に足りない戦力をどうしようかな」
この世界を変える方法――それは虎を殲滅することだと考えた。
子ども時代を虎として生きてきた身として悩まなかったわけではない。
それでも、世界を変えるためには必要不可欠なことであり、父やルナたちは殺さないようにすればいいのだと気づいた後は、しがらみが一切なくなって即決できた。
あとは、それをどう実現するかを考えなくてはならない。
「今の戦力、私とコタの二人しかいないよ」
「犬死必至だね。どうにかして人を集めないと」
「でもどうやって集めるの? 私たち、全然知人いないよ?」
「うん、それが致命的なんだよね」
自分の知人が少なくても、人を集められないとは限らない。
噂の類のように、知人が知人を介して――ということもやり方としてはある。
ただ、これでは時間がかかり過ぎるし、運頼みの要素が強すぎる。
結果が出るまで、どれほどの人数が集まるのか分からない点はギャンブルそのものだ。
「あと、武器。武器はどうするの? どうやって手に入れる? それも人数分」
「その問題もある。課題が山積みだよ」
「もう頼るしかないんじゃない?」
「誰に?」
「警察に」
それは薄々感じていた。
警察や自衛隊に話して賛同してくれれば、人手や武器の問題は一気に解決する。
でも、賛同どころかまともに話を聞いてくれるとは思えなかった。
「それが一番いいとは思うよ。でも、信じてくれると思う? こんな話」
「絶対信じてくれる」
凛の目がまっすぐ自分に向けられている。
その瞳に、迷いの色は微塵もなかった。
「だって、コタにはその耳があるんだから」
虎太郎は頭の上にある耳に触れる。
この耳が何の役に立つというのだろう。
「コタは虎と人間のハーフ、獣人だよ? その獣人が、片親である虎を殲滅しようって言うの。それを冗談だって耳を貸さない人はいないと思う。それに秘策――虎の秘密だって暴露するんだよ? すぐには信じてもらえないかもしれないけど、私たちが真剣に話を続ければ、絶対に信じてくれる。一緒に戦ってくれるよ」
「そういうものかな?」
「そういうもの! だから、大丈夫。行ってみようよ」
凛に背中を強く押してもらって、まずは交番に行くことにした。




