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第二位、人間  作者: 青野 乃蒼
逆襲の果てに

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22/36

50年後の日本

内閣総理大臣が虎に殺されるという世紀の大事件から、五十年が経過した二〇七六年。


今も変わらず、日本という国は存在している。

人々の生活も昔と変わらない。


大人は仕事をし、子どもは学校に行く。


休日は家族で出掛け、ショッピングや観光をし、夜は飲食店で食事を楽しむ。

店はどこも開いているし、インターネットだって繋がる。


変わらない日常の中でも、進歩するものはどんどん進歩している。


スマホはコンタクトレンズやメガネに替わり、今はそれらを装着するだけで、空間上に画面が表示され、あらゆる機能が利用できる。


自動車やバイクは、地上だけでなく上空も走行可能となっている。

エンジンは全て電気だ。


発明者や開発者によってどんどん革新されていくこの世界で、日本国民は絶対に守らなければならないルールができた。




虎には絶対服従。




正確には、以下の二つだ。


・皇帝の指示には絶対に従うこと

・虎に危害を加えないこと


二つ目に関しては、そもそも人間の武器は虎に効果がないため、実際にはそういった行為そのものを指している。皇帝からそういう御触れが出ているわけではない。


ただ単純に、無駄な足掻きの末路には死しか待っていないため、日本国民共通の不文律となっているのだ。




虎の世界においても、守るべきルール、破ってはならない禁忌はある。


ただ、その中に『人を殺めてはならない』というものは存在しない。


ゆえに、この五十年間、何千もの罪のない尊い人命が無用に奪われている。


人命を奪った虎は何にも裁かれることなく、気ままに次のターゲットを探して蹂躙し、人々は怒りの矛先をどこにも向けられず、どうか家族が、身内が、友人が狙われませんようにと、怯え祈りながら過ごす。




そんな日々が五十年、続いている。


虎を主とした、虎と人の主従関係による歪んだ共存生活――。


これが今の日本だった。

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