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淡きレテの果て〜世界を駆け巡る忘却少女の冒険譚〜  作者: 雪道 蒼細
5章 全種族大戦

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5話 結界管理室


 「創造神…?」


 私が問うと、カシアはこくりと頷いた。


 「…ピス…それを説明してる時間は無い。…よく聞け。呪いが消えた今…人間しか動けないだろう…そして今起こっていることは昔世界が滅びかけたのと同じことだ。それを止めるには大本を叩かなければいけないが…今は無理だ。だから……だからピス。…夜鳩内にある結界を壊せ。そしてそれを対人用に変えるんだ」

 「人用?」

 「あぁ。…人用と書かれているが全種族対応可だ。あれが…あれがあれば夜鳩内にいるもの一人一人に結界が張れる。長時間は聞かないだろうが、短時間ならいける…だからそれを…頼む」


 そう言い終わるとカシアは意識を失ってしまった。


 「カシア!カシア…」


 カシアの肩をゆするが、苦しそうに胸を抑えるだけで返事はない。

 これは本格的にマズイ。そう思い私は駆け出した。

 結界を壊せ。そしてそれを変える。そうカシアが言うなら、結界を管理している部屋がどこかにあるのだろう。

 それを見つけ出せれば。


 「…っ」


 (待っててね。みんな)


 夜鳩内を走っていると、職員がバタバタと倒れていた。

 皆カシアと同じように胸を抑えている。


 (呪い…私にはないから多分影響無いんだろうな…)


 人間ではない人以外は、皆倒れている。

 だがそのほかは倒れている人の介抱をしている。


 中途半端な存在。それがなんとも思えずずっとモヤモヤとしていたが、それが良いと思える日が来るとは。人生何があるか分からないものだ。


 (えっと…あ)


 そんなことを想っていると地図を発見した。

 夜鳩の管理棟の地図だ。

 私は急ぎ一階から順にみていく。


 (どこ?…どこか結界について触れてる部屋は…あ)


 見ていると三階に結界管理室と書いてある部屋がある。ここだろう。

 ならアと少しだ。そう思い階段を上がろうとした。


 「…っ」


 だが私の足はその場で止まる。

 頭の後ろに銃を突き付けられたからだ。


 (誰?今動けるのは人間だけ…精霊術でどうにかなるかな?)


 嫌。だがここで無駄に力を使いたくない。

 どうにか話し合いでいけないか。そう思い交渉に踏み切ろうとする。


 「ね、ねぇ。まず話あわない?」

 「…話し合う?あんたの頭はお花畑なの?銃を突きつけられてよくそんなこと言えるわね?」

 「ーー!」


 その声で私は目を見開いた。

 この声はピスと前、仲が良かったという人の声なはずだ。


 「…フェナ?な…なんで」

 「…なんで?…そんなのあんたの敵だからに決まってるからでしょ?…あんたこれから結界の管理室に行くつもりでしょ。悪いけど行かせないよ。…このまま呪いが消え苦しみ世界の終わりを眺めてればいいのよ。他種族は」


 フェナは冷たく言い放つ。

 前に会った時は暗かったがもう少し明るかったきがした。

 喜怒哀楽が激しいというか。

 だが今の彼女にはそれが無かった。


 「…あんたは何がしたいの?世界が終わる?それをただじっと見てるわけないでしょ!?…私は夜鳩の一人。世界平和のために動いてる組織だよ!?…それを言われたからって…ただの傍観者になるつもりはないの!ラピスラズリ!」


 私はラピスラズリを呼び、フェナの足元に風を吹かせ転ばせた。

 そしてフェナの腕を掴み地面に押し倒す。

 私が馬乗りになっている。


 「痛っ……。あーもう。ただの傍観者になればいいじゃない。どうせこのまま世界は滅びるよ。前はそうならなかったけど今回は神だっていない。本当に世界が消えるの…いいじゃん。どうせこの世界に良いことなんかない。あんたがこんな世界にしたんでしょ!元の世界に戻せないなら…このまま滅びるのを見ていてよ!!巫女様!」


 そう言ってフェナは私の額に頭突きをした。

 先程まで無表情だったフェナが、今は泣きそうな顔になっている。


 「…フェナ…」

 「あんたが…あんたが決まりを破ったから…勝手に死んだから…フィディスなんてものがこの世界に出てきたんだ!!‥そのせいで…私の…妹が…死んじゃったんだから…。フィディスを間違って食べちゃて…それで死んじゃったの…もう妹は戻ってこないんだよ!返してよ。妹を…返してよ…」


 最後はもう懇願だった。

 フェナは「どうして。どうして」と繰り返している。


 (きっと昔の話…過去の話…)


 なんで死んだのか。人伝にしか聞いていない。

 殺された。そうモリは言っていた。

 でも外から牢に入ったわけではなく、隙間から外部の者に刃物で刺され死んだらしい。

 そういう死に方をしたのだ。奥に逃げれば逃げられた。それをしなかったのは死を望んでいたからではなかろうか。


 「…ごめんね。フェナ…」

 「謝んないでよ…謝んないで…私だってあんたを恨むのは違うって分かってるよ。でも…それ以外に気持ちのやり場が無いの。だから」


 「死んで」フェナはそう言って銃の引き金を引いた。


 夜鳩内に「バン」という銃声が響いた。


 私は自分が撃たれたと思い目を瞑ったが、どこも痛くない。

 ゆっくりと目を開ければ、銃は横を向いていた。

 正しく言えば。私の方ではなくフェナは横の壁を撃っていた。


 フェナの意志かと思ったがそうではない。どこからか現れたおじさんがフェナの銃の向きを変えていたのだ。


 「ーーっ!あんた邪魔しないでよ!」

 「…それは無理だな。家の職員を傷つけるやつらを見逃すわけにはいかないのでな」


 家の職員。その言葉を聞いてこのおじさんが誰なのか想像がついた。

 

 (多分夜鳩で一番偉い人)


 カシアはボスと呼んでいて、メルロは偉い人。と呼んでいた人物。

 人間だから動けるのかと納得しつつ私は目の前にいるおじさんを見た。

 

 おじさんはというとフェナから銃を取り上げ、手を背中に回し縛っていた。


 「…あ、あの…助けてくれてありがとうございます」

 「あぁ…いいんだ。君は…これからどこへ行くんだ?」

 「え、えっと…結界管理室に…行こうかと…カシアに頼まれたんだです」


 そう言えば「そうか」と言い男は言った。


 「なら気をつけなさい。この子のような裏切者が夜鳩にはいないかもしれないが出入りする者にはいるかもしれない。…さぁもう行け。時間は無いはずだ」

 「は、はい!」


 何故かこの人に言われると背筋が伸びる。

 私は急いで立ち上がり、結界管理室のある方向へと向かう。


 その後ろ姿を夜鳩の頂点に立つ男が懐かしそうに見ていたことをピスは知らない。


4月中に終わるかな?って感じです。

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