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異界の師、弟子の世界に転生する  作者: 猫狐
五章 残響のパンドラ

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三学年、始まり

学院に入ってから三回目の秋。自分も今日から三年生だ。

自分が小さな欠伸をして目を覚ますと、横から笑い声が聞こえた。


「えへへ、おはよう!」

「おはよう。シアの方が早起きだった……」


寮の階段も一つ上がって、部屋も少し変わった。

けれど大きな変化はなく、ルームメイトもシアのまま続投だ。

ただし、小さな変化はあった。


「レテ様、シア様。おはようございます」

「リアーちゃんおはよう!ほら、寝坊助のお父さんも!」

「うっ……!?お、おはよう、リアー」


Sクラスメイトが11人になったことにより、誰かが落ちるかと思われたがそうはならなかった。

その代わり、部屋の数……という建前でリアーが自分とシアの部屋で布団を敷いて寝ている。


「はい!おはようございます。今日から三年生ですね」

「……今更だけどさ、リアーは一年生からやり直さなくてよかったの?」


自分の質問に一瞬キョトンとしたリアーは理解した顔の後、満面の笑みで頷く。


「はい!だって、父様や他の皆様と一緒にいた方が楽しいので!」

「そっか。それなら一緒に学ぼう」


頭をそっと撫でると、気持ちよさそうな顔をしてされるがままに撫でられるリアー。

それを見たシアがクスッと笑って自分に言う。


「レテ君、リアーちゃんには本当に甘いよね!」

「え!?そ、そうか……?」

「うん!リアーちゃんを見る目がもう自分の子って感じ!」


そう言うと、シアがそっとリアーの手を優しく握って微笑む。


「……って、私が言えた事じゃないよね……ふふっ」

「はい!シア様も私には良くしてくれますし、レテ様はシア様に一番甘いです!流石将来を誓い合った……ふごふご……」

「待って!それ以上は大声で言わないで!恥ずかしい!」


自分が慌ててリアーの口に手を当てると二人が面白い、といった顔で笑い合う。


「き、着替えてくる!」

「あ!逃げたー!」

「恥ずかしがってるレテ様、可愛いです!」


こうして、三年生は若干ドタバタしながらスタートした。



朝ご飯を食べて、Sクラスの皆と合流する。


「ねーむーいー……」

「ダイナが?珍しいな。クロウは寝不足じゃなさそうなのに」


自分が呟くと、ダイナが目を擦りながらもう片方の手で大丈夫とジェスチャーをする。


「あ〜、クロウは関係なくて〜。家でゆっくり眠れなかったんだよね……。その分昨日寝ちゃって……ふぁぁ……」

「……なるほどな」


その言葉を聞いて皆が納得する。自分が代表して言うと、ダイナは笑顔で返す。


「でも〜。今年はお母さんとお父さんの喧嘩が少なかったから良かったかも?」

「いつもはそんなに多いのか……?」


クロウがおずおずと質問すると、ダイナは飄々としながら、自然に、爆弾を落とす。


「うん〜。毎日してたのが、三日に一回になった〜」

「十分多いよ!?今度の休暇私たちの家くる!?部屋、沢山あるよ!?」

「……うん。ダイナ君なら顔見知りだし、来てもいいよ」


ファレスとフォレスの二人が声をあげると、ダイナは一瞬だけ考えて、頷く。


「……じゃあ、今度は二人の家にお邪魔しようかな〜。レインさんとシルアさんに誤解されないようにしないといけないけど〜」

「……誤解?」


ファレスが首を傾げると、フォレスが「はぁぁ……」と盛大な溜息を吐く。


「お姉ちゃん、流石に鈍いよ。私たちが私情でクラスメイトの男子を連れてくるって、そういう事」

「……あっ」


ようやく気づいたようだ。今にも好奇心で飛びつきそうなニアを、シアとミトロが必死に抑えている。


「ねぇねぇそれってダイナ君の事が……ふご……むぐ……」

「そういう意味じゃないのはニアちゃんが一番分かってるでしょ!」


……抑えきれなかった。

ニアはシアに、非常食として持っていたコッペパンを口に突っ込まれていた。



三年生ともなると、ちょっと入学式を見る側にも余裕が出てくる。


武術学院の首席の言葉が終わり、魔術学院の首席の言葉が始まる。


「皆様は堅実な魔術、と聞いてどう思いますでしょうか?中央らしくないと思うでしょうか。それとも、基礎の魔術と捉えるでしょうか。

私は基礎をこれ以上ないぐらいに固めて、上を目指したい。地盤を固めて、固めて、大きく跳べるようにーー」


それを聞きながら自分は思った。


(おお、良いんじゃないか?自分なんて基礎知らないし)


言葉が終わると、拍手が飛び交う。 

今年はジェンス総長が最後に言葉をかけて締めるようだ。


「入学された子達よ、おめでとう。しかし入口で止まるなかれ。

進学した子達よ、おめでとう。しかし途中で折れることなかれ。

途中で止まるのは良い。後ろを向いて分かる事もある。

しかし振り向いたまま終わるな。後ろを見て、『あの頃は良かった』で自分を終わらせるな。

それは停滞。諦めの境地。私は皆に諦めて欲しくない。

どれだけみっともなくても、醜くても、見るに堪えないものであっても。それでも前に進む事を期待している。


総学院長ジェンスより」


大きな拍手が起きる。


こうして、三年生は本格的にスタートした。

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