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異界の師、弟子の世界に転生する  作者: 猫狐
五章 残響のパンドラ

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温もりの家

中古で買ったポケモンブラック2にドハマリして投稿が遅れました……

一方南の港町。

海の波と人の声が両立する街にて、衛兵からお辞儀をされる二人が居た。


「おかえりなさいませ。ファレス様、フォレス様」

「ただいまー!お仕事お疲れ様!」

「ただいま戻りました。お勤め、ご苦労さまです」


双子の言葉にビシッと敬礼をした衛兵は扉を開く。


「お二方のお言葉、身に染みます。ささ、中へ。レイン様とシルア様がお待ちです」

「あ!お母さん帰ってきてるんだ!」

「……良かった」


双子が伸び伸びと自分の家の庭に入る。

夏だからだろう。手入れをする職人も多く、その殆どが高齢だ。


「ファレスお嬢様、フォレスお嬢様。おかえりなさいませ」

「今年も暑いですねー!お身体に気をつけてね!あ!実をつけてる!」

「水分補給、しっかりしてくださいね……。

……ココナッツだ。もしかしたら、後でジュースにしてもらえるかも」


そんな会話を庭の一人一人と交わしていく。

ファレスもフォレスも、それを苦とは全く感じていない。

この場にいる全員が、ファレスとフォレスを赤子から見守ってきた家族のような存在だ。

家族に労いの言葉をかけることの、何が苦になるのだろうか?

二人は、そういう考えだった。

 

やがて広間に着くと、メイドが手際よく手荷物を持って行ってくれる。


「おかえりなさい。暑かったでしょう?シャワー、浴びる?」

「お母さん!うん!浴びたい!」

「……私も、汗でベトベト……」


素直な双子にシルアは微笑むと、執事に微笑む。

それだけで執事はやる事を理解し、そっと下がった。


「大丈夫、準備はもうしてあるわ。ただお父さんにも挨拶してあげて?

……ここだけの話、二人が帰ってくるから朝からお父さんソワソワしてて……ふふ、仕事に手が着いてないわ!可愛いわよね」

「お父さんそんなに待ってたの!?」

「すぐ行く」


双子が廊下を早歩きし始めると、シルアは笑顔で見送る。

その後ろ姿を見て、シルアは心底ほっとしたように呟く。


「……良かった。一緒に帰ってこれて」



父の執務室。コンコン、とノックをすると中から声が聞こえてくる。


「どうぞ」

「わーい!ただいま!お父さん!」

「ただいま、お父さん」


扉を開けて、笑顔で抱きつく双子にレインも笑顔を浮かべると、二人をギュッと抱きしめる。


「おお!ファレス、フォレス!おかえり!はは、良かった!元気だな!」

「うん!お父さんは?」

「私は……二人が来たから元気になったな!」

「……何それ……!」


双子はレインに甘えるように顔を擦りつけると、レインもそれを受け入れて二人が愛おしいというように抱きしめる。


「娘たち、お母さん。それに皆が元気だから私も元気になれるのだよ!」

「そっか!じゃあもっと抱きしめちゃおー!」

「私も……!」


力を強める双子に、レインは笑いながら抱きしめ返す。


「さ、二人とも疲れただろう?シャワーを浴びるかい?……ってその辺はシルアがもうやってるか」

「流石お父さん!お母さんのこと分かってる!」

「……うん。シャワー、浴びてくるね」


二人が降りると、レインは両手で嬉しさを表しながら見送る。


「夕飯一緒に食べようなーっ!」

「うん!」

「勿論」


そう言って、双子は風呂へと向かった。


当然と言うべきか、二人のお風呂は大浴場である。

これはレインが個人的主義として、『妻に伸び伸びと風呂に浸からせてやれず何が夫か!』とそれは大改造したらしい。

当の本人であるシルアも大浴場はお気に入りだ。双子がその理由を聞くと、シルアは決まって答える。


『だって、お父さんが私の為に考えて、考えて、考え抜いて……そうやって作ってくれた最高のお風呂だもの!』と。


双子は勿論メイドに身体を洗ってもらう事もできるが、自分達で身体を洗っていた。

理由は単純。中央魔術学院ではそんな人以内からである。


そこで二人がシャワーを浴びていると、フォレスがおずおずと聞く。


「……お姉ちゃん」

「なーにー?」


かぽーん、と音が響く中で身体を洗っているとフォレスから爆弾が投げられる。


「……ギーユさんって、お風呂入れるの……?」

「えっ!?え、どうなの!?それは!?」


風呂場で叫ぶと、ファレスの脳内で言葉が響く。


『私はお風呂に入らなくても大丈夫です!

それよりも!それよりもです!この家の絆!大変!素晴らしく思います!ああ……!』

「……なんか、感極まってるけど入らなくて大丈夫だって」


ファレスが苦笑しながら言うとフォレスも同じ表情になりながら言う。


「まぁ……絆を見る人、だったらそうなるのかな?」

『フォレス様!そうです!そうでございます!あぁ……!肉体、いえ発音さえ出来ればこの素晴らしさをフォレス様にも伝えられるのに……!』

「しまったなぁ、レテ君に肉体貰っておけば良かった」


ボソッとファレスが言うと、フォレスが首を傾げながら言う。


「あれなら持って帰ってきたよ?」

「……へ?」

「レテ君が作った仮の身体だよね?だから、持って帰ってきたよ」

「……」


いつの間に、という前にファレスの中で声が爆発する。


『ああっ!この素晴らしさを皆に説けるのですね!?私はその為ならいくらでも待ちますとも!!』

「……ありがとう、フォレス……」


頭がぐわんぐわんしながら、ファレスはお礼を言った。

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