9話
「とっとと準備しろ、くだらないパーティがある、社交界の人間共にまで見捨てられるぞ」
「パーティ…?」
父親は私が聞いたことに対しては答えず、さっさと部屋を出ていった。なんか機嫌悪いな…。相変わらず私が嫌いすぎる。
すると父親と入れ替わるように使用人が入ってきた。
「失礼致します、エレノア様、これより身支度を致しますので化粧室へどうぞ」
「え、えぇ」
私はよく分からぬまま部屋へ案内された。身支度をされている間にこの状況を考えていた。
この物語に私の過去の描写はないからこのエピソードは何も分からない。しかもあの父親ときたら「くだらないパーティ」とか言ってたな…。まず失礼すぎるし…、くだらないならなぜ行くの?そこが重要な気がする。
すると部屋の外から父親と家に仕える男爵の会話が聞こえてきた。
「旦那様ご支度が終わりました」
「あぁ…、ったくなんだってこの俺がジョーンズ家なんかに行かないといけないんだ」
「仕方がありませんよ旦那様、個人的な好みでこの国を支配する事は叶いません」
「はぁ…、上流階級の人間は面倒くさいな」
ジョーンズ家…?あれ?なんか聞き覚えがあるな?まぁ行ってみれば分かるか…。なんかさっきイラついてたのはシンプルにそのジョーンズ家が嫌いだから行きたくないの?子供じゃん…。
「エレノア様、エレノア様?」
「あっはい!」
「お化粧の支度が終わりましたので、次はドレスを来ましょう」
「あっ、もう終わったのね!ごめんなさい早く行きます!」
私は急いで席を立ち、衣装室への向かった。私は衣装室に入り息を呑んだ。
絵やアニメなどで見るようなドレスが沢山あったのだ。女性がドレスを切れる機会など七五三や結婚式でしかないだろう。まぁ私は一度も来たことはないが。さすが中世の貴族は違う。
それに虐げられるエレノアにこんなドレスがあると思わなかった。外面の為か。
「エレノア様、本日はロイヤルブルーのドレスに致しましょう」
使用人が持ってきたドレスを見て目を輝かせた。サラッとした銀髪に良く似合う、派手すぎない上品な青色のシルクドレスだった。
髪型は現代のハーフアップのような形で大人しい印象を持たせた。
私は支度をしている時に使用人に聞いた。
「ちなみにリリアはどんなドレスを着るんです?あの子は金色の髪の毛だから水色とかピンク色も合うわよね」
すると次に使用人が言った言葉は意外なものだった。
「いえ、本日はリリア様は行かれません」
「えっ、そうなの...?」
原作でもそうだったようにパーティーでもエレノアはお飾りかと思った。リリアを他の貴族達に知らせようと...。しかしわざわざ置いていくなら今回は私に何か重要な用があるということ。
一体...?
私は支度を全て終え、父親と馬車に乗り込んだ。ちなみに馬車の中では一言も話さなかった。父親はずっと不機嫌そうに窓の外を眺めていただけだったからだ。気まずくて精神が崩壊しそうだった...。
そしてしばらくすると大きな屋敷に到着した。やっぱりパーティーということで他にもたくさんの貴族がいる。私は使用人に手を引かれ馬車を降りた。
わぁ...!大きいお屋敷!一体何が始まるのかしら...?
「おや、ヴァレンティア公爵」
見知らぬご老人伯爵が声を掛けてきた。
「お久しぶりですな、エレノア嬢もすっかり大きくなりましたな」
「ええ、愛情込めて育てております、この子にも立派になってほしいのですよ」
父親はにこやかに私の肩を抱き、さっきの機嫌の悪さは何処にいったのかというくらいご機嫌に応えた。
...なにこれ
挨拶もそこそこにし、会釈をして別れた。
「ちっ、ただの田舎もん伯爵風情がこの俺に話しかけてくんじゃねぇよ...!」
私は汚いものを触ったかのようにバッと手を離した。
こんの仮面大魔王...!
「おい、早く行くぞ、ちっ、とっとと終われ...」
「はい...」
ぶつくさと文句を言いながら屋敷の中へと進んでいく。メインホールに入り、父親と共にまず主催者であるジョーンズ公爵へと挨拶へ向かった。
「失礼致します、お久しぶりですジョーンズ公爵」
「おお!ヴァレンティア公爵!それにエレノア嬢も」
「ようこそお越しくださいました!」
父親と同い年くらいの公爵と公爵夫人が挨拶を返した。
あれ?ジョーンズ家って...
「ほら、アルベルト!あなたも挨拶なさい」
公爵夫人に言われて面倒くさそうにこっちを振り向いたのは...、
間違いない...!私の婚約者で男性主人公の「アルベルト・ジョーンズ」だ...!




